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「よわよわショボいポーター実は最強のスキル待ち〜追放されたので、なぜか女子パーティーに拾われ溺愛されています〜」  作者: 虹の箸


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ドラゴン娘参戦!

『幻影の地下迷宮』の一件から数日後。

僕たちはギルドからの指名で、最近地震によって偶然入り口が開いたという、未踏破の古代洞窟の調査へと赴いていた。

未開の地とはいえ、実力(と、僕への執着)が底上げされた彼女たちの前では、行く手を阻む凶悪な魔物たちもただの障害物でしかない。

「アレンの視線を1秒でも長く独占するため、邪魔者は物理的に排除します!」

「アレンくん、お腹すいたからサクッと片付けてお昼にしよ!」

ミランの純銀のフルスイングと戦乙女たちの完璧な連携により、洞窟の魔物たちは文字通り一瞬で塵へと変えられていく。

僕は、そんな彼女たちの後ろを追いかけながら、ふと瓦礫の隙間に『何か』が挟まっているのを見つけた。

「……ん? あれは……」

近づいてみると、そこには手のひらサイズの、小さなトカゲのような生き物が挟まっていた。

全身が夜空のように美しい漆黒の鱗に覆われているが、瓦礫に潰されたのか、小さな翼の付け根から血を流して「きゅぅ、きゅぅ……」と弱々しく鳴いている。

「大変だ、怪我をして動けなくなってる……!」

僕のお人よしな『雑用サポーターの血』が瞬時に発動した。

僕はすぐに駆け寄り、瓦礫を優しく退けると、【限定空間収納ワン・キューブ】から『特製の上級キズ薬』と、エリアリアさんたちの髪を手入れするために愛用している『極細の高級獣毛ブラシ』を取り出した。

「大丈夫だよ、痛いのは今だけだからね」

僕は傷口を丁寧に洗浄して薬を塗り、包帯を巻いてあげた。さらに、泥や血で汚れた美しい鱗を、ブラシを使ってそれはもう優しく、一本一本の毛並みを整えるように丁寧にブラッシングしてあげたのだ。

仕上げに、収納内で完璧な温度に保温されていた、栄養満点の特製スープをスプーンで口元へ運ぶ。

「はい、あーん。美味しいよ」

「きゅ、きゅぅぅぅ……ん♡」

小さなトカゲ……いや、子竜は、生まれて初めて受ける極上のホスピタリティと完璧なお世話に、完全にノックアウトされたようだった。目は完全にハートマークになり、僕の指にぷにぷにの尻尾をギュッと巻きつけて離れなくなってしまった。

「あ、アレン……! あなたって人は、魔物の子供にまでそんな無自覚なジゴロスキルを……っ!」

エリアリアさんが頭を抱えるが、僕は「可愛いですね。大人しくなるまで、僕の【ワン・キューブ】で寝かせておきます」と、その小さな子竜を保護して下山することにした。

しかし、僕たちは知らなかった。

その小さな子竜こそが、古い神話に記され、一国を一夜にして消滅させると恐れられる伝説の神獣——『終焉竜オメガ・ドラゴン』の幼体であったことを。

街に戻り、定宿の『木漏れ日亭』の食堂で一息ついていた、その時だった。

僕の膝の上でスヤスヤと眠っていた子竜の全身が、突如として眩いばかりの漆黒の光を放ち始めたのだ。

「な、何ごとかしら!?」

「魔力圧が……天変地異レベルよ!?」

セレナが杖を構え、全員が身構える。

光が徐々に収まっていくと、そこには——トカゲの姿ではなく、漆黒の髪をなびかせ、頭に小さな2本の角と、背中に可愛らしい竜の翼を生やした、絶世の美少女が座っていた。

「……ふぇ? ぼく、おっきくなった?」

少女は自分の小さな手を見つめた後、僕の顔を見るなり、パァァァッ! と満面の笑みを浮かべて僕首にしがみついてきた。

「アレン! アレンのごはん、おいしい! ブラッシング、きもちいい! ぼく、アレンのことが宇宙で一番だいすき!!だからにんげんになった!」

「え、ええええええええっ!? し、喋った!?っていうか人間になれるんだ!?」

僕がパニックを起こしていると、少女は僕の膝の上に堂々と仁王立ちし、食堂にいた4人のヒロインたちを鋭い『竜のドラゴニア・アイ』で睨みつけた。

「アレンはぼくのもの! ぼくはアレンと結婚するの! 邪魔するやつは、ぼくの黒炎メガ・フレアで消し炭にしてあげる!」

少女の背後から、国を滅ぼしかねないほどの絶望的な神獣のプレッシャーが放たれる。

しかし、これに黙っている4人の愛のバケモノ(ヒロイン)たちではなかった。彼女たちの瞳から一斉に光が消え、吹雪以上の極寒の殺気が食堂を満たす。

「……はぁ? 正妻ですって?」

エリアリアさんが剣を抜き、殺気だけで食堂のグラスをパリンと割った。

「ぽっと出の、っていうか種族すら違うトカゲ娘が、アレンの正妻を名乗るなんて100万年早いわ! アレンの膝の上は、リティと私の特等席よ!!」

「そうだよ! おんぶしてもらうのも、お茶淹れてもらうのも、私たちが先なんだから! 新参者のトカゲは引っ込んでて!」

リティが短剣を構えて牙を剥く。

「あら、絶滅したはずの終焉竜かしら。面白いわ、その高慢な鼻柱を私の極大魔法でへし折って、アレンの目の前でただのトカゲに戻してあげるわ」

セレナの周囲に、天変地異レベルの魔法陣が展開される。

そして、ミランが純銀の杖をメリメリと握りつぶしながら、暗く濁った瞳で神獣の少女を見下ろした。

「……神獣だろうと関係ありません。アレンに抱きついていいのは、アレンを鎖で繋ぐ権利を持つこの私だけです。あなたのその生意気な翼と角、今すぐへし折って差し上げましょう」

「ガルルルルッ! やる気かメス豚ども! ぼくのブレスでドロドロにしてやる!」

「上等よ! かかってきなさい、この害獣娘!!」

「「「「死ねぇぇぇぇぇぇっ!!!!」」」」

ドガァァァァァァァァンッ!!!!

宿屋の食堂を舞台に、人類最高峰の過保護&ヤンデレvs世界を滅ぼす伝説の神獣による、『アレンの正妻(お世話される権利)決定戦』が幕を開けた。

飛び交う終焉の黒炎、エリアリアの神速の剣、セレナの爆発魔法、そしてミランの物理による超絶フルスイング。

「ひぃぃぃぃぃぃっ!? やめて、宿屋の食堂が! 木漏れ日亭が完全に崩壊しちゃうからやめてぇぇぇぇっ!!」

僕は涙目でを部屋の隅へと避難した。

前の勇者パーティーにいた頃は、自分が無能だと思い知らされ、毎日泥水をすすっていた。

それが今や、一国の騎士団や、世界を滅ぼす神獣ドラゴンまで巻き込んで、僕を取り合うために世界最高峰の戦いが繰り広げられている。

「あーもう! 柱が折れたらご飯作れませんからね! 喧嘩するなら外の荒野でやってください!!」

僕がプリプリと怒りながら叫ぶと、神獣の少女もヒロインたちもピタッと動きを止め、「「「「「ごめんなさい、アレン(様)……」」」」」と一斉にシュンと頭を下げた。

前のブラックな日々は完全に遠ざかったけれど、人外のドラゴンまで参戦し、僕のカオスで騒がしいサポーターライフは、ますます世界の危機へと突入していくのだった。


お読みいただきありがとうございました。

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次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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