第45話:今度こそ捕まえますわ!
番犬を迎えたというのに。
また、物がなくなりました。
「今度こそ犯人を捕まえますわ!」
なくなったのは、昨日買った菓子。
新しい手袋。
髪を結ぶリボン。
それから、寝間着の上着。
「番犬がいるのに、どうやって盗んだんでしょう」
小春が首を傾げます。
「恐ろしく手慣れた相手ですの!」
「ノアは夜中、ずっとお嬢様の部屋の前にいました」
橘が申しました。
「では、窓から入ったんですわ!」
「窓は内側から施錠されております」
「屋根裏ですの!」
「屋根裏へ通じる扉も閉まっております」
「地下道!」
「ございません」
「なぜ、わたくしの推理をすべて否定しますの!?」
このままでは、屋敷の物がすべて盗まれてしまいます。
「今夜、張り込みますわ!」
「お嬢様が?」
「犯人を捕まえるまで眠りませんの!」
深夜。
わたくしは応接室の椅子へ座り、毛布に包まっていました。
隣にはノア。
机の上には、犯人を誘き寄せるための菓子。
「よろしいですこと。誰か近づいたら知らせなさい」
「わん」
一時間。
二時間。
何も起こりません。
「犯人も警戒しているようですわね」
ノアの大きな身体は温かく、毛布よりも心地よい。
少しだけ目を閉じても大丈夫でしょう。
「少しだけですの……」
翌朝。
「お嬢様」
小春の声で目を覚ましました。
「犯人ですの!?」
「いいえ、私です。もう朝ですよ」
机の上の菓子が消えています。
「やられましたわ!」
「袋は、お嬢様の手元にありますけど」
見ると、空袋を握っていました。
「……犯人が持たせたんですの」
「無理があります」
「では、寝ている間に操られたんですわ! ほんと悪趣味な犯人ですこと」
「もっと無理があります」
それでも、手袋とリボンと寝間着は見つかっていません。
犯人は、まだ屋敷のどこかにいる。
わたくしは、そう信じていました。




