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74.碧のペンダント~両親からのメッセージ~

ネブラの部隊がアルジャン社を取り囲むが、咲良がナノマシンイヴの力で7割いたロボット達と一部のパワードスーツ着用部隊のコアを破壊した。

それでも、残っていた合成獣とパワードスーツ装着している者たちがいて、碧たちは撃破を試みる──





「七割がロボットだ。残り三割はパワードスーツを着た連中と合成獣だ」


 ウヌスさんが目視でざっと確認したようだ。

 私達はパワードスーツを装着する。


「碧ちゃん!」

「咲良ちゃん」


 咲良ちゃんがアルジャン社の玄関から走ってやって来た。


「私が動きを大部分止めるから、その間にお願いね」

「う、うん」


 私がそう言うと、咲良ちゃんの服から機械のような翼などが生え、手は銀色に染まっていた。


「LALALALAAaaaaa‼」


 甲高い声が周囲に広がる。

 ロボット達はバチバチ! と火花を散らして倒れていく。

 パワードスーツを装着していた者の一部も、コアが破壊されたのかパワードスーツが脱げてしまっている。


「残り、三割どころじゃないね……」

「碧、気を引き締めろ。今のが効かなかった連中はその分厄介だと」

「う、うん!」


 私達は残敵のいる地点へ向かった。

 まだ向かってくる相手は、力を加減しながら、頭をわしづかみ、地面にたたきつけて気絶させた。

 咲良ちゃんも、低空飛行しながら逃げようとする無防備になった敵を電撃で痺れさせ、その場に倒れさせていた。


 ノウェムさんとウヌスさんは電磁網で動けなくしていた。

 そっちの方がスマートにできたか、もう少し戦い方を勉強しないと。



 異質な人物が4人いた。

 全員パワードスーツを着用していたが、モナル社のものではない。


「私はあの小娘を捕まえるわ」

「じゃあ、俺はあっちの護衛連中で」

「俺もだ」

「では、俺はイヴを捕獲しよう」


 淡々と行っているが、嫌な予感がして背筋に悪寒が走った。


 次の瞬間だった。

 真っ赤なパワードスーツの女が懐へ飛び込んできた。


 ガン!


『腹部装甲破損率5%』


 戦艦を吹き飛ばすミサイルでも無傷だったのに⁈


「痛いわね、出力を上げるわ」


 パワードスーツを着た女はそう言って私に再度接近するが、私はパンチを両手で掴んで、思い切り頭部を蹴り上げた。


『両手装甲破損率10%』


 向こうは着実にこちらを潰す気だ、でもこちらも黙っている訳では無い。


『敵性パワードスーツ頭部装甲破損率45%、胸部装甲破損率35%』


 サマーソルトキックが上手く決まったらしい。

 あと、一発……!


 敵の動きをじっと待つ。


 背後に移動したのが分かった、首に伸ばす腕を掴み──


「どっせい!」


 背負い投げで思い切り地面にたたきつけた。

 そしてコアの部分を破壊する。


 姿を現したのは金髪碧眼の美女だった。


「我が主の足手まといにはならない……!」


 ガチン!


 と噛む音と同時に動かなくなった。


『生命反応消失。死亡を確認』

「自殺したの……⁈ 情報を漏らさないように……⁈」


 そこまで秘匿したいこととは何だったのだろう、疑問は尽きない。


 ふと視線をノウェムさんとウヌスさんに遣れば、2人とも同じような結果だったらしい。


「きゃあああ‼」


 咲良ちゃんの悲鳴が聞こえた。

 咲良ちゃんを見ると、翼をめきめきともがれ、もぎ取られた翼は投げ捨てられ、銃弾が何度も撃ち込まれてた。


 咲良ちゃんはごぼっと血を吐き出した。


「咲良──」

「テメェ咲良に何してやがる──!」


 背中に銀の翼を生やした桐人兄さんが咲良ちゃんをいたぶっていた相手に体当たりするなり、そのまま頭を掴み、首をねじ切った。


「ひっ!」


 と悲鳴を上げるが、違和感を感じた。


『装着者の装備品から登録済みの特殊信号を検知、至急確認を、至急確認を』

「特殊な波長⁈ 今はそれどころじゃ──」

『ナノマシンイヴ、アダムの波長を感知したことにより発生した模様』


 桐人兄さんはその言葉に黙り、ジェスチャーで急いでついてこいと言わんばかり動作をし、アルジャン社へ向かう。



ノウェムさんたちと私はは互いの無事を確認すると、桐人兄さんに促されるままアルジャン社の会議室へ向かった。


『碧ちゃんがいつもつけてたアクセサリーが反応したって聞いたけど……』


 モニター越しに、レティシアさんがそう言った。


「碧、まだ反応は止まってないな」

「う、うん」


 咲良ちゃんのことは自動修復装置に任せて、私たちは鍵のかかった会議室で話をした。

 勿論盗聴とかされていないか確認をして。


 私は高校三年になった時に貰った母から貰ったペンダントを置いた。


『音声入力を』

「えっと……」

「Attendre et espérer!」


 桐人兄さんが言った、しかし反応は──


『音声内容を確認。音声データが一致しません』

「碧」


 私に言う、何とか真似して言ってみることに。


「──Attendre et espérer!」

『音声内容確認、音声データ照合、データを開示します』



 映像が映し出された。


『『お誕生日おめでとう、碧』』

「お父さん、お母さん……!」


 懐かしい声に涙が止まらない。


『このデータが見られているということは私達はきっとこの世にいない──いえ、殺されてるのでしょう』


 やはり、お父さん達は殺されたんだ、そういう思いが強まった。


『私達は活動の中でネブラの事を知りました、そしてその組織を統率するのが、カインという名の人物で、桐人、貴方の兄弟であることも突き止めました』


「カインの野郎、やっぱり生きていやがったか……!」

「……」


 桐人兄さんは爪を血が出るほど噛んでいた。


『カインというルプスは、世界規模だけでなく宇宙規模の戦争を起こすのが狙いよ』

『だから、特殊な方法で採取してきたパラシートゥスの欠片を研究所や国に提供しているの……』


「桐人兄さん、思い当たる方法は?」

「ルプスの俺等ならできる方法だ、ある」


『そしてレティシアさん、もしそこにいるなら心して聞いてほしい』

『……』


 レティシアさんは険しい表情で映像をモニター越しに見ている。


『パトリ社でその手引きをしている人物がいるの名前は──』

『ヒース・アンディス。副社長さんよ』

「ヒース……やはり、彼が……!」


 レティシアさんの表情が何か確信のようなものに変わった。


『彼がパトリ社のパワードスーツや資材を横流ししているの』

『だから、敵であるネブラがパワードスーツの基礎として使っている』


『この映像を見た後に、私達が知りうるデータを全てインプットさせておいたわ』

『桐人、どうかお願いね』


「……ああ、任せろ」


 映像の中の両親に、桐人兄さんは小さく返事をした。

 でも、その表情は痛々しかった。


『碧、危険なお仕事を今きっとしているのでしょう、ごめんなさい』

『でも、お前なら自分の命も大切な家族の命も守って行動できると信じている』


「お父さん、お母さん……」


 涙があふれて止まらない。

 ノウェムさんが幾度拭ってくれても、涙が止まらない。


『なにが起きても決して絶望しないで』

『待て、しかして希望せよ! ……どうか希望を捨てないで生きてくれ』


『『じゃあ、さようなら順、涼、碧、そして宗一さん。メフィスト、クラレンス、ガンツ、レイジング』』


「お母さん、お父さん!」


 そこで映像は終わった。

 映像を映していたものから何かが出て来た。


「データメモリだな、極小の。俺が作った奴だ」


 そう言って桐人はネットを繋いでない自作のPCにそのメモリを入れた。


「……これは……」

「桐人兄さん?」

「……今は、お前達には喋れない。だが副社長と接触しようとするな、俺がやる」

「うん……」


 データの内容は何だったのか分からない。


「レティシア、その時が来たらロゼッタを借りるぞ」

『……彼女を危険にさらさないでね……私の友達なのよ?』

「アイツと接触するのが自然なのはお前かロゼッタの二択だが、お前を今は選べない」

『……分かったわ』



「──お前らはしばらく動くな、情報がバレた事を知られるな」

「え、つまり……」

「いつも通りにしてろって話だ」


 いつも通り、うまくできるのかな、分からない。


 でも桐人兄さんが言うなら──



「何故だ。何故今すぐ動かない」

「戦力不足だからだ、だから一つずつ潰していくぞ」


 ノウェムさんは最初納得のいかない言葉を言ったが、桐人兄さんの言葉に思う所があったらしい。

 しぶしぶ頷いた。




 先行きが暗くて、何をするのが正しいのか分からない。

 それでも、一歩ずつ、歩かなければいけないけれども──

 どこへ?


 わからない、どこへ歩けばいいのか分からない。

 それでも歩くしかない。

 希望を信じて。





桐人の予感的中、カインが生きておりました、しかもネブラのトップとして。

碧の両親の残したデータを解析して、色々と進めていくことでしょう。

そしてモナル社の裏切り者は副社長のヒース。

碧の胸中は穏やかではなかったでしょう。

先行きが見えない、それでも一歩進もうとあがく碧はどこへたどり付くのでしょうか?


ここまで読んでくださりありがとうございました!

誤字脱字報告等ありがとうございます!

次回も読んでくださるとうれしいです!

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