レッツ・パーティー 4
カイニスと別れ、私はリリィを探しに向かった。
「よっ、シンシーリア」
「ポーテルド様」
声をかけてきたのはポーテルド様だった。
えんじ色のスーツに金色の胸飾りをしているだけのものだったがポーテルドの男らしさを引き出すには十分だった。
「その服とってもシンシーリアに似合っているね、赤い髪がよく目立つ。」
「ありがとう、ポーテルド様もとっても素敵よ。そのえんじ色のスーツとっても似合ってる、今年はやるのかしら?」
「まぁね、商人の息子だから流行には乗らないとね。珍しい色だろ、先取りで今日着てきたんだ。」
「えぇ、今日のパーティでその色の服を着ているのはポーテルド様ぐらいだわ。それでリリィはどこにいるか知っている?探してるんだけど見当たらなくて」
先ほどから結構探しているがリリィが見当たらない。
「リリアン聖騎士なら他の令嬢に誘われてダンスを踊っているよ。」
ポーテルドが指さすところに女性と踊っているリリィがいた。
聖騎士は人気が高く、女性聖騎士見習いでもあるリリィも例外ではない。
何人の女性からのダンスを誘いを断れず一人一人対応しているとのことだ。
「それじゃあ私と踊れるのはだいぶ後になるわね。」
リリィを待っている間に何をしようか考え込む。
するとポーテルドが私に手を差し出す。
「よろしければ、私と一曲踊ってくれませんか?シンシーリア・レバートリー令嬢」
いたずらっぽく言う彼を見て笑いが出た。
「えぇ、こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。」
そして私はポーテルドの手を受け取った。
「アルファランス様と一緒に会場に入ってきたの見たよ、一緒に来ないんじゃなかったの?」
ダンスを踊りながらポーテルドが問いかけてくる。
「それが私にもよくわからず・・・会場前で待ってらして。」
「ふぅん、もしかしたらずっと誘いたかったけど今の今まで誘えなかっただけかもよ?」
「アハハッ、なんですかそれ、あり得ません。」
でも確かに乙女ゲームの主人公と初めてのパーティの時もカイニスはパーティ会場の前で主人公をまっており、「あなたと一緒に行きたい。」と主人公に手を差し伸べていた。
ちなみにその場面は特別絵仕様となっておりカイニスがドアップでかっこよく描かれていたのをスクショしたのを覚えている。
(少し似てはいたけど私の場合は婚約者としての建前だろうし。あー、はやく主人公に会いたいなー)
ゲームでは主人公の顔が映らなかったのでどんな顔をしているのかさえもわからない。
平民の生まれだが数少ない光魔法の持ち主であることが周りに知れ渡り、来年から学園に入学してくるのだ。
「そうかな?あの方は口下手だからね・・・」
ポーテルドがつぶやいた声は私には聞こえず、幾度も足を踏んでしまった私に対して大笑いした。こちらを見ていたカイニスに気づきながらも。
「はぁぁ、やっと終わった・・・」
何人もの女の子の相手が終わったリリィは少し疲れた顔で私とポーテルドとペペローメのところに戻ってきた。
ペペローメはというとポーテルドとのダンスが終わった後に勢いよくこちらに駆け寄ってきてカイニスとのことを聞いてきたのだ。
「あなた!カイニス様と一緒に来てたじゃない!
どういうことよ!いや、婚約者なんですからまぁ当たり前のことなんですけど…」
「いやぁ、私もよくわからないんですよ、とりあえずお腹空いてるんで何か食べませんか?あ、ペペローメ様、ペペロンチーノありますよ!」
「私は別に好きじゃありませんわよ!!」
リリィを待ってる間私たちは美味しいご飯を食べつつ待とうとしたところ何人かの女性達が目の前に現れる。
「こんばんわ、レバートリー令嬢。」
ガチャガチャに着飾った女性と何人かの取り巻きが私を見ながらニヤニヤしている。
「カイニス様とご一緒に会場に入られたところ見ましたわ。まぁ婚約者でありますからエスコートされるのは当たり前でありますよね。婚約者であるレバートリー令嬢が羨ましいですわ。」
(…香水の匂いがキツすぎてご飯が美味しくなくなるんだけど)
「カイニス様は公爵家の令息でございますし魔法も成績もトップ、生徒会長も務めておりますのに最近のレバートリー様というと…カイニス様の婚約者として如何とは思いますわ。」
「……………」
「いきなりあんなダサい制服を着るようになりましたし、美味しくもない食堂でご飯をされるようになりましたし、」
「……………」
「貴族とのお茶会にも参加されなくなったと思えば平民なんかと関わりを持つようになりましたし、」
「……………」
「それに今回の試験の結果見ましたわ!
貴族として恥ずかしいと思いませんの?」
「……………」
「………食べてないでなにか仰ったらどうですの…?」
香水令嬢の言いたいことを最後まで黙って聞くと口に入ってた食べ物を飲み物で流す。
「……つまり令嬢はアルファランス様のことを好きなんでしょうか?」
「なっ!」
香水令嬢は顔を真っ赤にし、口はぱくぱくと魚のようにしている。
「アルファランス様が好きなのでしたら淑やかで人の悪口を言わないような人が好みですわよ。」
「そ、そんなの…」
私は香水令嬢の頬に手を添えじっくりと顔を見つめる。
「人を貶めるような事ばかりいうのはやめたほうが宜しいと思います。他人に興味を持つのなんて時間がもったいないです。令嬢の時間は令嬢を磨くためだけにお使いください。
令嬢はとってもお綺麗なんですから!あと香水はもう少し控えたほうがいいです。」
私は極上の微笑みを向けると令嬢は先ほど以上に顔を赤くして取り巻きと共に去っていってしまった。
ペペローメはその一部始終をぽかんと見つめ、ポーテルドはケラケラとわらった。
「すごい、令嬢キラーだね!」
リリィと美味しいご飯を食べまくった後、少ししたらダンスを踊りに行き、またお腹が空いたらご飯を食べるような事を何度もしてパーティーが終わった。
前世ではパーティーなど参加したこともなかったためとても楽しい思い出となった。
今日のことを忘れないと誓おう。
そしてみんなは明日からは夏休みに入る。
三日間の補習がある私とリリィを置いて。




