5.空回り社長~会社経営は素人です~
碧の危うさと、ポンコツ要素です。
「ロボットの暴走鎮圧?」
「ええ。最近、巧妙なウイルスによってロボットが暴走しているの。その鎮圧をお願いしたいわ。警察もポリスロボットも手を焼いているから」
会社を訪れたレティシアさん直々の依頼を受けて、私は頷いた。
「やります!」
ボディースーツを身につけてパワードスーツに身を包む。
「さぁ、皆! 借金返済のために頑張るよ!」
「「「「おー!」」」」
メフィスト、クラレンス、レイジング、ガンツたちが腕をかかげて声を出して応じてくれる。
「……」
だけどノウェムさんだけは乗ってくれなかった。
いつも通り無表情だ。
ちょっと悲しいかな。
でも、いつか一緒に腕を上げて鼓舞してくれたら嬉しいなと思った。
現場である工事現場に着いたら酷い有様。
ポリスロボットは全滅……というか全部破損が酷くてこれ以上動かせない。
警官たちはパワードスーツを着ているものの手も足も出ない。
「さて、どうする」
「取りあえず──」
「突貫!」
私は銃を持って突撃する。
「「「「お嬢ー⁈ 馬鹿ー⁈ なにやってんだー⁈⁈」」」」
メフィストたちが何か叫んでいるけど、知ーらない。
ロボットはライフルの電撃で一旦強制シャットダウンさせられる。
普通のサイズのロボットには。
正面を見据えると巨大なロボットがいる。
無人だが、緊急時用にコクピットがあり、そこに人影がある。
「いた!」
私はパワードスーツのブースターを使って飛び上がる。
そしてコクピット部位に突撃する。
「おらぁ‼」
コクピットを開けると男性が縮こまっていた。
「ひぃ‼ お、俺じゃ無いです‼ 乗っ取られて‼」
「へ?」
てっきりこの人が操作していたと思いあっけにとられる。
「社長、その男を取りあえず引きずり出せ。私が操作する。」
「あ、はい、ノウェムさん」
ノウェムさんは男から身分証らしきものを受け取り、建設ロボットの制御システムにアクセスし、何か操作して巨大建造ロボットの動きを止めた。
「内部調査をしろ。ウイルスをばらまいた奴がいる。」
「そこまで分かったの⁈」
あの操作だけでそこまで分かったの⁈
ノウェムさん有能すぎじゃない⁈
「え、でも俺の話は──」
「ならばモナル社の社長レティシアが報告する」
聞いて貰えないと思ったのか暗い表情をする男性にノウェムさんが言った。
「も、モナル社⁈ うちの大株主じゃないですか‼」
喜べばいいのか悲しめばいいのか分からない表情をして男性は頭を抱えていた。
取りあえず、調査は専門の人達に任せるという話をノウェムさんから聞いてほっとした。
だって、そういう調査私全然できないもの。
それで無事にこの件は終わった。
まだ暴走していたのはメフィストたちが止めてくれたから助かったけど──
「「「「二度とあんな真似はするな! (しないでください!)」」」」
としこたま叱られた、宗一お爺ちゃんにも怒られた。
解せぬ。
「うーん、うーん」
後日、社長室で私は書面とにらめっこをしていた。
「どうした、碧」
「ああ、ノウェムさん、ちょっと色々と頭が痛くなってね」
書類の内容把握とか金銭のあれこれとかさっぱり分からない!
一応、何とか頑張って一人でやって五百万は返せるめどがついた。
「頭痛薬は必要か」
「そういう意味じゃなくて……」
頭は痛いんだけど、そういう頭痛的な頭が痛いんじゃないんだよね。
なんだか、ノウェムさん世俗に疎い感じがする。
冗談とかなんか色々と通じないお堅いというより、深窓の令嬢みたいな……
いや、それはないか。
お嬢様があんな武力行使得意だなんてないない。
……いや待てよ、一回り回ってありよりのあり?
「碧? 何を悩んで居る」
「いや、必要経費とか修理費とか社員のお給料とか色々やっていくと今月は……五百万しか借金返済できないの!」
私は正直に困っていることを話した。
「借金は確か二百億……199億9500万円か残り」
「計算すると約3333年以上かかるし、コレからも必要経費とか増えていくのを考えると、また借金が増えそうなのー‼ 死ぬまで返し続けるのは避けたいー!」
本当これが怖くて泣きそうになる。
しかしノウェムさんは何でも無いように言った。
「まぁ、借金が増えなければ君は今18歳だし、コレから実績を積めば高額依頼もより受けられるようになる。だがこれからメンテナンス代も増えていくことも換算すると楽観視はできないな」
ノウェムさんの言葉に私は頭を抱える。
「もう地道にやっていくしかないですよ。これ」
ノウェムさんの言葉に私は半泣きで半べそかきながら書類を置いてよろよろとトイレに向かった。
「うーん、新社員は増えないだろうからなぁうちの会社多分。どうしたものか」
トイレから出て考えるが、今新社員が増えても負担が増すだけと考え直した。
そして社長室に戻ると、書類が無くなっていた。
「ない⁈ 今月の明細だから税理士さんというかレティシアさんに出さなきゃいけないのに‼」
慌てふためいて会社中を走り回る。
会議室に入ると、他の皆が何かを見ていた。
中心にはノウェムさんがいた。
「み、みんな! 私の書類見なかった⁈」
「少し話あった、これで少しはマシだろう」
そう言って手渡された書類は修正されていた。
「これなら、今月は一千万返せる!」
「五百万円分、無駄な支出があったからな」
喜ぶ私にノウェムさんは少しあきれた様に言った。
「え、そんなに間違いあった?」
「まずロボット達のエネルギー源だが、実際に買っていたのは君の指定したものよりランクが下だが、ロボット達にも効率のよい最近はやりでコスパのいいものだった」
私は思わず固まった。
言われるまで全く気付いていなかった。
それと同時にそこまでメフィストたちに気を遣わせていることに私は慌てた。
「え、仕事やばいのに!」
「ヤバいのはお嬢ちゃんだよ!」
メフィストが私を怒鳴る。
「そうです、突撃して、私達の身にもなってください。ないはずの心臓が止まってしまいますよアレは!」
メフィストとクラレンスがブーイングをする。
そ、そんなに「心臓」に悪いかなぁ、私の行動……
「あと、宗一の給料は税金さっぴいて六十万でいいが、身内への給料が甘すぎると二人から声があってな、税金とか全部引いて四十万の手取りを三十万にして貰った、これでも充分甘いがな」
「いや、だって兄さん二人頑張ってるし……」
私がブツブツと反論すると、涼兄さんだけでなく順兄さんまでもが口を開いた。
「お前は! 危険な仕事を社長なのにしてる! 俺等は事務とメンテナンス! どっちが命の危険度が高い⁈」
「……俺達は半人前、三食飯付きでいるのだから二十万でも充分……」
いや、税抜きでも二十万は三食ついてても足りないだろう。
とか、突っ込みさせてくれず、ノウェムさんが続けた。
「あと、他のロボット達への給料も同様に減額させてもらった。全員の了承は得ている」
「何で⁈ 危険な仕事してるのに⁈」
私はノウェムさんに反論する。
「危険なのはお嬢さんだ。オレらは後始末、危険度は低い」
「これを自覚してもっと自分の身を気をつけるようにするんじゃぞ」
レイジングとガンツに言われると凹む。
年長者と軍事用に言われると辛い。
「削るところは削った、その上で付け足しもした」
「へ」
色々考えているとノウェムさんが給料の欄を見せた。
「碧、君の給料が二十万とか馬鹿じゃないのか? しかも税金抜きで」
「う゛」
ノウェムさんに馬鹿と言われたけど反論できない。
だって、現場でしか役に立たない新米社長だし……
「君の給料は高く無くては困る、故に八十万にした。税金込みで」
「えええええ⁈」
「会社の代表なのだから相応の額を受け取れ」
私は声を上げた。
なんで、そんなに上げるのと。
相応の額受け取れるレベルの社長じゃないのに!
「私の給料は百万だったが、六十万に下げた」
「なんでぇええええ⁈」
普通はお給料貰いたいものだよね⁈
おぜぜは大事なんだよ⁈
「修正版をレティシアに提出する。確認が取れ次第私が入金をする」
「うぇえええ」
私は机に突っ伏す。
ポンのコツすぎる自分に嫌気がさした。
こんなのじゃ死んだお父さんとお母さんに申し訳ない。
「碧、君はまだ新人で社長なのだ、だから無理はするな、私はこういうことはできるからやっただけだ」
「うう……」
ノウェムさんのなぐさめの言葉に泣きそうになる。
「少しずつ覚えていけばいい」
「はい……」
ノウェムさんの言葉に私は弱々しく返事をした。
ポンコツでも、私はやっていきたいと思った。
借金はまだ199億9000万円以上残っている。
気が遠くなる数字だ。
それでも――。
千里の道も一歩からだ。
私は社長なのだから。
頑張ろう。
碧は実働部隊で動く方が性に合っている人物です。
それだけの行動力を持ち合わせています。
逆にお金の方には社長としてはポンコツです。
社員達に甘く、自分に厳しく、それでいて予算を大幅に取ってしまうという感じなのです。
ノウェムがそれを修正しましたが、碧が社長として成長しないといけない箇所です。
現場主義でありながら、自分が見てない箇所もちゃんと理解しているので大丈夫だと思いますが。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
次回も読んでくださるとうれしいです。
2026/05/28加筆修正しました。




