12 利権と覇権への対処 5
「艦艇の数は増える。
これで艦長を増やす事になる。
艦艇を運用するのに必要な士官も」
必要な人数は減る。
しかし、基幹となる人間は必要になる。
「だから育成に都合がいいのでは?」
問われて覇権主義者も納得する。
小型艦艇なら比較的階級の低い者でも艦長となれる。
そして経験を積む機会を増やせる。
これは将来の戦艦や重巡洋艦の艦長になる者の育成に都合がよい。
また、艦隊の指揮官も増やせる。
小型艦艇をまとめるだけでも、相応の能力が必要だ。
これを育成する機会も増える。
小型艦艇の増加は、海軍の中核人材を確保しやすくする。
なにせ、経験を積む可能性を増やすのだから。
これなら総数を減らしても、むしろ人材を確保しやすくなる。
「そして、人を減らすことで、不満を持つ者を解放してやりたい」
これも切実な問題だった。
海軍はイジメ・虐待の巣窟である。
逃げ場のない艦内で、階級という縛りがある。
こういう所では人間の残虐性はとどまる事無く発揮される。
そんな海軍に嫌気がさしてる者は多い。
しかし、膨大な艦隊を維持するために、一人一人の希望や要望を握りつぶしてるのが現状だ。
当然、不満もたまる。
艦艇で事件が起こるのも当然。
これらが表に出ないのは、起こってることを黙殺してるからだ。
「そんな問題を少しでも減らしたい。
海軍で虐げられてる者は、今すぐにでも解放してやりたい」
人道から、絶対にこれはやらねばならない。
「なにより、そんな人間がまともに働くわけがない。
艦艇のもつ本来の能力を発揮できなくなる」
反乱を起こすのも困る。
だが、普段は何も言わなくても、作業から手を抜く、失敗が多くなる。
こういう事がどうしても発生する。
こうなると艦艇が本来の能力を発揮する事はない。
「ならば、出来るだけ多くの者を解放してやろう」
戦力を優先して考えるにしても、これは絶対にせねばならない事である。
これも全体を削減する事で得られる利点だ。
海軍にいたくないものを解放してあげる。
膨大な海軍を維持するために、無理矢理乗せられていた者が解放される。
もう海軍にしばりつける必要も無い。
何より、やりたくもない仕事をさせるのは損失である。
やる気がない事をやってる時、人の能率や効率は落ちる。
たとえ虐待の被害者でないにしてもだ。
意欲という要素を無視するわけにはいかない。
やりたい事、特性というのは人それぞれだ。
ならば性に合う仕事に従事させるのが、本人のためである。
そして、国のためになる。
その人が持つ最高の能力を発揮してくれるのだから。
もし、全員が自分に合った仕事をしたら、国全体の生産性があがる。
今以上の発展が見込める。
ならば、海軍で虐げられた者を。
不満を抱いてる者を解放する。
したい仕事についてもらう。
適した仕事についてもらう。
たとえこれが無理でも、海軍よりはマシな所で仕事をしてもらう。
それが国全体として良い結果になるとチェンバレンは信じたかった。
幸い、艦艇の更新によって必要な人数も減る。
新しい機器などによる、人数を省けるようになるからだ。
艦艇を減らす事以外でも人員を減らせるようになる。
一定の戦力は確保しながらも。
ならば、不要な人間があぶれる前に人数を削っておきたかった。
あとで整理するとなると手間がかかる。
そうなる前に問題の原因を解消しておきたかった。
海軍だけでもこれだけやる事がある。
陸軍も例外なく対処していく。




