64.仕事終わりと一騒動~恋人同士の戯れ~
金曜日、最後の任務としてパラシートゥス撃退任務を行う碧とノウェム。
パラシートゥスのことを考えながらも任務を終え、帰宅すると、碧は誰にも邪魔されないように酒盛りを解禁し、つまみもポケットマネーから出すことで自分たちから気をそらす。
そして──
「今日の最後の依頼はパラシートゥスの群体の迎撃任務! 各自気を引き締めるように!」
戦艦の操舵室で私はノウェムさんと四人に指示を出す。
「了解」
「「「「お嬢! 了解!」」」」
「では上昇し、ワープを指定ポイントへ開始せよ!」
「了解」
クラレンスとノウェムさんがワープを開始させる。
そして──
「毎回思うんだけどこの群体の迎撃任務、本当嫌!」
木星の向こうに見える、パラシートゥスの帯状の群れ。
一体どこから来てここまで到達するのか。
一体誰が作っているのだろう。
ん、待てよ?
300年以上生きてるんだよな、桐人兄さん。
パラシートゥス関係で他に何か知ってるかな?
今度ゆっくり聞いてみよう。
「碧」
「分かってる」
ブローチのコアを押して桐人製のパワードスーツを装着する。
「相変わらず可愛いパワードスーツですね……」
「それであそこまで頑丈なのが驚きです」
そう、この前の仕事で戦闘型のロボットが暴走を起こした。
しかも普通の大きさのだけではなく、戦車型のまで。
戦車型の砲弾一発食らったが、傷一つ無かった。
そして戦車型のロボットの攻撃を避け、内部に入り、コードを繋げると勝手に元の状態に戻った。
他の暴走ロボットたちも、桐人のビームを喰らうとしびれて倒れたあと、何もなかったように起き上がり、困惑している状態だった。
ノウェムさんはその間にハッカーを探し、叩きのめして、突き出す場所に突き出したらしい。
どこかは教えてくれなかったので、知らない方が幸せなのだろう。
私とノウェムさんは減圧室に入り、少し待ってから飛び出し、格納庫へ直行する。
格納庫の戦闘機を見たら、何か戦闘機が改造されていた。
『はーい、可愛い俺の妹碧ちゃーん、あとノウェムー』
「桐人兄さん⁈」
急に通信が入り、混乱する私。
「桐人、戦闘機の改造はお前のものか?」
よし、ノウェムさん落ち着いて聞いている。
『そうそう、レティシアからも、このままだと戦闘機も危ないから改造して欲しいって頼まれてな、帰ってから戻って出発するまで突貫工事並みの速度で改良したんだぜ?』
帰ってすぐ?
誰にも気付かれず?
何者なの桐人兄さん。
『接触しそうになっても消滅範囲を広げた。レーザー系の攻撃はバリアで防げる。速度上限も上げた。弾薬搭載量も増やした、あと特効薬の積載量も増やした』
桐人兄さんの説明が終わる。
『で、聞きたいことは?』
「本当に大丈夫なんだろうな?」
『俺を信じろって! 俺がいなきゃモナル社は100年かかっても特効薬もパラシートゥス破壊武器も作れなかったんだぜ?』
ノウェムさんは疑いの目を向けているが、まだ感情は抑えている。
大丈夫、大丈夫。
「大丈夫、桐人兄さんはこういう時は嘘をつかない、信じて。桐人兄さんが信じられないなら、桐人兄さんを信じてる私を信じて」
パワードスーツ越しに少し震えるその手を包む。
「碧……わかった」
「じゃあ、行きましょう!」
「ああ」
理解してくれたノウェムさんと共に戦闘機に乗る。
少しゴツくなっているが白い色が素敵だ。
青ならもっと好きなんだけどな。
「出るぞ」
「はい!」
そんなことを考えている間に、出撃の準備を済ませたノウェムさんの声に我に帰る。
そして格納庫から出撃する。
無数のパラシートゥスをレーザーで破壊して行く。
「! ノウェムさん逃げて両サイドから挟みに来てる!」
「了解」
サポートがますます大変になった。
補助機械のお陰で何とかなっているのがありがたい。
ノウェムさんは一気に上昇しミサイルを放出して、パラシートゥスを破壊して行った。
そして大型のは──
主要戦艦たちが総出で主砲を放って破壊していた。
巨大パラシートゥスからもパラシートゥスは出現するので、いなくなってくれると残党狩りが楽に進む。
激戦から一時間。
ようやく戦艦へ戻る。
加圧室に入ってパワードスーツを脱いで一息つく。
「疲れたー!」
「そうだな、私も疲れた」
ノウェムさんがため息をついた。
「何か問題があったの?」
「今の私一人では奴の作ったものを最大限活用できないということだ」
奴って桐人兄さんことですね、分かりますとも。
色々複雑な心境なのねー。
ノウェムさんは桐人兄さんのことになると複雑な心境になっちゃうからね。
私はそっと耳元で囁く。
「今日の夜、ね」
「‼」
顔を真っ赤にしてこくこくとうなずいたノウェムさん。
私は先に加圧室を出て操舵室に戻る。
「よーし、じゃあお家に帰ろう! 今日で仕事終わり! 土日は休み! お酒も解禁! 奮発しておつまみキューブ買ってくるお金も渡しちゃう!」
私の宣言に皆は歓声を上げる。
「おお! それは嬉しいなぁ!」
「イエーイ! ……前回と違ってないよね? 仕事!」
メフィストが尋ねる。
「レティシアさんに私直々に要望した、私も最近休んでないから休みたいと!」
「そうか、じゃあ飲もうぜ!」
レイジングが誘ってくるが私とノウェムさんは拒否。
「「もう寝たい、休ませろ (休ませて)」」
「なら、仕方ないですね、皆でのみましょう!」
そう言って酒盛りが始まったのを確認してから私とノウェムさんは部屋に戻る。
ノウェムさんは盗聴器などがないことを確認して、私はしっかりと鍵を閉める。
その後一緒にお風呂に入って、体を拭いてからタオルを巻いてベッドに一緒に入る。
そして互いのタオルを取る。
ノウェムさんの顔は真っ赤だった。
私もきっと同じ顔をしている。
二人で顔を見合わせる。
恥ずかしくて笑ってしまう。
少しだけ触れた指先が熱い──
翌朝。
目を覚ますと、隣にはノウェムさんがいた。
昨夜のことを思い出して顔が熱くなる。
余韻に浸りたくてノウェムさんに手を伸ばそうとすると──
バキン!
扉が破壊される音がした。
「「「お嬢⁈ 無事か (御無事ですか/無事)⁈」」」
昨夜あれだけ厳重に鍵をかけたのに、なんで入ってこれるの……あ、桐人兄さんがいる。
素っ裸の私を見て顔を隠すクラレンスたち、後で桐人兄さん共々締める。
ノウェムさんは私の裸をベッドの毛布で隠し、自分の裸をタオルで隠した。
「桐人、貴様盗聴したのか⁈」
「するわけねーだろ、レティシアが『ノウェムと碧ちゃんがね二人の時間を楽しみたい』って訳ありに言ってきたから仕事明けに様子見に来たら、酒盛りが終わって日が昇っても二人が出てこなかったらしいって、扉あかねぇと騒ぐこいつらがいたから扉ぶち壊したんだよ」
桐人兄さんの言葉に私は顔を引きつらせた。
レティシアさーん⁈
何で桐人兄さんに言った⁈
何で言ったの⁈
「この扉脆いなー後で直すついでに頑丈にしておくわ」
「……つまり、レティシアの言葉がなければ来なかったと?」
「そうだぜ?」
ノウェムさん、頭抱えている。
お気持ちは分かります、何せ元護衛対象で、今も頭が上がらないレティシアさんだもんね。
ある意味諸悪の根源が。
「お嬢ー! 貞操は御無事……じゃなかったー!」
クラレンスが駆け寄ってきて、私の胸元の赤い痕を見て絶叫する。
その言葉に絶望に打ちひしがれる面々、ガンツだけは平然としてる、何故だ。
桐人兄さんは──
「どうせ、裸で抱き合ってキスしあったくらいだろ、碧は順と涼のせいでそういう知識量が多い分、そういうのに苦手意識もってそうだからなー、この二人ならその程度だろ」
図星です。
何故わかった。
「貴様、本当に、本当に盗聴してないんだな⁈」
「それはマジだって! え、俺の予想当たってたの?」
私の顔が熱くなり、ノウェムさんは真っ赤だ。
「~~‼」
「あー……何かすまん、悪かった」
取りあえず、ボディースーツを着てから桐人兄さんと四人を正座させる。
「お嬢の貞操が無事でよかったなぁ、お前ら」
「のんきにしてたのはガンツ、お前だけだよ!」
「酔って起きた私等の『心臓』が口から飛び出るような発言したのは貴方でしょう!」
「そうだテメェじゃねぇか!」
ガンツ以外の三人がガンツを責める。
「ガンツなんて言ったの?」
「いや、儂等放置してふたりっきりじゃろ、好いてる者同士なら何かしとるんじゃないかといっただけじゃが?」
「それで三人が必死に扉開けようとしたのね……」
で、私は桐人兄さんを見る。
「咲良ちゃんは?」
「二日酔いの涼の看病してるぜ」
「どんだけ飲んだのあの馬鹿兄貴」
桐人兄さんの言葉に頭痛がした。
咲良ちゃんに迷惑かけてないといいけど、涼兄さん。
「なんだよーてっきりセ○ク○したと思ったのに、まだそこまでしか進んでねぇの?」
ドゥオがやって来てそういった瞬間、ノウェムさんが鬼の形相になりパワードスーツを着けてドゥオに向かっていった。
「貴様殺す──‼」
「待って、ちょ、待て! 誰かたすけてー!」
グラウンドで追いかけ回されて、捕まったと思ったら馬乗りにされてぶん殴られていた。
顔を重点的に。
「……碧、あれ止めなくていいのか?」
「……トレースさん、いるんでしょ? 止めてきて」
桐人兄さんに言われて、そう言うとトレースさんが姿を現した。
彼は深々と頭を下げた。
「申し訳ございません、では止めて参ります」
トレースさんもパワードスーツを着用した。
それはノウェムさんのパワードスーツによく似ていた。
ただノウェムさんと同じく白い色を基調としているが、ラインはノウェムさんの青色とは違い、黒いラインだった。
「あーノウェムがキレた時止めるようにってレティシアに……」
桐人兄さんはバリバリと頭を描きながら言った。
「なるほど」
トレースさんはノウェムさんを止めて何か言っているようだった。
そしてノウェムさんはドゥオから退いてこっちに戻って来た。
代わりにドゥオさんはトレースさんに連れて行かれた。
「ノウェムさん、大丈夫?」
「ああ、私はもう大丈夫だ……桐人頼みがある」
ノウェムさんは額をおさえながら言った。
「もし、私達が何かしたと分かっても私達以外の前で公言しないでくれ……!」
「悪い。本当に悪かった」
ノウェムさんの懇願するような頼みに、桐人兄さんはばつ悪そうな顔をしていた。
R15ですからね。濡れ場らしい濡れ場は見せられません!
そもそもそこまで言ってませんからね。
ドゥオも言って、鬼の形相のノウェムに追いかけ回されてますから。
そして桐人、勘が良いのが災いしてしまい、色々指摘しちゃって碧も特にノウェムは頭抱える。
なので最後のセリフなのです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
誤字脱字報告等ありがとうございます。
次回も読んでくださるとうれしいです。




