第26話:と、友達ではありませんわ!
庭園の整備も進み、屋敷の一部も随分と綺麗になりました。
その日の午後。
わたくしとアリサさんは、テラスで紅茶を飲んでいました。
シロは少し離れた場所で眠っています。
「お二人、すっかり仲良しですね」
紅茶を運んできた小春が申しました。
「仲良しではありませんわ!」
「友達ではありませんの!」
わたくしとアリサさんの声が、綺麗に重なりました。
「ただのお茶会相手ですわ」
「仕方なく、お付き合いして差し上げているだけですの」
「毎週会ってますよね?」
「予定が重なるだけですわ!」
「次のお茶会の日まで決めているのに?」
「必要な調整ですの!」
小春は納得していない顔で、空になった皿を片づけました。
最後に一つだけ残ったお菓子を、アリサさんと同時に見ます。
「わたくしがいただきますわ」
「お客様へ譲るべきではなくて?」
「ここは我が家ですの」
「でしたら、半分にします?」
「仕方ありませんわね」
お菓子を二つに分けます。
大きさが、ほんの少し違いました。
「そちらの方が大きいですわ」
「気のせいですの」
「交換なさい」
「嫌ですわ」
「友達なら譲るものでしょう?」
わたくしは、にやりと笑いました。
「友達ではありませんもの」
「……そうでしたわね」
アリサさんも笑います。
帰る時間になり、アリサさんは門の前で振り返りました。
「来週も伺ってよろしいかしら」
「仕方ありませんわね」
「別に、楽しみにしているわけではありませんのよ」
「わたくしもですわ」
「では、また」
「ええ。またですの」
友達ではありません。
少なくとも、わたくしたちはそう言い張っていますの。




