52.新入社員がもう一人⁈~パラシートゥス迎撃戦と会社襲撃⁈~
仕事の指示をドゥオに出したら文句を言い出したが、宗一に怒られ引きずられていく。
またトレースもレティシアからパトリに入社するよう指示されたと聞き碧は驚くが──
仕事の指示出しをしたら早々ドゥオさんが抗議してきた。
「ちょ⁈ 何で俺メカニックの手伝いしなきゃなんねーの⁈」
レティシアさんからの指示だし仕方ないじゃない。
「涼兄さんがメカニックだからよ」
「……なぁ、涼さんよ。碧ちゃんと一緒に現場でねぇ?」
ドゥオが涼兄さんに言うと、涼兄さんは真剣な表情で即答した。
「断る‼ 碧の行動についていったら命がいくつあっても足りない‼ 俺はメカニックで後方支援に回る‼」
「な、なさけな~~」
「情けなくて結構だ!」
別に情けなくないと思うんだけどね。
「大人しくメカニックの仕事をしておけ」
ノウェムさんが絶対零度の声で告げる。
先ほどの追いかけっこの原因になった何かのせいか⁈
「ドゥオ、ノウェムの言う通りメカニックとして頑張りなさい」
「俺現場派なのに……」
「うるさい奴じゃの! つべこべ言わずにこないか!」
宗一お爺ちゃんがドゥオさんの首根っこを掴み、そのまま引きずっていった。
「ちょっとこの爺さんなんなん⁈ 元気すぎない⁈」
「ドゥオ、つべこべ言わずに仕事をしなさい。私もやりますから」
「え⁈ お前も⁈」
トレースさんも言いだし、ドゥオさんが驚いている。
私も驚いて言葉が出なかった。
「『ドゥオだけだとパトリ社に迷惑をかけるからトレース貴方も入社して働きなさい』とレティシア様から」
「え? 聞いてないんですけど」
私がそう言うと、ノウェムさんがばつ悪そうな顔をして私を見て言う。
「すまない。私が説明するはずだったんだが……さっきの騒動ですっかり忘れていた」
「アッハイ」
それ以上は聞けなかった。
「そういうわけで宜しくお願いいたします、社長」
「は、はい。宜しくお願いします」
丁寧なおじぎに、私もおじぎで返す。
すると通信機が鳴る。
「はいはいー!」
『ロゼッタです。今回はパラシートゥス案件です、木星付近まで近づいているそうです』
「分かりましたー!」
私は振り向く。
「さぁ、皆戦艦に乗って! 木星付近にパラシートゥスが出たって!」
「またー?」
「一体どこから来とるんじゃ」
「全くです」
「今は考えるだけ無駄だろ」
メフィストたちは愚痴を言いながらも乗り込み、私とノウェムさんも乗り込む。
「ご武運をお祈りしております」
「ありがとー!」
トレースさんの言葉にそう返す。
そしてノウェムさんを見ると、パワードスーツを着用していた。
が、バイザー越しにでも分かる。
拗ねてる。
私はノウェムさんに抱きついた。
「トレースさんが丁寧に送り出してくれたから言ったの。こう言う風に好きなのはノウェムさんだけだよ」
私は背伸びをすると、そっとノウェムさんのバイザーへ口づけた。
キスの後、私もパワードスーツを装着すると、ノウェムさんはキスをした箇所を指でなぞっていた。
「ノウェムさん?」
「済まない、器量の狭い存在で……」
「ノウェムさんはそういうことに慣れてないんだから、仕方ないよ」
私はにこりと笑う。
「あのーワープ完了しました」
気まずそうなクラレンスの言葉を聞いて、私たちはくすっと笑って減圧室に向かい、体を無重力に適応させる。
そして機体に乗り込んだ。
戦艦から飛び出すと──
「もう驚かないけど、言わせて。なにこれ」
「それは驚いているのだろう」
「パラシートゥスって、人類を困らせるの好きだよね」
まぁ、何もなければ無害な存在なのに爆破されたら恨みたくもなるか!
……とはいえ、だからって人類やロボットを襲っても困るんだけど。
「他の戦艦もバリアを張った最新型に変わっている、戦艦の方は安心だろう。」
「そういうこと言うと不安になるからやめて」
「そうか、すまない……では戦艦が落ちないよう片っ端から潰すとしよう。碧援護を頼む」
「お任せあれ!」
ノウェムさんの操縦のサポートをしながら、迎撃していく。
ミサイル代は心配だけど、今はそんなことを言っている場合じゃない。
使えるものは全部使って撃ち落としてもらうしかない。
30分後──
「見事だ。被害はなし。周囲にもパラシートゥスの反応はない。戻るぞ」
「あーい」
戻ると加圧室で身体を重力に慣らし、そのまま疑似重力のある操舵室へ向かった。
「疲れたよー」
「儂もじゃ」
「情けねぇな」
「主砲とミサイルとレーザーで何とかしのぎましたよ。あの早いの本当嫌いです! バリアで消滅しましたけど!」
「それなら良かった……」
私は安堵の息を漏らす。
「じゃあ、帰りましょうか。我が家に」
「「「「了解!」」」」
「もちろんだ、碧」
そう言ってワープした。
「ただい、まぁ⁈」
転がってるパワードスーツの連中とロボットを見て慌ててブローチ状になっていたパワードスーツを起動し、装着する。
「トレース‼ ドゥオ‼」
ノウェムがお二人の名前を呼ぶ。
二人は別々の方向から現れた。
トレースさんは家の玄関側から、ドゥオさんは社宅の方から駆けてきた。
「すみません、ノウェム、これらを運ぶの手伝ってくれません?」
「構わないが何があった?」
「突然やって来て爺さん達を人質に取ろうとしやがったんだよ、トレースが未然に防いで三人を整備室へ押し込んで閉じ込めた」
「家の方向へ向かったので、何かを探しているのではないかと思いました。取りあえずここにいた者たちを制圧し、その後家へ向かった連中を叩きのめしていました」
「そうなんだ……じゃあ社宅も」
「おう、碧ちゃん。その通りだ、でこの有様」
「……メフィスト、クラレンス、ガンツ、レイジング、ノウェムさんたちの手伝いしよう?」
「仕方ないの」
「そうだねー」
「全く厄介事かぁ?」
「好ましくないですね」
そう言いながら、モナル社の装甲車にドンドン詰め込んでいく。
装甲車は満載になるたび、モナル社へ向かって走り去っていった。
「ロボットはともかく、人間はどうなることやら」
「だなー」
トレースさんとドゥオさんの会話に怖さを感じたので私は言う。
「怖い話は勘弁してください」
「これは失礼しました、社長」
「ごめんね、碧ちゃん」
「ええい、ドゥオ。貴様碧になれなれしくするな!」
私に近づいて肩を叩いたドゥオさんからノウェムさんは私を引き剥がし抱きしめた。
「こんなに惚れてるのにやることやってないってどゆこと」
「貴様、それ以上いったら口を縫い合わせるぞ」
「ははは、ノウェム。落ち着きなさい。貴方が口を縫い合わせる前に私が歯を根こそぎ抜きますから」
「どっちも怖いんですけど! 助けて碧ちゃん!」
「詳しくは聞かないけど、多分自業自得だから発言には気を付けようね?」
「そんなぁ……」
本当は何を言いたいのかくらいは分かる。
でも、そんな話はまだ早い。
そういうことは結婚してからでお願いしたい。
……だって、恥ずかしいし。
ドゥオさんがまたあんなことを言ったら、今度も遠慮なく二人に締めてもらおう。
うん、それがいい。
今回は前回ドゥオが入社したのに続き、ドゥオが心配なのでトレースも入社という話になりました。
ただ、交流する間もなくパラシートゥス迎撃戦に向かう事になる碧。
なんとか無事帰還するも、会社が襲撃されていて破壊されたロボットやパワードスーツを着たまま動けなくなっている連中に碧も恐怖したでしょう。
ドゥオ、こう言う仕事なら本当真面目にやればいいんですけどね。
しかし、誰か一名を忘れている様子……
ここまで読んでくださりありがとうございました。
誤字脱字報告等ありがとうございます。
次回も読んでくださるとうれしいです。




