レッツ・パーティー 3
「ホワイトローズ騎士団に入りたいからです。」
「・・・なぜだ?」
少し驚いているカイニスが私に問いかける。
「なぜって・・騎士に憧れていたからです。」
「それは守られる側としてじゃなくてか?」
「なんですかそれ?女性は誰かに守られなきゃいけないってことですか?」
(あんたシンシーリアのこと守るどころか罰したじゃないか。)
カイニスは答えることなく静かになる。
「・・・はぁ、そういう女性もいるとは思いますが全員が全員そうではないと思いますよ。
特に私の場合は守ってくれる方もおりませんしね、自分でどうにかしなくてはならないのです。」
もしホワイトローズ騎士団に入れなくても、もし乙女ゲームの内容のようにシンシーリアが断罪されることになっても生きてさえいれば人生はやり直せる。
誰かが敷いてくれるレールが地獄とわかっているのにそれを悠長に歩いている場合ではないのだ。
シンシーリアは貴族生まれではあるが伯爵家、地位としての力としてはそこまで強くない。
地位をあげて力をつける事なんて私にはできない。今の私にできることは身体として力をつけることだ。もし追われるはめになってもそれから逃げだせる力まではつけたいと思っている。
「それは、私のせいか?」
「はい?」
カイニスが言っていることが本当にわからない。
「私があなたを守るどころかまともに接して来なかったから騎士団を目指すことにしたのか?」
「アルファランス様のせいではないです。私は私の為に聖騎士団に入りたいのです。」
もし原因があるとしたらここが乙女ゲームの中であることだけでカイニスのせいだと思ったことは一度もない。
「自分の人生ですから、親に決められたことを大事にするより自分がしたい事を大事にします。」
「両親から反対されるのでないか。」
「そしたらそれまでです。親子の縁を切るぐらいですね。私平民でも生きていけますし。」
もし親から絶縁され、騎士団にもなれず平民にでもなったらバイト時代に店長から伝授してもらったうどんでお店でも出そうかな。
店長が作ったうどんとは雲泥の差だったが見込みはあるといわれた私のうどん作り、この世界で披露するのも悪くない。
「・・・・そんなに私との結婚は嫌なのか?」
「いえ?そういうわけではないですよ?正直アルファランス様、私のドタイプですし。」
まじまじとカイニスの顔を見つめると少し照れたのか、カイニスは目をそらす。
そんな仕草も絵になるほど美しかった。
「だけどダメなのです。」
「なぜだ?」
「アルファランス様には将来愛する方が出来るからです。それは決して私ではありません。」
「そんなことわからないだろう?」
私は首を横に振りカイニスの言葉を否定する。
「私はその方とカイニス様の邪魔はしたくありません。私たちはただの政略結婚であり愛はありませんでした。確かにお互いの家を守るためにそのような手段をしなくてはならない時もありますが、私たちの場合、その先にあるのは不幸です。家を守るために自分を不幸にするということは私には考えられません。」
特に私の場合はここの家にも両親にもまったく思い入れがない。
なくなっても特に悲嘆に思うこともない。
「アルファランス様、どうか幸せになってください。」
カイニスからの返事を待つより先に私はドレスの裾をあげ、お辞儀をしテラスから出ようとする。
「シンシーリア令嬢」
初めてカイニスから名前を呼ばれた。
「本日のあなたの姿は綺麗だ。」
カイニスが主人公以外に褒めるとは驚きだ。
それがましてや悪役令嬢である私に投げかけられるとは。
驚きのあまりお礼の言葉もろくに言えないままそそくさと会場の中に入った。
夏だからだろうか、身体が暑かった。
読んでくださってる方々、いつもありがとうございます。




