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プレゼント



私はカイニスをつれて屋敷に戻ると空いてる部屋に入り、ソファに座るように言う。

メイドの1人に救急箱を持ってきてもらうように指示すると私はカイニスの隣に座り、体のケガをみる。


「お父様の事ですから本気で攻撃してきていないと思いますけど、どこかすごく痛むところはありますか?」


「いや、問題ない。」


「服も汚れてしまいましたね、申し訳ありません。新しいものを用意しますね。」


「すまない」


メイドが救急箱を持ってくると私は中を開けて消毒液を取り出す。

私が手当てすることに驚いたのかカイニスが聞いてくる。


「あなたがやるのか?」


「え?やりますけど嫌ですか?他の方に任せますか?」


「いや、そうではない、頼む」


服を脱がせることは出来ないためひとまず見えるところのケガを手当てしようとする。

いたるところにあざや擦り傷が出来ている。

私は血が出ている箇所一つ一つに消毒液をつけ軽くガーゼを当てる。


「痛くはありませんか?」


「大丈夫だ。」


「どうしてあんな無茶をしたのですか。お父様はこの国を守る聖騎士団のトップなのですからいくらカイニス様でも一対一で勝つのは難しいですよ。」


みると左ひじの傷は深くシャツにまで赤く血がついている。

私は痛々しそうなケガをみて顔を苦くする。これは本当に大丈夫だろうか、針で縫うレベルではないだろうか、いまだに血が止まっていない。


私はふと思い出し、カイニスに待っててもらうと急いで自室に向かう。

戻ってくるときには片手にコップをもちその中には緑色の液体が入っている。


「こちら飲んでください。」


コップを渡すとカイニスは疑うことなくそれを一気に飲み干す。


「うっ。」


飲んだ液体を戻しそうになったのかカイニスは口元を抑え、苦虫を嚙み潰したような表情をした。


武器屋「オプロ」で大量の出血をしても一瞬で止血させるがすごく苦いという薬を面白半分で買っていたのだがそれが今ちょうど役にたった。

改めてカイニスの肘を見るとちゃんと止血されていた。効果は抜群だ。ちなみに表情がほぼ崩れないカイニスでさえあれほど表情を崩したのだからすごく苦いということもよく分かった。


私は血が付いた箇所を水タオルで拭く。


「それにしても意外でした。カイニス様があんなにお父様とやりあうとは。」


「大事なことをかけていたからな。」


やはりいくら騎士団のトップであるお父様との勝負としても公爵家として負けられないプライドがあるということか。

私は貴族育ちではないためそういうのが全く分からないのだが人のプライドを馬鹿にする気もない。


「そうなんですか、とっても大事なのですね。」


「あぁ、とても大事だ。」



ひとまずカイニスの汚れた所はすべてふき取った。

カイニスのきれいな顔にも傷が付いており少しお父様を恨めしく思った。


「ひとまず手当はすべてしたと思いましたが気になるところはありませんか?」


「ない。」


「本当ですか?我慢してませんか?あ、頭はどうですか?腫れてたり痛いところなどありませんか?」


私はカイニスの頭をケガがないかわしゃわしゃと触りまくる。

想像してた通りカイニスの髪の毛はサラサラでいつまでも触っていたかった。

カイニスも特に嫌がるそぶりもせず私のなすがままにされている。



「こほん、お二人さんいいかしら?」


いつの間に戻ってきていたのか扉にはリリィとポーテルド、ペペローメが立っていた。

リリィはいつも通りだったがポーテルドはニヤニヤし、ペペローメは顔を赤らめて口元を手で隠している。


「えぇ、いいわよ。入って入って。」


私がカイニスの頭から手を離すとカイニスは残念そうにしていたがそれに気づくことはなく、反対側のソファに3人をすすめる。


「カイニス様、服を用意させますので着替えてきてください。」


外で待機していたメイドにカイニスに替えの服を与えるよう伝え、カイニスには一度部屋から出て行って着替えに行ってもらった。


「せっかくのパーティーなのにお父様がごめんなさい。」


「いや、私はシューデン聖騎士団長の戦いが見れてよかったよ。」


「俺も全然、気にしてないよ、見てて楽しかったし。」


「そっか、ペペローメ様はあまりああいうの見慣れていませんでしたよね?体調とか悪くなっていませんか?」


「いえ、大丈夫ですわ・・・それよりあなたいつの間にあんな強くなっておりましたの?」


「全然強くありませんよ。ただ毎日リリィや聖騎士団達に鍛えてもらってますのでそれなりに動けるだけです。」


私は遠慮するように手を横に振りながらペペローメの言葉を否定する。

先ほど勝てたのはお父様が溺愛している娘のシンシーリアがいきなり出てきて動揺し、その愛しの娘に剣を向けることが出来なかった隙を狙っただけだ。

始めからお父様とやりあっていたらきっと手も足もでない。


「そういえばお父様とお母様は?」


「シューデン聖騎士団長はあなた達2人が屋敷に戻る姿をみるとレバートリー夫人に泣きついて慰められている最中よ。」


お父様は私とカイニスが婚約解消する仲だとまだ知らないため誤解している。


「今日だけでお父様の恥ずかしいところをたくさん見せてるわね、イメージ崩れたかしら?」


リリィ曰くお父様は竜殺しという伝説が語り継がれているのだからそれに似合ったイメージがあったに違いない。


「確かに王城で会う時のシューデン聖騎士団長は立派な騎士のように見えるけど私のところの聖騎士団長から噂は聞いていたからそこまでかな。」


「さっきも言ってたけどリリィのところの聖騎士団長と私のお父様って仲がいいの?」


「仲がいいというわけではないと思うけどまぁよく関わってはいるのかな。」


自分も入りたいホワイトローズ聖騎士団の団長には一度でいいから会ってみたいと思っているがパーティーや夜会には一切行っていないため会う機会がないためどんな人か聞く。


「しっかりしている人だよ、氷の魔法所有者で私たちの聖騎士団の中で一番強いよ。私も何度か稽古をつけてもらっているんだけど全く歯が立たない。」


「リリィでもそれならとっても強いわね!お父様とどちらが強いかしら。」


「魔法の属性的にシューデン聖騎士団長のほうが有利かもしれないけど噂に聞くと剣の技術だけだと互角らしいよ。」


「すごいわね!」


私ももっと強くなったら一度手合わせをしていただきたいと思った。

そうこう話していると着替え終わったカイニスが戻ってきて元居た場所に座りなおす。


「アルファランス様が戻ってきたことだし準備してきたプレゼントを渡すってのでどうかな?」


ポーテルドが提案しみんなも賛成したので私はお茶を用意してもらうように頼んだ。

新しい紅茶を用意した後でまずはポーテルドが綺麗に包装された大きな箱を取り出す。


「まずは俺から、今年新しく入ってきた帽子、通気性がよくって夏でも汗かかないように出来てるよ。

シンシーリアあまり大きな帽子好きじゃなさそうだから小ぶりのにしたんだけどどう?

色はシンシーリアの綺麗な赤い髪の邪魔しないようにミントグリーンにしたんだけど。」


「とっても綺麗ですね!大きい帽子って疲れちゃうからこのぐらいのサイズがちょうどいいですし触り心地も最高です!ありがとうございます、ポーテルド様!」


私は中をあけるとすぐさま帽子をかぶりみんなに披露する。


「次は私ですね、町におりた際に、別にあなたのプレゼントを探すために町に行ったのではありませんよ!たまたまです、たまたま私が欲しいものがあり町に行った際にたまためこれが目に入ったので選んだだけですわ!」


ペペローメはそういうとプイっと顔をそらすもしっかりプレゼントは私に渡してくれる。

ポーテルドのプレゼントに比べると小さかったが受ける際に予想以上に重さがあり慌てて力を入れる。

中を開けるとそこには陶器でできたウサギのオルゴールであった。

ウサギの目は赤い宝石で作られているという。


「ありがとうございます!こんな素敵なものをたまたま見つけらるなんてペペローメ様は慧眼もおもちなのですね!大事にしますね!」


私は満面の笑みで笑うとペペローメは顔を赤くし「まぁ少しは探しましたのよ」とポツリとつぶやく。


「シンシア、私は二人みたいに高価なものをあげられないんだけどこれ・・・」


リリィは少し恥ずかしそうにプレゼントを差し出してくる。

こじんまりとした小箱を受け取り中を開けて取り出す。


「ネックレスね!しかもバラのモチーフがすごく細かくできてて綺麗・・・ありがとう、リリィ!」


私は今つけていたネックレスを外しリリィからのプレゼントのネックレスをつける。

貴族がつけるような重いネックレスは嫌いなのでおしゃれをするときのみつけていたがこれなら軽いし、運動するときも邪魔にならなそうなので毎日つけようと思う。


3人からのプレゼントは無事終わり、最後は彼だとみんなの視線がカイニスに集まる。


「あ、カイニス様からはすでにもらっているの!今日も綺麗なひまわりの花束ももらったし!そうだ!私もみんなになにかお礼をしないとね!ちょっと待ってて!」


私は部屋から一度出て、お父様の部屋で見つけた何本もあった綺麗な瓶に入っていた飲み物を一本ぐらいとってもばれないだろうと思いいつか飲もうと思い前々からくすねてきていた。

このような綺麗な瓶の飲み物など前世ではなかった。きっとこの世界だからこそある飲み物なのだろう。

初めて飲むため手を付けられずにいたがちょうどみんないることだし味の感想を言い合おう。


瓶の蓋を開けたら華やかな香りが部屋中に充満した。高級な紅茶だろうか。

全員分のコップを用意し、それぞれに注いでいく。


「それじゃあカンパーイ!」


私は自分のコップを掲げ一気にそれを飲み干した。



そこからの記憶はない。







いつも読んでいただきありがとうございます。

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