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41.美奈誘拐~みっちゃんは保護します~

危険な鬼ごっこ禁止令から数日後、パトリ社は穏やかな日常だった。

トレースが美奈を家に帰宅させて、戻ってくるまでは──



 鬼ごっこ禁止令から数日後。

 社内でレイジングたちと雑談していると、


「で、結局運動施設の会員登録しなかったのか?」

「ノウェムさんが一緒じゃないなら意味ないもの」

「と言って聞かなくてな」


 レイジングの問いかけに私はそう返答すると、ノウェムさんは困ったように笑った。


 そうこう話をしていると、トレースさんが戻って来た。


「美奈様は無事ご帰宅なさいました。他のものが家の護衛についております」

「ならいいんだけど……」


 と思ったらトレースさんの通信機が鳴った。


「こちらトレース……なに? 美奈様が誘拐された⁈」


 私の背筋に冷たいものが走る。


「お前達は後を追え、逃すな!」


 トレースさんは頭を下げた。


「こちらの不手際で美奈様を誘拐させてしまい申し訳ございません、私が行って──」

「私も行く! ノウェムさん、いいでしょう?」

「そういう訳だトレース、碧はこうなったらてこでも動かんぞ」

「……分かりました、ノウェム、碧様のことはまかせましたよ」

「分かっている」


 私はパワードスーツを装着した。

 続いてノウェムさんとトレースさんも装着し、三人で一気に街を駆け抜けた。


「どの地点で止まった? 分かった、地図を送れ」


 私たちのバイザーに地図が表示された。

 目的地は山の中の小屋だった。


「少し急ごう」


 ノウェムさんは私を脇に抱えて、ブースターで一気に加速した。


「わああああああ!」

「舌を噛まないようにな」

「お口チャック」


 そう言って口を閉じる。



 目的地の小屋に到着し、小屋の割れた窓から中を覗く。

 そこで見たみっちゃんは、青い顔で何度も吐いていた。

 みっちゃんは極度の緊張やストレス、恐怖を感じると嘔吐する癖がある。


 プツン、と私の中の何かが切れた。

 ノウェムさんの腕を振りほどき、ガラスのない窓から飛び込んだ。

 周囲の連中を蹴散らす!


「ノウェム、碧様は感情的すぎじゃないかい⁈」

「トレース、仕方ないだろう、美奈は碧の唯一人の親友だ」


 二人も入って来て沢山いた連中をなぎ倒していく。


「おい! 侵入者だ!」

「撃て!」


 発砲された光線を避けながら敵を突破し、ようやくみっちゃんを抱きかかえる。

 相手もパワードスーツを着ていた。

 だけど性能差は歴然だった。

 だから出力を落とし、コアだけを狙って機能停止させる。

 他にも投げ飛ばして床へ叩きつけ、次々と気絶させていく。


「アンタラなにしてんだい‼ ネブラの方がせっかく目にかけてくれたんだよ!」


 カチン、今度は頭にきた。

 みっちゃんを安全な場所に座らせると──


「くたばれババア!」


 ドロップキックでぶっ飛ばした後、パワードスーツの出力を少し落としジャイアントスイングで振り回し、伸びている連中のところに思いっきり投げてパワードスーツごと叩き壊した。


「ふーふー!」


 息を荒げる私をノウェムさんが止める。


「こいつらの処分はトレース、お前に任せる」

「かしこまりました」


「みっちゃん、ごめんね……」

「違うの、違うの、隠れてなさいって言われたのに怖くてでてきちゃったからこうなっちゃったの、碧。ごめんなさい、ごめんなさい」

「みっちゃんは悪くないから、ね?」


 涙が止まらないみっちゃんに私はパワードスーツを解除してハンカチを渡す。

 みっちゃんはハンカチで涙を拭った。


「お洗濯して返すね」

「気にしないでいいよ。また泣いたら、その時も貸してあげるから」

「……うん」


 しかし、どう謝れば、この気持ちは伝わるんだろう。




「申し訳ございませんでした、私の不手際で美奈さんを誘拐される事態を招いてしまいました」

「いえ、モナル社にも責任があります。護衛が十分に機能していませんでした。申し訳ございません。」


 取りあえず、トレースさんと私で菓子折を持って謝りに行った。

 私とトレースさんは二人そろって土下座した。

 ノウェムさんはなんか着いてきた。


「碧くん、君は美奈の友だちだから悪くいいたくないし、今回の件も護衛のモナル社を信用していたから起きたなら、悪いのは君ではない」

「でも、うちで働いているから狙われたようなものですし……」

「そうね、でもこれだと不安だわ。だって私と夫は日中は働いて居るから帰ってきたとき美奈が一人になってしまう時間があるのですもの」

「本来なら警察に任せたい。しかしまた狙われる可能性があるなら……」

「……一つ提案をよろしいでしょうか」


 ノウェムさんが口を開いた。


「何かね?」

「幸い、パトリ社には社宅があり、空き部屋も多くあります」


 そうだね、社宅使ってる人今のところいないもんね。


「よろしければその部屋に美奈さんがパトリで働いている間滞在していただけないでしょうか? 安全が確認できるようになるまで」

「うーむ」

「そうね、それがいいわ。お薬を貰いに行くときは私が同伴するので迎えに来て下さいますか」

「おい、美代。いいのか?」

「碧ちゃんのところだからきっと大丈夫よ」

「と、案を出したが最終決定権は美奈さん、君にある」


 ノウェムさんはみっちゃんにそう言った。


「わ、私、社宅に住み込みで働きます! そっちの方が具合悪くなったらすぐ帰れますし、会社に行くのも楽なので……!」

「よし、決まりだ」

「では、引っ越しの準備をしましょう?」

「……そうだな」


 うわーみっちゃんのお父さん不服そう!

 でも奥さんには勝てないんだよなぁ!



 そんなこんなで、みっちゃんの引っ越しに四日ほどかけて社宅にお引っ越しして貰った。

 ロボットも生活できるよう造られているため、社宅はかなり広かった。


「わぁ、広い!」

「じゃあ、手伝おうか」

「お願い、碧」

「私も手伝う」

「ありがとう、ノウェムさん」


 段ボールを開けて家具を配置し、本や私物を整理していく。

 机の上は恋愛小説が並び、ベッドにはみっちゃんのお気に入りのウサギのぬいぐるみがちょこんと正座していた。

 気付けば部屋はすっかりみっちゃんらしい空間になっていた。


「そうだ、みっちゃん料理は?」

「大丈夫、できるよ、なんとか」

「……心配だから一緒に食べよう」

「いいの?」

「勿論」


 一人暮らしになると、みっちゃんの食事が偏らないとは言い切れない。

 なので私はそう言った。

 とりあえず、今日はみんな大好きカレーだな。

 あ、でもみっちゃんとノウェムさんいるから甘口よりにしないと。

 順兄さんは向こうで自炊してるし、レティシアさんの食事はセスさんが用意してくれている。


 そんなこんなで、今日はカレーライスメインの料理となり、和気藹々と食べた。

 みっちゃんも少し元気になったようだ。

 ノウェムさんは相変わらず静かに食べていたけれど、此処にきてからいつものことだからなぁ。

 どっちがお行儀いいと言われたらノウェムさんだから仕方ない。


 食事を終えて、お風呂でリラックスして、お風呂から上がってレティシアさんにグレイズさんの愚痴聞かされたりしてのんびりとしていると、ノウェムさんは、早く寝ようと急かしてきたので寝ることにした。


──まぁ、抱きしめられて眠るのも悪くない。


 温かくて、不思議と安心できる。

 相手が好きな人なら、だけどね。







美奈の誘拐事件です。

パトリの関係者故狙われました。

(モナル社とパトリ社は円満な関係だから)

そのため碧はブチ切れます。

リーダー格と思われる女にはババア呼ばわりし、きっちり制裁を下しています。

それ以上制裁しそうになったのでノウェムが止めました。

ネブラと関係があるということでトレースにノウェムは処分を任せました。


そして菓子折土下座を美奈の両親へ、からの社宅お引っ越し。

美奈のうさぎのぬいぐるみは、碧がUFOキャッチャーで1000円以内で取るという神業で取ってあげたと美奈と碧にとっては実はとても大事なものです。

同シリーズの猫のぬいぐるみがいますが、それは碧が持ってます。


ここまで読んでくださりありがとうございました。

誤字脱字報告等ありがとうございます。

次回も読んでくださるとうれしいです。

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― 新着の感想 ―
碧ちゃんのノウェム呼び!?仲良くなったねぇ〜(´;ω;`)たとえ動揺しすぎた故の呼び捨てでも見れて嬉しいです!あれ?もし脱字だった場合は感動したわたしが恥ずかしいんですけど、そんなことないですよね? …
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