何故かこうなった
冒険者は冒険してなんぼである。
強大なイレギュラーを討伐し、莫大な富を得たからといって、一生遊んで暮らせるほどでもない。
と、いうわけで。
僕たち『星詠みの戦乙女』パーティー➕1名(なぜか勝手についてきたヤミ僧侶)は、この間アビス・ベヒーモスという規格外の化け物を倒した『深緑の迷宮』の下層へと再び潜っていた。
今回の目的は、素材集めでも宝探しでもない。
「あの化け物が、どこから、どうやって現れたのか」を調査するための、ギルドからの公式ミッションである。
「気まぐれに厄災級のモンスターが出てくるようなダンジョンを、一般の冒険者に開放しておくわけにはいかんからな。原因を究明できなければ、この迷宮は永久封鎖となる」
そう渋い声で語るのは、今回ギルドから調査員として派遣されてきたベテラン戦士のガレンさんだ。
彼はかつて第一線で活躍し、今はギルド職員(室長クラスの役職らしい)として後進の育成や迷宮の管理を行っている、筋骨隆々のナイスミドルである。
「さあ、油断するなよ若人たち。迷宮探索は基本がすべてだ。足運び、周囲への警戒……気を引き締めていけ」
「はいっ! ガレン室長!」
エリアリアさんが緊張した面持ちで頷く。
そんな厳格なベテラン戦士を案内する道中だというのに——僕の周囲の空気は、相変わらず地獄のようにギスギスしていた。
「……ねえ、なんであんたが平然とついてきてるのよ」
「あら。この迷宮はギルドの管轄。冒険者である私がどこを歩こうと自由でしょう? それに、愛しいアレンが不完全なメス豚共の護衛で傷つきでもしたら大変ですからね」
冷気を放つエリアリアさんの視線を、ミランがタロットカードをシャッフルしながら涼しい顔で受け流す。
「ふふっ……今日の運勢は『戦車』の正位置。障害を乗り越え、目的に突き進む暗示。つまり、今日こそアレンを気絶させてお持ち帰りできるという星の導きです」
「不吉な占い結果を堂々と発表しないでくれる!?」
「アレン! この女が近づいてきたら、私が自慢の短剣でアレしてあげるからね!」
「アレン、あなたはおとなしく私のローブの裾を掴んでいなさい。絶対に離れちゃダメよ?」
リティが威嚇するように短剣を構え、セレナが僕の手を引いて自分の背中に隠す。
右を見れば過保護な戦乙女たち、左を見れば手枷を持ったヤンデレ僧侶。
間に挟まれた僕は、胃薬を【限定空間収納】から取り出したい衝動と必死に戦っていた。
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