全然問題解決してないじゃん!
王都の冒険者ギルド、応接室。
ギルド室長のガレンさんは、引きつった顔でハンカチを取り出し、流れ出る冷や汗を拭っていた。
「……あー、ゴホン。見事な手際(物理)だったな。まさか、厄災の楔である呪いの石像を、杖によるフルスイングで粉砕するとは……」
「愛の力です」
胸を張って即答するミランに、ガレン室長だけでなく、僕たちも遠い目をするしかなかった。
「と、ともかくだ! 石像を破壊したことで当面の危機は去ったが、**『誰が、どんな目的であの石像を設置したのか』**という根本的な謎は解明されていない。引き続き、君たちにはダンジョン攻略のついでで構わんので、不審な動きがないか探索を続けてもらいたい」
ガレンさんから追加の報酬と依頼金を受け取り、僕たちはギルドを後にした。
そして現在。
ギルドの帰り道、僕たちの後ろには、当然のようにミランがぴったりとくっついて歩いていた。
エリアリアさんが振り返り、盛大なため息をつく。
「……ねえ。なんであんた、当然のように私たちのパーティーに混ざろうとしてるのよ」
「あら。アレンがいる場所が私の居場所ですけれど? 何か問題でも?」
「大ありよ! だいたいあんた、僧侶のくせに回復魔法もかけずに物理で石像殴ってたじゃない!」
「ふふっ。アレンの負担を減らすため、私は敵を『物理的に消滅させる』という究極のヒーラーへと昇華したのです」
「それを世間ではバーサーカーと呼ぶのよ!」
ギャーギャーと騒ぐエリアリアさんとミラン。
しかし、最終的にエリアリアさんは「……はぁ。わかったわよ。勝手にフラフラされて、裏でアレンに手を出されるよりは、私たちの監視下に置いておいた方がマシね」と、ミランのパーティー加入(仮)を渋々認めることになった。
リティとセレナも、「仕方ないわね」と同意した。
……決して、あの顔のない不気味な石像を一撃で粉砕した**『規格外の馬鹿力』**にドン引きし、下手に断って夜道で背後から杖でぶん殴られるのを恐れたわけではない。断じてない。ただの慈悲である。(エリアリアさんの剣を持つ手が微かに震えていたのは、きっと気のせいだ)
「はぁ……疲れましたね……」
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