34.パラシートゥス迎撃戦
借金の返済に悩んでいる碧に話しかけるノウェム。
話合っている時に、通信機が警告音を鳴らした──
「先月までに30億返したから、152億五千万……稼いだ52億は何かあった為に会社に持っておく……何もないといいなぁ」
「そういうのはフラグだと聞いたぞ碧」
相変わらず、どこから覚えたその言葉と言いたくなることを言ってきたノウェムさん。
「誰から」
「美奈から」
くそ、みっちゃんからだったら何もできねーや!
そう頭を抱えていると、通信機がけたたましい警告音を鳴らした。
うるさいが慌てて通信機を取る。
「はい、もしもし、レティシアさん⁈」
『碧ちゃん緊急招集! 火星にパラシートゥスの大群が近づいているらしいの』
「え、いや、うちその戦艦しかないですが?」
思わず、困惑して言いよどむ。
『あら? ノウェムからの説明が無かったの⁈ もう、仕方ないわ、二人乗れる戦闘機があるの、それにノウェムと乗って頂戴貴方はサブでいいわ』
「え゛ー⁈」
悲鳴を上げている間に首根っこ掴まれていた、
そして緊急招集用のマイクのスイッチを入れた。
『戦闘要員は急ぎ戦艦に搭乗せよ! 緊急事態につき詳細は後ほど述べる!』
そう言って社長室の窓から、私を抱えてひょいっと飛び出した。
「ギャー!」
色気も素っ気も無い悲鳴だが、怖いんだよ!
二階からの飛び降りなんて怖いんだよ!
グロッキーな私を抱えてそのまま戦艦に乗り込む。
「上昇する、ワープで指定ポイントへ移動」
「分かりました。ですが、お嬢様は大丈夫ですか?」
「大丈夫だ」
ノウェムさんはそう言うけど、大丈夫じゃない。
そのままワープすると、目の前には宇宙空間が広がっていた。
私とノウェムさんはパワードスーツを着て、減圧室に。
体が無重力状態になると、何か違和感がある。
そのまま、言われていた戦闘機に乗り込む。
「パラシートゥス迎撃用だが、軍用戦闘機より格上だ」
「わ、ワァ」
「破損したら金が飛ぶ、貯蓄して良かったな」
「よくねー‼」
思わず絶叫する。
『お嬢⁈ なんで乗ってる⁈⁈』
「二人用で、補助が必要な機体だから、碧と出ている」
『おい、待て話は』
ノウェムさんが、レイジングやガンツたちの話の通信を落としてハッチが開き飛び出す。
「うーなんだろう、無重力って何か変ー」
「それが普通だろうな」
「それとねー前のほうで沢山キラキラひかってるけどアレ……」
見慣れた紫色に輝く結晶が無数にあった。
「全部パラシートゥスだ」
「やっぱりぃ!」
私は半泣きになる。
「やだ、お家帰る!」
「ちなみに、パラシートゥスを撃墜貢献度で報償に色がつくぞ」
「やっぱり帰るのやめる、全部ぶっ壊そう!」
借金を返さなきゃいけないんだ、やってやる!
ノウェムさん、あきれのため息ついてるの分かる。
「……君はモニターを見て向こうの動きを教えてくれ」
「分かった!」
モニターにびっしり表示されているパラシートゥス。
これどうすればいいの。
「画面いっぱいに表示されていて見えませんー!」
「拡縮機能がある、距離も表示されるはずだ」
「はーい」
拡大機能を使い、距離を見ると。
「やっべ、あと10キロで接触しそうな巨大なの一個とその周囲に小型の六個、後ろに中間くらいなの八個いる!」
「それで充分!」
「わー!」
絶叫するが異変に気付いた。
「ノウェムさん! 後ろから来てる!」
「分かっている」
そう言うと、追跡ミサイルが発射され、後方の結晶体は消滅した。
機体が一気に加速する。
結晶体たちが破壊されていくのが見えている。
「次‼」
「えっと、あ隣の戦艦? パラシートゥスの襲撃受けてます、発進させた戦闘機が全機撃墜されたみたい!」
「分かった!」
隣の艦隊に向かい、小型迎撃ミサイルでパラシートゥスを消滅させていく。
『申し訳ない、本艦はここで離脱する!』
「了解した」
画面に軍服姿の男が映り、帽子を取って謝罪し、ワープして消えた。
「ねぇ、ノウェムさん、今の人誰?」
「火星防衛隊のそこそこ偉い人物だな」
「そこそこ」
「大佐」
「ガチで偉い人じゃないですかヤダー‼」
これで一悶着あったら困るぞ、私は。
「ん、この作戦に参加してるのは?」
「テトラ社、月面政府、火星政府、宇宙開発政府、モナル社だ」
「……地球政府は、ねぇ」
「『宇宙の事なんだからそっちがやれ』という態度らしい」
「ふぁーきゅ!」
絶対許さぬ。
どこまで腐ってるんだ地球政府。
そんなんだから色んなところで起きてる紛争も人種問題もなにもかも解決できてねーんだよ!
だから信用されないんだよ!
と、ガルガルしながら、私は次の指示を出していった。
「三時の方向に巨大パラシートゥスとそれを守るパラシートゥス達がいる、数は40!」
とノウェムさんに伝える。
「了解」
「何か黒い三角形の紋章が付いた戦艦と拮抗してるよ」
「テトラ社だな」
そんなこんなで──
「づがれだ……」
「この辺り一帯のパラシートゥスの排除は完了したようだ」
「おぜぜ、たくさんもらわないとやってられない……」
「取りあえず、戻ろう。あ、念の為加圧部屋で重力環境に慣らしておくぞ」
「そうだよね、戦艦には重力発生装置があるんだもん」
私はそう言ってノウェムさんに案内され、加圧室で体を慣らしてから戻った。
今の技術凄いねぇ。昔なら慣らすのにかなり時間がかかったって聞いたし。
「ノウェム! お嬢を危険な目に遭わせるとはどういうわけだ」
「お嬢にこう言うのは不慣れじゃ!」
「そうだよそうだよ!」
「待ちながらパラシートゥス達を蹴散らしてた私達の『胃袋』が痛むのが貴方には分かりますか」
「分かる、がそういう設計にしたのはレティシアだ、文句はそっちに言ってくれ。それと碧はキチンと仕事をこなせた」
そして帰還後──
『無事だったみたいね、良かった』
「あい……」
『そうそう、月面政府の大佐さんと火星政府の大佐さんが貴方の功績をたたえて表彰したいって──』
「全力でご遠慮いたします!」
『ふふ、碧ちゃんらしいわ、分かったわ伝えておくわね、そうそう、貴方達パトリに入る金額だけど』
「だけど?」
『両政府と私達がかなり色をつけたから税込みでも130億になったわよ』
「……」
バターン!
『碧ちゃん⁈ 碧ちゃん⁈』
文字通り命がけの報酬でした……
これでどれだけ借金かえせるだろう……
うふふ、あはは……
そう思いながら意識が暗転した。
パラシートゥス迎撃戦。
宇宙空間でのバトルです。
上手く描写できてれば良いのですが……
あと、碧は借金返す為に必死ですが。
が、名誉は入らない、名誉で腹は膨れないのと余計なところと繋がりたくないというのもあります。
まだモナル社以外との繋がりが怖いのでしょう。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
誤字脱字報告等ありがとうございます。
次回も読んでくださるとうれしいです。




