第58話:駄菓子屋へ参りますわ!
アリサさんを連れて、近所の駄菓子屋へやって来ました。
「こちらが、駄菓子屋ですの?」
「見れば分かりますでしょう?」
店先には、小さな菓子や玩具が所狭しと並んでいます。
アリサさんは棚を見回し、珍しそうに目を輝かせました。
「こちらは、箱ごと購入するものではありませんの?」
「1つずつ選びますの」
「十円と書いてありますわ」
「そのお菓子1つの値段ですわ」
「十円で?」
「ええ」
アリサさんは、しばらく菓子と値札を交互に見ていました。
「安すぎませんこと?」
「駄菓子ですもの」
わたくしは小さな籠を取り、慣れた手つきで菓子を選びます。
「麗奈さん、詳しいですわね」
「一般的な知識ですの!」
「お嬢様学校では習いませんわよ」
「世界を知ることも教養ですわ!」
これ以上聞かれると危険です。
「百円ずつにいたしませんこと?」
アリサさんが硬貨を取り出しました。
「百円以内で、より良い買い物をした方が勝ちですわ」
「よろしいでしょう!」
二人で店内を回ります。
量を取るか。
味を取るか。
当たり付きに賭けるか。
わたくしは計算しながら、慎重に選びました。
「九十円ですわ!」
「わたくしは百円ちょうどですの!」
会計へ持っていくと、店番の女性が首を傾げました。
「お姉ちゃんたち、これ一個二十円だよ」
「十円ではありませんの?」
「値札、隣の商品だね」
計算をやり直すと、わたくしは百十円。
アリサさんは百二十円でした。
「二人とも予算を超えてるよ」
近くにいた小学生が教えてくれました。
「……麗奈さん」
「何ですの?」
「今回は引き分けですわね」
「そういうことにしておきますの」
結局、超えた分も支払って全部購入しました。
屋敷へ戻ったあと、アリサさんは当たり付きの菓子を開けました。
「当たりですわ!」
「何ですって!?」
「勝負はわたくしの勝ちですの」
「会計の時点で終わっていますわ!」
駄菓子屋でも、アリサさんは相変わらずでした。




