45.仕事の数が多ければいいものではない~1日に7件対応とかキツすぎる~
早朝、通信機の緊急音で叩き起こされた碧は、ロゼッタから2件の依頼解決を頼まれる。
速攻で向かい、そして依頼を達成するが、それは始まりにすぎなかった──
『緊急依頼が2件発生しました』
朝方通信機の緊急音で叩き起こされた私は、脳みそを無理矢理覚醒させる。
「2件ですか?」
『同時に事件が発生しています。ロボットの暴走と銀行強盗です。指定ポイントへ急行してください』
「了解しました!」
パジャマを脱いでパワードスーツを装着する。
……いや、脱ぐ必要はない。
反射的に着替えてしまう癖がついていた。
それよりも、既にパワードスーツを着用していたノウェムさんがメフィストたちに連絡をしていたので、大丈夫。
「装甲車で移動する、今の時間帯はまだ人が少ないからそちらがいい」
と言って戦艦から大型の装甲車が出てきたので、それに乗り込んだ。
ちなみにみっちゃんや宗一お爺ちゃん、兄さんたちはまだ起きてないはず。
だって、部屋には緊急通信機を設置していないから。
「わ、わ! これスピード違反じゃないですか⁈」
「警察から許可は出てる」
「だ、大丈夫かなぁ⁈」
そんな話をしていると現場にあっという間に到着。
もう大混乱。
ロボットたちはみんな大暴走してるし、銀行から強盗は出ようとしてるし。
なら順番をつけよう。
まずは銀行強盗からだ。
「おら、待てやごらぁ‼ そこの銀行強盗‼」
ロボットが銀行強盗を守るように道を塞いだ。
暴走じゃない。
ハッキングされている。
メフィストたちはロボットたちの鎮圧に大忙し。
なので私はロボットを跳び越えて、ノウェムさんと共に銀行強盗の元へ。
ノウェムさんの弾丸が車両のタイヤを全てパンクさせた。
うわ、射撃が正確すぎる。
「あれだけ的がでかいなら誰でも当たる」
「いや、私無理」
そう返してからパワードスーツを着ている強盗たちの一人を掴み、背負い投げで地面にたたきつける。
なんかちょっと嫌な音したけど聞かないことにしよう。
うん!
そしてもう一人もドロップキックを食らわすと車が凹み、ちょっと嫌な音がした。
うんうん、気のせい!
残りの6名はノウェムさんが鎮圧していた。
改めて見ると、本当に歴戦の戦士って感じだ。
普段とのギャップもあって、余計に格好良く見える。
ノウェムさんが車の中を見てパソコンを開いた。
パワードスーツから伸びたコードをパソコンへ接続すると、パソコンの画面に何かのプログラムが走り始めた。
「これで工事現場のロボットたち全員をハッキングしてたようだ」
そう言って、ノウェムさんはパソコンのキーボードでカタカタと何かやってエンターキーを押すと──
「あ、あれ? 俺達なにやってたんだ?」
「げ⁈ なんで建設中のビルの一部壊れてんだ⁈」
など悲鳴が上がってきた。
「あのロボットさんたち、廃棄されないかな……」
だってハッキングされて銀行強盗の手伝いさせられたんだから。
「遠隔操作されていただけだ。故障していない以上、廃棄はされないだろう」
「そっか……ならよか──」
パワードスーツにつけられている緊急通信機に連絡が入る。
「は、はい⁈」
『緊急の案件です、先ほどより。パラシートゥスの大群、前回より小規模ですが木星付近まで接近を確認、至急迎撃してください』
「……はーい」
半ばげんなりしながら返事をする。
今朝は急いでたし、これで終わると思ってゼリー飲料すら飲んでないのに、お腹空いたよ!
「碧、戻るまでに飲んでおけ」
装甲車に乗るとノウェムさんがゼリー飲料を渡してきたので一気に飲み干した。
「ふへーありがとう空きっ腹で連チャンはキツいから」
「思うのだが、依頼の無い日くらいはちゃんと食事を取るべきだ」
「いやだって休日はゆっくり休みたいから──」
「その休日も朝食を面倒くさがってゼリー飲料『NOVA』で済ませているだろう」
うぅ……ノウェムさんは私のお母さんか⁈
「休日こそ三食きちんと食べるように」
「ノウェムさんはいいの?」
「私は体の構造が違う」
「ぶーぶー! 不公平だー!」
とか言ってたら装甲車は戦艦に乗り込み、下りると、入り口が閉まった。
「急いでワープするぞ」
「うん」
上昇してワープを行う。
ワープ後に広がってた景色は。
「いや、前回より規模が小さいって、どこが?」
思わずツッコミを入れた。
パラシートゥスの帯は、幅が少し狭いだけだった。
「クラレンス、戦艦のバリアは自動で作動しているから主砲とミサイルでパラシートゥスの撃破を頼む、他はいつも通りだ」
「もう、やるしかないじゃん!」
ヤケになって、新型になった二人乗り戦闘機へ乗り込む。
サポートシステムを起動し、そのまま発進した。
私はがむしゃらになってノウェムさんの補助をする。
一時間後──
『パラシートゥス、迎撃完了しました!』
『ご協力感謝いたします』
「ははは、仕事ですので」
そしてワープして会社に戻ろうと思うとモニターに通信が入る。
『碧様、度々すみません。A国のパラシートゥス研究所がパラシートゥスに占拠されたそうです』
「あ゛──⁈」
思わず絶叫する。
『1日に3つも仕事を頼むのは心苦しいですが、お願いします』
「……行くか」
げんなりした表情で指定されたポイントへワープした。
ちなみにこの時はやけくそになっていたので何をしていたのか覚えていない。
が、無事にパラシートゥスの駆除と後始末を終えたので問題なかった。
ただその後も、仕事が3件立て続けに来たのだ。
頭が完全にオーバーヒートしていて何をしたのかさっぱり覚えていない。
ただ、犯人がなんか嫌な音を立てたことだけは覚えてる。
気のせいにしとくが。
「もうヤダーお仕事イヤー!」
夜まで働きづめで、ゼリー飲料だけで済ませる味気ない食事だったし私は風呂に入る気にもなれずベッドでうだうだしてた。
「碧、汗臭くなるから風呂に入れ」
「めんどくさいー」
そう言うと首根っこ掴まれた。
「私に脱がされて二人で入るか、それとも脱いで一人で入るか」
「もう今日は面倒だから二人でいいよーそれ位広さあるしー、裸の付き合いしてるから恥ずかしがる中でもないしー」
「……君は本当に私を困らせる天才だな」
ノウェムさんがそっぽ向いてる。
でもちょっと顔が赤い。
「まぁ、脱がすの抵抗あるなら脱ぐよー」
さっさと服を脱いで、風呂に入る準備をしていたノウェムさんの手を引き掴んで風呂に入った。
体は自分で洗ったけど、頭と背中は洗って貰った。
ノウェムさんにしようかと言ったら断られたので、しょんぼり。
そして二人でお風呂の湯船に浸かる。
「全く、君の身内に見られたら面倒なことになるぞ」
「一緒に家族風呂で大浴場いってるの自己申告してるから大丈夫じゃない?」
ノウェムさんの胸元に背中を預ける。
胸板は意外と薄いのに、腕にはしっかり筋肉がついている。
……不思議な体つきだな。
「今日は疲れた」
「……そうだな」
「少しだけこうしてたい」
「今日は好きなだけ甘えていい」
そう言ってノウェムさんは少しだけ私の頭を撫でてくれた。
お仕事で疲れた分、ノウェムさんとゆっくりとお風呂の時間を満喫しようと思っていた。
だが、バタバタと音が聞こえてきた。
「「「「お嬢! モナル社かられんら……」」」」
メフィストたちが私を見て硬直する。
「「「「ノウェムの奴がついにお嬢に手を出しやがったー‼」」」」
「出しておらんわ! 風呂に入ってるだけだ!」
濡れたタオル一枚でロボット四体を昏倒させるなんて、本当に規格外だ。
……やっぱり、生まれた時からそうなるように造られたんだろうな。
と、少し悲しくなった。
ちなみにモナル社からの緊急の依頼はまたしてもロボット暴走だった。
「今日は厄日か……」と呟きながら現場へ向かった。
なので速攻で鎮圧し、ハッキング犯も捕まえて警察に突き出した。
本日の依頼件数は7件。
もう当分仕事なんて受けたくない。
……そう心から誓いながら、私は泥のように眠った。
碧が仕事でデスマーチをやる話です。
最後当たりはオーバーヒートしたり、やけくそで速攻鎮圧したりと散々な目にあってます。
お風呂ももう少しゆっくり入っていたかった様子、クラレンス達が入って来ましたからね。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
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