↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
71/100

第71話:停電してしまいましたわ!

 夜。


 麗奈が居間でくつろいでいると、突然、屋敷中の明かりが消えました。


「ひゃあっ!」


 暗闇の中で、麗奈の声が響きました。


「停電のようです」


 橘の落ち着いた声が聞こえます。


「分かっていますわ! 急に消えたから驚いただけですの!」


「怖いんですか?」


 小春の声も聞こえました。


「怖くありませんわ!」


 麗奈は立ち上がろうとしました。


 直後、膝をテーブルへぶつけました。


「痛いですわ!」


「動かない方がいいですよ」


「先に言いなさいな!」


 橘が懐中電灯を点けました。


 暗闇の中に、白い光が浮かびます。


 麗奈はすぐさま橘の近くへ移動しました。


「随分近いですね」


「明かりがこちらにあるからですの」


 窓の外を見ると、近隣の家も暗くなっています。


 屋敷だけの故障ではないようです。


「復旧まで少しかかるかもしれません」


 橘は非常用のランタンをいくつか用意しました。


 薄い明かりの中、三人は居間に集まりました。


「せっかくですから、何かお話でもしません?」


 小春が提案しました。


「では、怖い話を」


「嫌ですわ」


 麗奈が即答しました。


「怖くないんですよね?」


「停電中に怖い話をする必要がありませんの」


「怪談の定番ですけど」


「定番に従う義務はありませんわ!」


 そのとき、廊下の奥から物音がしました。


 ごとり。


 麗奈の肩が跳ねました。


「いま、何かいましたわよね?」


「シロでは?」


「シロなら、もっと静かに歩きますの」


 再び物音がしました。


 今度は少し近づいています。


 麗奈は無言で橘の袖をつかみました。


「お嬢様?」


「離れないでくださいまし」


「怖いのですか?」


「護衛を求めているだけですの!」


 橘が廊下を照らしました。


 光の先から、大きな影が現れます。


「ひっ!」


 次の瞬間、巨大なノアが勢いよく駆け寄ってきました。


 停電で不安だったらしく、麗奈へ身体を寄せます。


「ノアでしたの……」


 麗奈は胸をなで下ろし、その大きな頭を抱えました。


「あなたも怖かったのですわね」


 ノアは嬉しそうに尻尾を振っています。


 直後、電気が復旧しました。


 明るくなった居間で、麗奈は橘の袖を握り、ノアへ抱きついた状態になっていました。


 小春がその姿を見ます。


「随分厳重な護衛ですね」


「念には念を入れましたの!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。