16 新兵器対談 1
「なんというか」
事の次第を伝え、今後について考える。
その為にチャーチルのもとを訪れる。
そして、あらましを伝え終わったあとに、出てきた感想である。
「素晴らしいというか、凄まじいというか」
「まあ、色々とやり方を画策はしたが」
「事後承認の列挙もはなはだしい」
そうしないとどうにもならないとは思う。
だが、実行し、実現する能力はただごとではない。
「あなたが敵でなくてよかった。
俺の勝ち目がなくなる」
率直な感想である。
いかに議会で吠えようとも、事前にこれだけ根回しがされるとどうにもならない。
覆す手段もあるのだろうが、それはとてつもなく難しくなる。
そんな男と手を組めるのは、チャーチルにとって幸運に思えた。
「それで、今後の事だが」
「ああ、これについては君の意見を聞きたい」
あらためてチェンバレンは尋ねる。
「なにせ、分からない事だらけだからね、兵器については」
国王の承認を得て、あとは実行するだけ。
しかし、どうしても専門外の事もある。
だからチャーチルに聞きに来た。
「ありがたい言葉です。
ただ、方向性は間違ってない。
戦艦の削減に、陸軍の帰還。
これについては申し上げる事は無いと先にお伝えしておきます」
「ありがとう。
だが、その中身だ。
何を削り、何を作るか。
これが分からなくてな」
チェンバレンの泣き所である。
これから現有兵器を大幅に減らす。
だが、チェンバレンは軍事にそこまで詳しいわけではない。
何が必要で何が邪魔になってるのか。
これが分からない。
だからチャーチルに尋ねるしかない。
武器や兵器のマニアという一面を持つ男である。
少なくともチェンバレンよりは詳しい。
そんな彼の智慧が無ければ、先に進めない。
「それで、何をどこまで削減すればいい?」
「ほぼ全て。
そう言うしかありません」
残念そうにチャーチルが答える。
「いささか旧式が増えすぎました」
そう言いたくなるほど、この時期のイギリス軍の装備は悲惨なものになっていた。
戦艦ですら半分ほどが旧式で使い物にならなくなっている。
巡洋艦や駆逐艦にいたってはこれ以上だ。
9割……というのは言い過ぎかもしれないが。
それくらい旧型兵器が占めている。
「そんなにか」
「そんなにです。
これが、我が大英帝国海軍の実態です」
「……つまり陸軍も?」
「お察しの通りかと」
渋い顔をするチャーチル。
思わずチェンバレンは天井をあおいだ。




