第83話:お嬢様らしい傘ですわ!
雨が降った朝、麗奈は新しく買った傘を披露しました。
深い紺色の生地に銀色の飾りがつき、露先に一つずつアクセサリーがぶら下がっていて、持ち手にまで豪華な細工が施されています。
「お嬢様には、雨の日の装いも必要ですの」
「普段使いするんですよね? 重くないですか?」
「見た目のためなら多少は我慢しますわ」
麗奈は傘を差して庭へ出ました。
ところが、装飾が多いせいで風を受けやすく、最初の強い風で大きく傾きました。
「ちょ、ちょっと待ちなさいな!」
麗奈は両手で持ち手へしがみつきます。
次の瞬間、傘が裏返りました。
「ひっくり返りましたね」
「見れば分かりますわ!」
小春が普通の透明傘を差し出しました。
「こちらをどうぞ」
「庶民的すぎませんこと?」
「濡れるよりいいでしょう」
麗奈は渋々受け取りました。
透明傘の下から、壊れた高級傘を見つめます。
「見た目だけでは駄目ですのね」
「まあ。珍しく学んだんですね」
「珍しくは余計ですわ!」
その日の午後、麗奈は丈夫さを最優先した傘を注文しました。
ただし持ち手だけは、銀色の豪華な装飾付きです。
数日後、新しい傘が届きました。
麗奈は庭で何度も開閉し、風がないのに強く振って耐久性を確かめます。
「今度こそ完璧ですわ!」
「普通に使ってください」
小春が止めた瞬間、傘の先が植木鉢へ当たり、鉢が倒れました。
「……傘は丈夫でしたわね」
「問題は使う人です」
麗奈は黙って植木鉢を起こしました。




