第27話:学校は行ってませんわ!
とある日。
すっかり当たり前のようになってきたお茶会。
アリサさんは、向かいの席で紅茶を飲みながら、ふと首を傾げました。
「そういえば、麗奈さん」
「何ですの?」
「あなた、学校へは通っていませんの?」
わたくしの手が止まりました。
「藪から棒に何ですの?」
「平日の昼間でも、いつも屋敷にいらっしゃるでしょう?」
「お嬢様には、お嬢様の生活がありますの!」
「つまり、ニートと」
「通信の課程ですので、毎日出向く必要がないだけですわ!」
嘘ではありません。
以前から人の多い場所が苦手だったわたくしは、自宅で学べる課程を選びました。
勉強も仕事も、画面の前で事足ります。
「そうでしたのね」
アリサさんは納得したように頷きました。
「何ですの、その顔は」
「別に何も」
「わたくしを、社会から隔絶された者を見るような目で見ないでくださる?」
「そこまでは申していませんわ」
「目が申していましたの!」
アリサさんはカップを置くと、少し考え込みました。
「でしたら、今度わたくしの学校へいらっしゃいませんこと?」
「あなたの学校へ?」
「来週、外部の方も参加できる公開日がありますの」
「見学ということですの?」
「ええ」
「……見学ではありませんわ」
「では、何ですの?」
わたくしは扇子を開きました。
「お嬢様教育の現場を視察して差し上げますの!」
「そのように言うと思いましたわ」
アリサさんが小さく笑います。
「ただし、わたくしの学校には大勢の生徒がいますのよ」
「当然でしょう?」
「皆さんから話しかけられるかもしれませんわ」
「問題ありませんの!」
「本当に?」
「わたくしを誰だと思っていますの?」
立派なお嬢様ですわ。
会話くらい、いくらでもできますの。
一対一なら。
「では、決まりですわね」
「ええ。楽しみにしていなさいな!」
アリサさんが帰ったあと。
わたくしは小春を応接室へ呼びました。
「来週までに、初対面の方と自然に話す方法を教えなさい」
「問題ないんじゃなかったんですか?」
「念のため!」




