レッツ・パーティー 2
目の前にはカイニスがいた。
全体的に紺で基調されコートはいたるところに金色の刺繡がいれこまれてあり、後ろはひざ下あたりまで伸びている。黒のロングブーツをはき髪はオールバックにしている。
見る人々の視線を奪えるほど綺麗な姿に私も少し見惚れしまったのは事実だ。
しかしなぜ彼があのようなところに立っているのだろうか?生徒会長としてくる人たちのお出迎えでもしているのだろうか?
「シンシアどういうこと?どうしてあそこにアルファランス様がいらっしゃるの?」
「いや、私もわからないんだけど・・・生徒会長としてあそこに立っているんじゃない?とりあえず挨拶だけしてさっさと中に入ろ。」
私とリリィはカイニスのそばに行き挨拶をする。
「こんばんわ、アルファランス様」
カイニスはじっと私をみると次にリリィに顔を向ける。
「一緒に来たのか?」
「はい、本日のシンシーリア様のエスコートをさせていただきたく思っております。」
「そうか、ご苦労だった。」
そういうとカイニスが私に手を差し出す。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
この手は一体なんだろうか。
私もリリィも黙ってその手を見つめる。カイニスも何も言わない。
「えっと、アルファランス様、これはどういうことでしょうか?」
口を開いたのはリリィだった。
「中では婚約者である私がエスコートをする」
「はい?」
「結構です。」
間を置くことなくきっぱりと断る。
「アルファランス様とはそのようなお約束をしておりませんでしたし私はリリアン聖騎士にエスコートの約束をしておりました。レバートリー伯爵の娘として約束を破るようなことは致しません。」
「し、しかしこういうところは婚約者と一緒に向かうものだろう。」
「去年は私とアルファランス様は一緒にパーティ会場に入られましたか?」
「・・・・・・」
無言ということはカイニスはシンシーリアをエスコートしなかったということだ。
カマかけてみて正解だった。
しかしカイニスは私たちの前からどくこともなくずっと手を差し伸べている。
「・・・わかりました。それではアルファランス様、シンシーリア様をどうぞよろしくお願いいたします。」
埒が明かないと思ったのかリリィがしびれを切らしてカイニスに私のエスコートを譲った。
(ちょっとリリィ!!)
リリィに目線を送ったがリリィは諦めろというように肩をすくめた。
すこし悩んだ末、諦めてカイニスの手を取った。
「行こう」
そして私とカイニス、リリィはその少し後ろを歩きパーティ会場に向かった。
遅れて会場に入った3人は皆の視線を独り占め、もとい三人占めした。
この国で5つしかない公爵家の跡取りのカイニス・アルファランス。
入ることが難しいホワイトローズ騎士団の見習い騎士のリリアン・バルトラ。
そしてカイニス・アルファランスの婚約家であり最近リリアン・バルトラと親しく、いい意味でも悪い意味でも変わったシンシーリア・レバートリー。
周りの学生たちは好奇、羨望、嫉妬といろいろな感情をこめてこちらを見てくる。
すでにパーティは始まっているためどこからか音楽が流れており何人かの人たちがダンスを踊っている。
会場までのエスコートを終えたカイニスと別れようとしたところ、カイニスは私に向かってダンスの誘いをしてきた。
(一体どういう風の吹き回しなの?)
カイニスの意図が分からずすこし警戒したものの周りの目があるため断ることができない。
社交界のダンスなんてまだこちらに来て約2か月間しか学んでいないためうまく踊れる気がしないがしかたない、土壇場での私の根性見せてやる。
カイニスのダンスは下手くそな私をうまくフォローできるほど上手だった。
それでも私は何回もカイニスの足を踏んでしまったがそれを指摘することもなかった。
「少し話さないか。」
音楽が一曲分終わるとカイニスが提案してきた。
いつもならきっぱり断るところだが足を数えきれないほど踏んでしまった手前、逃げるような形になってしまうと思い私は受け入れた。
給仕から飲み物を受け取り、外のテラスに出た。
中はまだダンスを楽しむものが多く、テラスには私とカイニスしかいない。
飲み物で乾いた喉を潤し、空を見上げる。今日は天気が良かったのかチラホラと星が見える。
「先日、あなたの試験の結果を見た。」
(見ないでよ。)
カイニスは当たり前の一位、一番右に名前が載っていたはずなのになぜ左側から片手で数えられる順位にいた私なんかの名前を見つけられたのだろう。
「その・・・今回は調子が悪かったのだろう。」
人に冷たく、他人と関わることを極力関わろうとしないクールと称されるカイニスから慰めの言葉をかけられると逆に悲しくなった。
「それにあなたが放課後リリアン・バルトラと稽古しているのを何度も見かけた。」
「!」
あそこは人が通りにくい、学園の裏にあるし日向が入らなく気味がわるいと思われるためあそこの道を通る人など使われてない器具が置いてある倉庫に用事がある時ぐらいだ。
それなのにカイニスがあそこを通って私たちを見かけたということは倉庫に用事があったか私たちの後を追いかけたかのどちらかだろう。
「どうして彼女から稽古なんかをつけてもらっている?」
「ホワイトローズ聖騎士団に入りたいからです。」
今更しらを切っても仕方ない。
私は正直に話すことにした。




