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3.借金は二百億に!~ミステリアスな新入社員~

新入社員登場(株主から強制的に入社させるよう言われた)



 無事地球にある会社にワープして戻ってくると会社のグラウンドにレティシアさんがいた。


「レティシアさん! 貴方のパワードスーツのお陰で無事テロリスト瞬殺できました!」

「……」


 駆け寄って嬉しい気持ちを伝えようとして話しかけると、レティシアさんが額を抑えている。

 何でだろう?


「レティシアさん?」

「! ええ、本当にありがとう。あの鉱山は私の会社の所有物なのよ」


 はい、勿論です。

 依頼書に書いてありましたからね。


「はい、知ってます!」

「テレポートで火星にひとっ飛びだったけど、貴方が行くのは予想外だったわ」


 その言葉に私は少し驚くが、笑顔になって返す。


「いやぁ、ロボットの原則がありますから」

「確かにそうね……」


 ロボットは人間を傷つけてはならない、殺傷行為は禁じられている。

 疑似暴力もだ。


 だから、私が出るしかないのだ。


「あと、言いにくいのだけども」

「分かってます、あのパワードスーツ、凄い高価な物だって」


 いくら位だろう?

 困り顔のレティシアさんがちょっと怖い。


「……八十億よ」

「最初の借金二十億にパワードスーツ八十億で百億! 借金が百億になったー!」


 ちょっと待って、億の桁が三桁になった!


「ちなみに戦艦は百億ね」

「プラス百億で、二百億ー! あれ、何か計算合わない気がするけど……いやでも二百億になった──!」

「ちなみに今回の依頼料は3000万よ」

「ギャー! 道が長いー!」


 依頼料が思ってたより多いけどそれ以上に……

 借金の額が三桁、そして二倍!

 現在の借金の金額に私は頭を抱える。


「実はその話をしに来たんじゃないのよ」

「え、じゃあ何の話ですか?」


 てっきり借金の話かと思ったが、困り顔のままレティシアさんが続けた。


「パトリの社員の方々、貴方の会社のみなさんが、貴方の行動が危なっかしいと言ってきたのよ。通信機で私に連絡までして」

「ははは……」


 いつの間に連絡をしてたんだ、クラレンスたち。

 でも、事実なだけに否定はできない。


「だから、私の知人を雇って欲しいの」

「へ?」


 予想外の言葉に私は間抜けな声を上げた。



「……えっと萌木碧です」


 会社の中に入るとレティシアさんが誰かを連れて来た。

 烏羽色の髪。

 白磁の肌。

 黒い目。

 男の人か女の人かも分からない中性的な美貌。

 その美貌に思わず挙動不審になってしまう。


「……ノウェム・アルモニアです。よろしく頼みます」


 声も中性的だった。

 いや、ちょっと男性よりかな?

 でも、綺麗な声をしていた。


「あ、あのこの人何をする人なんです?」


 レティシアさんに尋ねる。


「ノウェムはね、特殊部隊にいてテロリストの鎮圧なんかの武力行使や要人警護のプロなのよ」

「え⁈」


 そんな人雇うお金なんてないよ!

 ついさっき借金増えたばかりなのに!


「大丈夫、心配しないで、ノウェムはお金より別の理由で来ているのだから給料は最低限で構わないそうよ」

「いや、それはちょっと……って別の理由って?」

「さぁ、何でしょう?」

「……」


 謎が多すぎてレティシアさんの紹介じゃなかったら雇わないよいくら何でも。

 それにお金は最低限ということにはためらってしまう。

 頑張ってこの人のぶんのお給料を満足に払えるようにしよう!


「ノウェムも同じパワードスーツ持って居るから、宗一さんと順さんでしたっけ? 修理とかのやり方を教えたいから2人を少しお借りしていい?」

「えっと、お仕事は……」


 お給料を払えるようにしたいから、またお金が稼げる仕事がいいなと思った。


「はい、これね」


 だが、しかしレティシアさんの依頼書の内容は、瓦礫撤去と書かれていた。

 お金も先ほどより大分少ない。


「一回目が大変だったからね、今回はこれで」

「う゛ー」


 有無を言わせぬレティシアさんの笑顔に、私は頷くしかなかった。



「もっと早くおぜぜ稼ぎたい!」

「おぜぜ?」


 爆破工事後の現場に向かい本心を叫ぶと、ノウェムさんが瓦礫を撤去しながら私に尋ねてきた。


「えっと、私、稼いだお金のことをおぜぜって言うの。遠回しに言うと、借金早く返したい! ってことですはい」

「わかった」


 なんだか変わった人だなノウェムさんって。


「よーし、あと少しじゃ!」


 パワードスーツを着ながらガンツの指示の下瓦礫を撤去する。

 ガンツは引退するまで、土木工事なんか色々やっていたから指示も正確だ。

 ただ、型落ちになって引退──廃棄する前にうちのお父さんたちが引き取って今のガンツがある。


「よし、これで……」

「まて、何か来る⁈」


 終わりと言う前にレイジングが何か言った。


「ヘリコプター? 報道ヘリにしては何か脇についてぇえええ?」

「全員全力で逃亡だ!」


 ノウェムさんはそう叫んでが私を抱えて走り始めた。

 そして、クラレンスに私を投げ渡すとUターンした。


「伏せろ!」


 パワードスーツの殺傷性の高いミサイルランチャーを取り出して放った。

 ヘリもミサイルを撃ってきたが、パワードスーツのミサイルがそれを破壊してヘリに命中する。

 命中したヘリは炎上しながら地面へ墜落した。

 そして爆散したヘリの爆風がここまで届いたのか、メフィストたちは私を隠すように守っている。

 その隙間からノウェムさんは何か連絡を取っているのが見えた。


「今の何ですか⁈」


 戻って来たノウェムさんに問いかける。


「迎撃だ」

「いや何をどうやったらミサイルをミサイルで撃ち落とせるんですか⁈」

「パワードスーツの補助機能だ、ミサイルに関してはパワードスーツのミサイルの威力と、照準に関しては照準補助が上手く働いて私は引き金を引いただけだ」



 あんなヘリが何で私たちを撃ったのか分からなかった。

 が、それよりもそんなヘリをミサイルで撃ち落とし返したこの人の行動に驚いたわ!



 会社に帰ってきたら、また今日もレティシアさんがいた。

 事情を話すと、レティシアさんは「また狙われてたか」と呟いた。


「え、私達狙われてたんですか⁈」

「正確にはパワードスーツよ」

「いやいやいや! 十分怖いんですけど⁈」


 怖い怖い!

 借金増えるのも狙われるのも本当に怖い!

 1人で寝るのが嫌だ!

 でも兄貴の部屋では一緒に寝たくないし、宗一お爺ちゃんの部屋で寝ると迷惑だし……


「そもそもなんでパワードスーツ狙われるんです⁈」

「試作品のパワードスーツは企業や軍も欲しがっているわ。奪われれば技術流出になる。だから狙われる可能性は以前からあったの」


 そんな怖いもの私に渡さないでくださいな……



「わーい、実家兼社宅の改築工事が終わったー!」


 ようやく工事が終わった実家と社宅を見て私は歓喜の声を上げる。

 会社と隣だからすぐ行けるし……まぁ社宅は今現在使う人いないけどね。


「コレも借金の一部か……」

「いや、コレは20億含まれてる奴だからこれ以上増えない」


 戦々恐々している、涼兄さんに私は呆れたように言う。


「社長」

「はい、なんですかノウェムさん」


 ノウェムさんが呼んだので振り返る。


「レティシアからの言づてです。『貴方の身の安全の為にノウェムと相部屋にしなさい』とのこと」

「へ⁈」


 ノウェムさんの言葉に慌ててスマートフォンのメールを見る。

 レティシアさんから、その内容の文章が書かれていた。

 ちなみにこのスマートフォンは仕事用にレティシアさんから用意して貰された備品である。


 備品……また借金が増えるのかなぁ……微々たるものだといいけど


「ちなみに仕事用のスマートフォンはタダだから気にするなとのこと」


 ノウェムさんがスマートフォンを見て黄昏れている私の心を読んだようにいう。


「よかったー、これ以上借金は嫌だ」

「で、相部屋でいいですか」


 ノウェムさんがそう確認する。


「「「ふざけてんのか (るのですか/るの)⁈」」」


 すると、メフィストやクラレンス、レイジングが声を上げる。

 抗議の声だ。


「文句があるなら筆頭株主であるレティシアに言ってください」

「「「ぐ……」」」


 メフィスト、クラレンス、レイジングが、反論できず睨むだけになっている。

 私は仕方ないなぁと思い、レティシアさんからの指示を後押しする発言をすることにした。


「メフィスト、クラレンス、レイジング。気持ちは分かる。でも、ロボットじゃなくて人間に人質を取られたら貴方達だと終わりでしょう?」

「「「ぐ……」」」


 そう、私とノウェムさんは人だからいい。

 でも、ロボットの三人はちょっと違う。


 ロボットが暴走したなら止めればいい。

 だが、人の暴走や、何かあったとき行動できるのは人だけなのだ。


 ロボット故の不自由さが彼らを縛り付ける。


「分かったら、各自、自分の部屋に行って!」


 そういうと金属的な足音を立てながら三人は自分の部屋に向かった。

 今までは合同部屋だったから良いと思う。


「でも、私の部屋だと──」

「社長、貴方のご両親の部屋を使わせていただきましょう」

「……うん」


 両親の部屋も改築されていた。

 なんか凄く頑丈になっている気がする。

 今まで、レティシアさんの仮の住居に住まわせて貰ってたから分かる、コレは頑丈になっている。


 なんでこんなに頑丈に?


 疑問が沸いたが、それで終わった。


「では、宜しくお願いします」

「勿論です、社長」


 私はノウェムさんの口調に違和感をずっと感じて居たので、それを口に出した。


「あのー無理しなくていいんですよ? そういう口調、苦手、だと思うんですけど」

「……すまない、では普段通りにさせてもらう、碧」


 どうやら私の違和感、というか勘は当たっていたらしい。


「うん、宜しくです、ノウェムさん」


 私達は握手をした。


 その日、母のベッドで寝たが何もなかった。

 隣ではノウェムさんというまだ知り合ってほとんど時間経過してない人がいるのに、ぐっすり寝られるのは、いいことか、悪いことかは分からない。

 けれども、何故だろう胸がくすぐったいというかざわざわするというか、不快感じゃないんだけどよく分からない感覚が残っている──







さて、レティシアの知人ノウェム(名称を変更しましたすみません)。

凄腕ですが、色々事情があります。

さて、社員も増えましたが、謎のヘリの件、これはどうなのでしょうね。


ここまで読んでくださりありがとうございました。

次回も読んでくださるとうれしいです。

2026/05/27加筆修正しました。

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