第97話:家族写真ですわ!
町の写真館から届いた家族写真が、居間の一番目立つ場所へ飾られていました。
写っているのは、中央に座る麗奈、その隣に立つ橘と小春、足元のシロ、後ろで大きな顔を覗かせるノアです。
「よく撮れていますわね」
麗奈は何度目か分からないほど写真を眺めていました。
「ノアが少し大きすぎますけど」
「それは仕方ありませんの」
小春が写真の端を指します。
「橘さんと私、少し近いですね」
撮影の瞬間、ノアが動いたため、二人は自然と寄っていました。
麗奈はその部分をじっと見つめます。
「やはり……」
「まだ勘違いしてるんですか?」
「勘違いとは限りませんわ!」
「限ります」
その日、アリサが屋敷を訪れました。
写真を見るなり、少し不満そうな顔をします。
「わたくしが写っていませんわ」
「屋敷で暮らす者の写真ですもの」
「では、わたくしは家族ではありませんの?」
「そういう聞き方はずるいですわ!」
麗奈は慌てました。
アリサの姉と弟まで一緒に来ていたため、話はそのまま、もう一度写真を撮る方向へ進んでいきます。
「次は皆で撮りましょう」
姉が楽しそうに言いました。
「ローゼンコール聖歌隊の記念写真にもなりますね」
弟も頷きます。
「では、橘もピアノの前で写りましょう」
「承知しました」
麗奈は少し考えました。
「小春は橘の隣ですの?」
「どこでもいいです」
「では、隣になさいな」
「なぜですか?」
「何となくですわ!」
小春は怪訝そうな顔をしました。
アリサは麗奈の様子を見て、何かに気づいたようです。
「麗奈さん、もしかして――」
「何も申さないでくださいまし!」
麗奈は小声で遮りました。
「わたくしは、お二人を温かく見守っているだけですの」
「完全に誤解していますわね」
「誤解ではありませんわ!」
翌週、全員で撮った写真が届きました。
麗奈とアリサは中央で少し張り合うように座り、姉と弟がその横に並び、橘と小春はピアノの近くへ立っています。
麗奈は二枚の写真を並べました。
最初の写真は、この屋敷で暮らす者たち。
二枚目は、そこへ集まってきた友人たち。
「増えましたわね」
「何がですか?」
「わたくしの周りにいる方々ですの」
麗奈は少しだけ照れくさそうに笑いました。
「家族かどうかは分かりませんけれど、皆、大切ですわ」
小春は写真を見ながら、静かに頷きました。




