77.500億完済と思ったら⁈~また500億の借金、ふざけんな!~
入金額を確認した碧とノウェム。
そして借金を完済する。
碧はこれでもし戦争になっても少しは備えができると思っていた。
そして桐人からの通信が入り──
「碧、入金が確認された」
「入金額は……」
私は宇宙開発政府、月面政府、火星政府、モナル社からの入金の総額を見る。
「……450億」
これなら、問題無い。
「借金の残りの142億6千万円、ここから支払おう」
「ああ」
私達は銀行に向かい入金を済ませる。
これで少しは戦争への備えができる、そう思った。
銀行から帰ってきてほどなくして──
『入金確認したぜー! 借金返済お疲れ様!』
「はいはい、どうもどうも」
『そんなお前にとんでもないニュースだ』
ろくでもないニュースだろうとは思ってはいた。
『なんと、レティシアから、俺にお前の戦艦改造命令が出た、費用は四分の一そっちもちなー』
「は⁈」
レティシアさん、何考えてるの⁈
『レティシア曰く、地球政府が馬鹿やらかす&パラシートゥスの脅威がますます接近していることを聞いての発言だ』
「なら仕方ないか……ちなみになんぼ?」
『500億』
「また500億かーい‼」
思わず通信機を机へ放り投げた。
スピーカーモードなのでまだ聞こえている。
『いや、最初は断ろうとしたんだが、もしお前らがあの500億を返せるなら、条件付きで受けようと思ってたからな』
「その条件がまた私達の会社の借金500億⁈」
『そゆこと』
はー⁈
ふざけんなよ、まじでこの人は!
桐人兄さん、何考えてんの⁈
『最初は全額負担するって向こうが言ったんだがな。それだと、碧が恐縮しちまうから少しは出させろっていってこの金額提示したらすげぇわめいてたぞ「貴方馬鹿なんですか⁈」ってな』
「おい、貴様」
『おう、ノウェムちゃん、なんか用かい?』
「ノウェムちゃ……ええい、その呼び名は止めろ」
ノウェムさん、本気で嫌そうな顔をしていた。
「聞くぞ、それは本当に四分の一の値段か?」
「ノウェムさん?」
ノウェムさんが圧を込めて返すと「あちゃー」という声が聞こえた。
『さすが分かっちゃう?』
「では聞く、十分の一か、それとも百分の一か?」
『千分の一』
「へ」
……つまり五十兆⁈
「ぎゃー⁈」
あまりの金額に驚いてひっくり返り、私は後頭部を床に打ち付けた。
意識が遠のくのをノウェムさんが私の名前を呼ぶのを聞きながら感じた──
「はっ⁈」
「ようやく目覚めたか」
休憩室のノウェムさんの膝の上で目を覚ました。
「あれ、私五百億の借金またできたような……しかもレティシアさんが負担する額の千分の一……」
「その認識は合っている」
「ヴァー! 夢であってほしかったー!」
私は頭を抱えた。
そして絶叫した。
「何なんだうちの会社! 借金したい訳じゃないのに借金が付いて回るぞ! やってられないー!」
駄々をこねる子どものように言う。
社長だろうが、こんな理不尽な借金のされ方をされたらやってられない。
しかも私がいない所で進んでいた話らしいし!
「やってられるか! こん畜生! ノウェムさん、甘味巡り行くぞ! やけ食いじゃ!」
「碧、私は良いが君の体重や血糖値とかは大丈夫なのか?」
「うぐ」
そこまで言われた思いとどまる。
「まだ、肉や野菜のある食べ放題の方がいいだろう」
ノウェムさんは冷静なのか天然なのか、この時の私は判断できなかった。
「それでいい、行こう!」
私はロゼッタさんに今日は依頼を入れないようにお願いをし、二時間食べ放題のお店へ向かった。
大人一人四千円と高いが、それだけ使っている素材もいいものばかり。
ローストビーフばかり食ってても元は取れるし、ノウェムさんの好きな甘味も山ほどある。
私達は店員さんに案内されるまま席に着き、交代交代で、食べ物を取りに行った。
私はとにかく肉を食い、焼き肉も食した。
カルビが美味かった。
サラダも中々の美味しかった。
その後アイスや、ケーキを口にし、満足感の中休憩を挟みつつ、また食べた。
ノウェムさんはというと、逆に休憩は選んでいる時だけで、椅子に座ると黙々と甘味を平らげていた。
平日で人が少ないけど、料理がたくさんあって良かったと心から思った。
そして、会計を済ませ、お店を出る。
「あーお腹いっぱい、少しは気分が晴れたよ」
「それは良かった。ミモザの菓子には劣るがあの店の菓子も中々のものだな」
「ははは……」
特大パフェ連続で食って店員さんに青い顔をさせてたノウェムさんが言うと説得力がある。
あのお店出禁にならないといいなぁ、と考えながら会社に戻る。
「「「「「「また500億~~⁈」」」」」
「そ、桐人兄さんが私に負担させるのを譲らなかったそうだよ」
「また500億かよ……」
「文句言ってる暇ないの! 返すの!」
げんなりしている涼兄さんに私は怒鳴る。
そう、返さなければならないのだ。
ただし、言いたいことがあるので桐人兄さんが来たら文句を言おう。
そう決めた。
それから三日後──
「おう、工事しに──」
「どの面下げて来やがったー!」
私は助走を付けて飛び蹴りを放った。
桐人兄さんの顔面に見事蹴りが命中した。
華麗に着地をする私。
顔面に靴の痕が付いた桐人兄さん。
「女の子がはしたない真似するんじゃありません!」
「やらせたのは桐人兄さんアンタでしょう!」
怒る桐人兄さんに私は怒鳴り返す。
「アンタの所為でまた五百億の借金だよ! どうしてくれる」
「俺コレでも控えてやったんだぜ、本当はもっとかかるのを慈善事業レベルまで落として」
「は?」
意味が分からない。
困惑している私に変わりノウェムさんが話しかける。
「桐人、この改造費用正式な値段だといくらする?」
「……普通に作れば三千兆くらいかな」
「三千兆……」
目眩がして私はひっくり返り地面に激突しかけた。
が、ノウェムさんがそれを防いでくれた。
私を支えてくれているノウェムさんに感謝しながらも目眩が隠せない。
しかし、言いよどんでいたぞ、もしかして本当はもっとするとかじゃないよね?
宗一お爺ちゃんはあんぐりと口を開けて驚きっぱなしだし。
涼兄さんは、昏倒して放置……いやみっちゃんが起こそうとしているが起きない。
みっちゃんは割と冷静でいられてる、何でじゃ。
「それを六十分の一に、して総額五十兆請求したうちの千分の一を私達に請求する意味とはなんだ?」
「んー、碧があの金払うのに時間かかるようなら無料にしようと思ったが、ビックリするほど早かったから、良し請求しようと、いう風に」
「なるか普通⁈」
もう口調が崩れてしまっているが、この桐人兄さんには不条理しか感じない。
不条理の権化だ、この人、人じゃないけど。
「さて、また五百億支払い頑張ってくれよ? 碧ちゃんにノウェムちゃん」
「その呼び方は止めろ!」
「はいはいノウェムちゃん」
ノウェムさんは心底嫌そうな顔で桐人兄さんを怒鳴った。
その後、桐人兄さんは戦艦をどこかにワープさせて持って行ってしまった。
なので、その間は仕事は近場以外と、装甲車のワープだけで問題無い場所限定の仕事だけということになった。
まぁ、そんな状況でロゼッタさんが仕事をくれる訳も無く、一週間何も起きずに過ぎた。
その一週間後だ。
『おーい! 改修工事終わったぞー!』
と連絡が入り、ワープしてきた戦艦を見て一言。
「「「「「変わりすぎ⁈」」」」」
ゴツい戦艦がスマートな戦艦へと様変わりしていたのだ。
「いやいや、劇的なビフォーアフターにも程あるでしょう⁈」
「だって、無駄な部分全部削いで、作り直したんだぜ?」
「は?」
「戦闘機も、二つとも改良しまくったし。戦艦自体は抵抗とかパラシートゥスを弾く素材とかに置き換えて全部作り直した結果だぜ、これ」
「ほぼ、作り直しじゃん……」
今度こそ、ノウェムさんの腕の中であまりの情報量に耐え切れず卒倒した。
翌日、改造内容を聞いた私はさらに頭を抱えた。
内部も改良しており、厨房はより料理がしやすくなり、加圧室、減圧室はその速度が上昇し、操舵室はクラレンス達四人で回す仕様に変更されていた。
クラレンスたちが戦艦で援護射撃と主砲準備に集中している間、私たちの戦闘機、強力なレーザー光線でパラシートゥスの群れを破壊できるようにもなっていた。
また主砲も、他の戦艦の主砲よりも充電が早く、また威力も二十倍くらいあると言われた。
また装甲車も新しいのを作ったので古い奴はお払い箱になってしまった。
どこまで改造したんだこの桐人兄さんは……
自慢げに言っていたので、ノウェムさんがムカついて腹を殴ったらしい。
暴力は本来いけない事だが、今回はグッドジョブと言いたい。
桐人兄さんには散々迷惑かけられたからね!
多分これからも、そう!
……でも頼りになるのも分かってるから複雑なんだよなぁ……
そう思いため息をつく私だった──
はい、再び借金500億!
事情が事情なだけ仕方ない。
けれども納得いかないのでノウェムが桐人に腹パンしました。
そして戦艦は劇的なビフォーアフターを遂げました。
もはや作り直しです。
色んなものが改良されました、さて碧は再び借金返済できるのでしょうか?
ここまで読んでくださりありがとうございます。
誤字脱字報告等ありがとうございます。
次回も読んでくださるとうれしいです。




