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70.ロゼッタの職場訪問~№4と№5~

四日に一度大問題を起こすドゥオに頭を悩ませている碧。

同時にドゥオに通称「スプラッターの刑」を処しているウヌスに戦々恐々してもいた。

今日はウヌスは血みどろになって碧を尋ねてきて──




「あ゛ー! やってられないー!」

「ドゥオのやらかしが四日に一度の所為だな」


 そう言ってノウェムさんは私にカモミールティーを煎れて渡してくれた。

 砂糖を一本入れて飲む。


 ドゥオは四日に一度のペースで重大なミスをやらかす。

 その度に、心臓に悪いし、ウヌスさんがドゥオに直々に仕置きしているらしいのもあって、怖い!

 私はスプラッターの刑と心の中で呼んでいる。


 実際、その仕置きの後のウヌスさん、血のにおいを漂わせてるんだもの!

 怖い!


「碧様」

「ウヌスさ……ひっ⁈」


 血みどろになっているウヌスさんを見て悲鳴を上げる。

 ノウェムさんは私の目を手で覆った。


「ウヌス、まずその血をどうにかしてから来てくれ」

「む、すまない」


 ウヌスさんが出て行く音がする。

 私は空気清浄機の効果をマックスにしてため息をつく。


 しかも、たまにウヌスさん本人まで血みどろで現れる。

 それ以外を除けば仕事も順調なのだが……


「先ほどは失礼した」

「気をつけろ」


 ノウェムさんが少し怒ったようにウヌスさんに言った。


「いや、ほとんどの者が見慣れてるからつい」

「見慣れませんよ普通……」


 ウヌスさんの言葉にげんなりして答える。

 社長やってて、危険な仕事もしてるが未だ慣れない。

 というか、慣れたらいけないと思っている。



「ところで、何の用ですか?」

「ロゼッタが訪問したい──いや、正しくはロゼッタの護衛達がここを見てみたいと言い出したらしくてな」

「護衛というと……」


「ナンバーズ、№4通称クァット、№5通称クイーン。この2人だ」


 ナンバーズ、そう言えば私が会ってないの、4、5、8の方達なんだよな。

 どんな人なんだろう?



 ウヌスさんの報告から30分後──


「ロゼッタさん、よくいらっしゃいました」

「碧様、お邪魔いたします」


 ロゼッタさんは相変わらず真面目な態度で接してきた。


「へー会社の大きさは小さいが、戦艦とかの規模は間違いなく俺等の奴よりでかいな!」


 金髪のロングヘアに、赤い目、健康的な白い肌の男性が感心したように言う。


「えっと、貴方は……」

「おお、アンタが碧お嬢さんか? 俺はクァット! ナンバーズ、№4クァットだ! よろしくな!」

「よ、よろしく、あばばば!」


 ブンブンと勢い良く手を握られて振り回され、変な声が出る。


「クァット、止めろ」


 ノウェムさんが明らかに嫌そうな顔で、クァットさんの手を無理矢理私から離して、クァットさんを突き放す。


「うわー、ノウェム。お前本当そんな顔できるようになったんだなぁ⁈」


 ノウェムさんの嫌そうな顔に明らかにクァットさんは感心している。

 いや、感動しているという方が正しいかもしれない。


「クァット、はしたないわ」


 もう一人の女性が近づいてきた。

 綺麗な女性の声だった。

 振り返ると、青い髪のショートボブに、青い目に、白磁のような肌の女性。

 体つきも女性的でセクシーだった。

 ……しかも胸まで大きい。


 少し嫉妬してしまう。


 そう思っていると、女の人は顔を伏せてぷるぷる震えていた。

 な、何だ何だ。


「かーわーいーいー!」

「わわわわ⁈」


 私を抱き寄せて、頬にキスまでしてくる。

 抱きしめられるのはノウェムさんだけで充分だよぉ!

 今は!


「クイーン! 碧から離れろ!」


 ノウェムさんが女性──クイーンさんから私を引き離す。


「もぅ、いいじゃない。こんなに可愛い子を見たら抱きしめたくなっちゃうわ!」

「碧を抱きしめていいのは私だけだ!」


 ノウェムさんがクイーンさんに噛みつくように言った。

 ちょっとその言葉に顔が熱くなる。


「あらあら、あのノウェムからそんな情熱的な言葉が! お姉さん嬉しいわぁ!」


 そう言ってクイーンさんはノウェムさんと私に抱きつこうとしたがノウェムさんがひらりと避ける。


「だから、触るな!」

「一緒に抱きしめようとしたんじゃない、いいでしょう?」

「良くない!」


 ノウェムさんが怒鳴る。

 どうしようと悩んでいると──


「クァット、クイーン。碧様を困らせるのではありません」

「「申し訳ございません、ロゼッタ社長代行」」


 クァットさんとクイーンさんは静かに頭を下げ、大人しくなった。


「ところで、噂に聞いたのですがドゥオが厄介事を引き起こしていると……」

「ええ、四日に一度のペースでやらかすんですよ、その度に肉塊コースが社内で起きてると考えるとちょっと気分が悪いです」


「肉塊コース……ってまさか」

「そ、それはまた物騒ね……」


 クァットさんとクイーンさんが顔を見合わせてどこか青い顔をしている。


「なんだ、クァット、クイーン。お前達もドゥオのようにロゼッタ社長代行に迷惑をかけているのか?」


 ウヌスさんが現れると、2人は首をブンブンと振った。


「いいえ、ウヌスの兄貴! そんな馬鹿はしてません!」

「え、ええそうよ、ウヌス! 私達ドゥオじゃないもの、そんな馬鹿な事を……」


 2人は必死になって弁明する。


「稀にしそうになって堪えているので見逃してあげてください」

「「社長代行ー!」」


 ロゼッタさんの一言に、2人の顔が一気に青ざめた。


「ほほぉ、しそうになっているのか。堪えているのは褒めてやろう、だが」


 ゴツン!


「「っ~~‼」」


 ウヌスさんの拳骨がクァットさんとクイーンさんの頭に落ちた。


「しそうになっているという所は褒めてやらん。自制心を持て」

「ウヌス、ちなみに先ほど碧に思いっきりやらかしたぞ」

「ええ、そうですね」


 ノウェムさん、ロゼッタさん……

 可哀想だから、告げ口してあげないでくださいな。


「そうか、拳骨はもう一発必要か⁇」

「「ご勘弁を‼」」


 ウヌスさんの問いかけに2人は半泣きで、頭を抑えながら言った。


 ウヌスさんは笑っていない笑顔を張り付けていった。


「何なら碧様の言うあの仕置きをお前達でやってもいいんだぞ? ドゥオもお仲間が欲しがって肉塊もどきで蠢いてるしな」

「「ひぃっ!」」


 その様子に私は思わず尋ねてしまった。


「あのロゼッタさん」

「なんですか?」

「あの2人も──」

「……やや問題児です、ドゥオに比べれば可愛いものですが」


 ロゼッタさんの言い方からすると、ドゥオはロゼッタさんの下でも馬鹿やったんだと理解した。

 そして怯えきっている、クァットさんと、クイーンさん。


 ウヌスさんに肉塊もどきにされたんだろうなぁ……


 想像したら気持ち悪くなってきた……


「碧、想像はするな。気持ち悪くなるだけだぞ」

「う、うん……」


「貴様等、後で肉塊もどきになりたくなければ精進しろ」

「「了解いたしましたー!」」


 クァットさんとクイーンさんが、敬礼してる。

 顔色はまだ真っ青だ。

 相当ウヌスさんが怖いんだろうなぁ。


「ウヌスさん、あんまり怖がらせないであげて」

「かしこまりました」


 ウヌスさんがそう私に会釈をすると、ノウェムさんが拗ねた。


「ふふ、まだまだ子どもねぇ」

「そうだな」


 顔色が戻ったクァットさんにクイーンさんは、にこにこと笑顔を浮かべながらノウェムを見ている。

 ノウェムさんはそんな2人を怪訝そうな目で見ている。

 が、私を離してはくれない。


 この2人も、ノウェムが感情をそぎ落とされて作られた事知ってたんだろうな。

 同じナンバーズって言ってるし。



「昔のノウェムは『レティシア様、どちらへ行かれるのですか』って付いて回るひよこみたいだったわ。でも可愛げは今の方があるわね」

「ああ、その通りだ。無表情、無感情で対応して、レティシア様がどうにかしてお前の感情を引き出そうと必死だったからな」


 ……なんだか少しだけ面白くない。

 まぁ、レティシアさんからすると色々あったもんなぁ。


「ん? ねぇ、ノウェム」

「何だ、碧」


「貴方とレティシアさんは同い年なの?」

「──私は2度コールドスリープしている、だからその分は年を取っていない」

「2度も?」

「ああ」


 レティシアさんが2回もコールドスリープさせたってことは、1回目の時はレティシアさん、きっとノウェムさんの感情を取り戻せなくてそうしたんだと思う。

 で、二度目でもしかしたらできるかもって思ったけどできなかったから、またコールドスリープさせたってこと?

 一度目では駄目だった。

 だからもう一度眠らせて、もう一度やり直そうとした。

 ……それでも駄目だったのかな。


「まぁ、いいか。今のノウェムさんと出会わせてくれたのはレティシアさんなんだし」

「そうだな。レティシアには感謝しないと」


「ところで、なんでノウェムだけレティシア様を様呼びしないんだ?」

「それは……一度目のコールドスリープから目覚めた時、レティシアが『これからは対等な友達として扱って、だから様付けはなしよ』と言ったからそのまま訂正しなかった……」

「敬語とかも?」

「敬語なども矯正された……」


 クァットさんとクイーンさんは肩をすくめる。


「相当重症だったんだな、昔のノウェム」

「そりゃあレティシア様も必死になるわけだよ」


 レティシアさんは友達として接しようとした。

 でも、それでも変わらなかったんだ……

 ……そこまで思考まで調整されていたんだと思うと、辛くて苦しくなった。


「碧、今の私は幸せだとも」

「嘘じゃないよね、じゃないと泣くよ、ここで泣いて宗一お爺ちゃんたちにお説教してもらうんだからね」

「やめてくれ、あのご老人は怒らせたくない」

「俺なら怒らせてもいいのか?」


 ウヌスさんが急に割って入ってきた。


「私相手にあの刑をやろうとすると碧が悲しむのを分かってるからやらないだろう」

「そこまで分かっているならいい」


 ウヌスさんはノウェムさんを温かな微笑みで見つめた。



 ノウェムさんがもっと幸せになるように私も頑張らなくっちゃ!



 その後、職場見学したロゼッタさんたちは帰って行った。

 ちなみに、あの刑の現場となった倉庫にウヌスさんがクァットさんとクイーンさんを強制的に連れて行き、2人の顔を真っ青にさせて戻って来てから、ロゼッタさんと共に帰って行った。



 2人の顔色が悪くなったの、私悪くないよね?






初っぱなドゥオが処されたところから始まり、ウヌスもうっかり血みどろで姿を現した事に腰をぬかす碧と、ウヌスに怒るノウェム。

そしてロゼッタと共に現れた№4,5のクァットにクイーン。

両方に振り回される碧だが、ノウェムのガルガルモードが炸裂。

そしてウヌスのスプラッターの刑の内容に青ざめる二人。

ロゼッタからは何かしそうになっているが堪えていると言うことで拳骨で見逃されました。

が、処されたドゥオの状態を見て顔を青くして帰ります。


碧は悪くないです。


ここまで読んでくださりありがとうございました!

誤字脱字報告等ありがとうございます!

次回も読んでくださるとうれしいです!

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― 新着の感想 ―
やべぇ…、今日もノウェムさんが可愛すぎてタヒにます。私が社長は作者様がころころしにかかってるから軽率にタヒにますね。作者様はそんなことしてないっていってるけどわたしがノウェムさんに沼ったのがいけないの…
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