第87話:町の写真館へ行きますわ!
町の写真館から、屋敷の住人を撮影しないかという案内が届きました。
「家族写真のようなものですの?」
「使用人も含めてよいそうです」
麗奈は少し考えました。
「では、皆で撮りますわ」
当日、写真館には麗奈、小春、橘、そして動物たちまで集まりました。
「ノアもですか?」
「家族のようなものですもの」
撮影台へ並ぼうとしますが、ノアが大きすぎて全員が入りません。
シロは麗奈から逃げ、小春の腕へ移ります。
「なぜわたくしのところへ来ませんの!?」
「撮影が進みませんので、前を向いてください」
橘が淡々と言いました。
ようやく全員が収まり、写真家が合図します。
「皆さん、笑顔でお願いします」
麗奈は鏡の前で練習した笑顔を作りました。
「お嬢様、少し怖いです」
「練習の成果ですの!」
「力を抜いてください」
小春が横から囁きます。
そのとき、ノアが麗奈の頬を舐めました。
「きゃっ!」
麗奈が思わず笑い、同時にシャッターが切られました。
後日届いた写真には、自然に笑う麗奈と、それを囲む皆が写っていました。
「……悪くありませんわね」
「一番よく撮れています」
「当然ですわ」
麗奈はその写真を、居間の一番目立つ場所へ飾りました。
しかし、数日後にアリサが写真を見つけます。
「わたくしが写っていませんわ」
「屋敷の住人の写真ですもの」
「では、次は友人も含めて撮り直しますわ」
「か、勝手に決めないでくださいまし!」
結局、次回の撮影予定には九条院家の姉弟まで追加されました。
写真館の人からは、大人数用の背景を用意すると連絡が来ました。




