第82話:お庭で楽しいお茶会ですわ!
「今度は、わたくしがお招きする番ですわ」
麗奈は九条院家の本邸へ招かれて以来、そう考えていました。
「同じ規模は無理ですよ」
「分かっていますわ!」
「使用人を並べるのも?」
「橘と小春しかいませんもの!」
麗奈は庭で小さなお茶会を開くことにしました。
招待したのは、アリサと姉、弟です。
当日、庭のテーブルには紅茶と菓子が並びました。
「本邸ほど広くはありませんけれど、こちらにはこちらのよさがありますの」
姉は庭を見渡し、微笑みました。
「とても落ち着きますね」
「本当ですの?」
「ええ。麗奈さんらしい、温かいお茶会です」
弟はノアのそばへ行き、静かに頭を撫でています。
アリサは紅茶を一口飲みました。
「悪くありませんわね」
「もっと素直に褒めてもよろしくてよ?」
「十分に褒めていますわ」
そのとき、風でナプキンが飛びました。
弟が立ち上がるより早く、ノアが走り、口でくわえて戻ってきます。
「まあ。ノア、よくできましたわ!」
「少しよだれがついていますね」
小春が言いました。
「洗えばよろしいですの!」
姉が小さく笑いました。
「麗奈さんの周りは、賑やかで楽しそうですね」
麗奈は皆を見回しました。
「ええ。少し騒がしいですけれど、悪くありませんの」
その言葉に、アリサが静かに微笑みました。
お茶会の終わり頃、弟が小さな包みを麗奈へ差し出しました。
「これ、家の庭で咲いた花です」
中には押し花で作られた栞が入っていました。
「まあ……きれいですわね」
「本を貸してくれたお礼です」
「まだ貸していませんわよ?」
「これから借りたいです」
「先にお礼を渡すとは、なかなか抜け目がありませんの」
麗奈は笑いながら栞を受け取りました。
「では、今度書庫をご案内しますわ」
「はい」
アリサが弟を見て、少しだけ驚いた顔をしました。
「随分と麗奈さんに懐きましたのね」
「わたくしの人徳ですわ」
「ノアがきっかけでしょう?」
「入口がノアでも、最後はわたくしですの!」
麗奈は胸を張りました。




