25.恋人になって~冷やかしはおやめください~
ノウェムと恋人になって二日目、碧は美奈にノウェムと恋人になったことを話すと、美奈は嬉々として語る。
それに戸惑っていると酒の匂いを漂わせた涼が休憩室にやって来て──
ノウェムさんと恋人になって二日目に、ようやく休憩室で美奈ちゃんにそれを報告した。
「え‼ ノウェムさんと恋人になれたの⁈」
「シー! みっちゃん声が大きい」
ノウェムさんとの事をみっちゃんに報告すると、みっちゃんは目を輝かせていた。
「ど、どうしたのそんなに目を輝かせて」
「だって、恋人同士になるんじゃないかなって思ってた二人が恋人同士になったんだもの!」
みっちゃんそんな風に私たちのこと見てたの⁈
それにしても声大きいよ、お願いもう少し小さくしてよみっちゃん!
「だから! 声が大きいってば!」
「素敵!」
ダメだ、みっちゃんは自分の世界に入って聞いてくれない。
そう思っていると休憩室の扉が開いた。
「あ゛~~? ……碧、どうしたんだ」
髪ボサボサで酒の匂いを漂わせている涼兄さんがいた。
「うわ、酒臭い! 今日は涼兄さんは休め! 事故があったら困るから!」
「わりぃ……」
距離があるのに酒の匂いが分かるほどだったので私は涼兄さんに休むように言う。
飲酒で事故はごめんだからね!
でも、なんでこんなに酒臭いわけ?
「なんなのそんなに酒飲まされて……」
「いや、昨日の合コン修羅場だったんだよ。俺の酒の度数だけ上げるように女子陣が注文してた上、薬まで入れたらしくて……既成事実作らされそうになった、やっぱり現実の女こぇえ」
はぁ⁈
既成事実⁈
犯罪行為じゃない!
合コンやばいわ、二度と行かせない方がいい!
「はぁ⁈ 涼兄さん合コンやめな!」
「酷い! 涼さんよく無事で!」
私は単刀直入に言う。
みっちゃんは凄く怒ったかと思えば、涼兄さんの側により背中をさすっていた。
とても優しい表情で。
「何かドゥオって名乗るチャラチャラした男性がそれを指摘して泥酔している俺を連れて来てくれたんだよ……止めたいんだけどもそれができれば……」
はぁ、と疲れたため息をついていた。
レティシアさんに相談するべきか?
「……ところで昨日、メフィストたちがしょげていたけど何かあったのか?」
「ちょっとやらかしてくれてね、お仕置きで幼稚園に派遣した」
うん、本当、あの四人はね。
ファーストキスが事故チューオチなんて未だに最悪だと思ってるから。
「あ、なるほど……うぇ……」
気持ち悪そうにしている、どれだけ度数の高い酒を飲まされ続けたのか。
下心しかない合コンに参加した女達に頭が来る!
「はい、白湯ですどうぞ」
「悪い……」
みっちゃんが給湯室に行って戻って来てコップに入った白湯を涼兄さんに渡すと、涼兄さんは飲み始めた。
「あ゛ー白湯が美味い……」
「一応、合コン行ってるのは聞いてあるからお粥用意して持って来るからそれ食べて」
じじ臭くなってるが仕方ない。
私は胃が荒れている可能性を考慮して作っておいたお粥を急いで持ってきて涼兄さんの前にレンゲと共に置く。
「そうする……食ったらまた寝るわ……」
そう言ってゆっくりと食べ始めた。
目の下のクマが酷い、夢見が相当悪かったんだろう、まぁそれも仕方ない。
合コンでそんな目に遭わされたらなぁ。
ドォン‼
ロボット達の運動スペースもといグラウンドから激しい物音が聞こえた。
「な、何?」
不安になるみっちゃんに私は言う。
「見てくるね!」
急いでグラウンドへとつくと──
「ドゥオ! いい加減侮辱は止めて貰おうか! あの男を思い出す!」
「あ、桐生桐人って奴の事か?」
黒髪に銀のメッシュを入れている男性とノウェムさんが争っていた。
「そうだが⁈」
黒髪に銀のメッシュを入れている男性──ドゥオと呼ばれた人物がノウェムさんに向かって何か言っている。
「あ、昨日俺を助けてくれた人だ」
「え⁈」
お粥で若干回復した涼兄さんもグラウンドに来てドゥオと呼ばれた人物を指差した。
「名前はドゥオって名乗ってた」
そういえば会ったことがあるような……ドゥオさん……ああ、レティシアさんが連れて来ていた人だ!
「で、何処まで進んだんだ? *****とか***とかか⁈」
「貴様ー‼ 殺す‼」
ドゥオさんがよく分からない単語というか脳みそが言語化を拒否する単語を言っていた。
そしてノウェムさんは怒ってる、マジ激怒。
あ、これ卑猥単語いったんだな、何かの言葉で。
「どーしよ、流石にここ穴ぼこだらけになったら困るしなぁ」
「修理費は私に請求して頂戴」
レティシアさんが申し訳なさそうな顔でグラウンドにやって来た。
「ドゥオがついてきてるのにセスも気付かなかったのよ」
「すみません、レティシア様。私の失態です」
セスさんが頭を下げて謝罪している。
「ドゥオは気配消すの本当得意だからね、場に溶け込むのも」
あ、だから自然に涼兄さんを助けてくれたんだ。
でも、その人ノウェムさんのことめっちゃ怒らせてるんですが⁇
「あの、なんと言ったんですかあの人?」
「……碧ちゃんは知らない方が幸せよ」
レティシアさんは困ったように笑って言った。
そんなに卑猥単語だったのか。
「うん、幸せ、というか多分貴方も怒って収拾がつかなくなる」
「マジか、つまり相当酷い卑猥な単語だったんですね」
でも、私涼兄さんへのお仕置きでエロ本分別したことあるから其処まで怒るとは思わないけど。
でも、レティシアさんやセスさんが言うならかなりマニアックな単語なんだろうな。
そうなると順兄さんなら知ってるかな?
いや、教えてくれないかあの性格じゃ、そもそも未だ帰ってきてないし。
いつ戻ってくるか聞くのもちょっと戸惑うな、取りあえず無事に早く帰ってきて欲しいなぁ。
「ええ……正直私もどう締めようか悩んで居るわ……本当ドゥオはナンバーズの中でも一番の問題児なんだから……」
「レティシア様、他のナンバーズも招集して締めますので」
困った顔のレティシアさんに、セスさんが提案する。
その提案に頷いた。
「セスお願い」
「ノウェムさんはどう止めよう……」
怒ってるノウェムさんに今私が近づくのは危険だし……
それ位バトルしてるし……間に入れない。
「仕方ない、私が二人を止めます」
セスさんはそう言って二人の方へと一瞬で移動した。
そして──
「~~⁈⁈」
「がっ……!」
二人の動きが止まった。
「二人とも、これ以上破壊したらレティシア様と碧さんたちが困る」
セスさんはノウェムさんの腹部に拳を、ドゥオさんには……股間に蹴りが入っていた。
股間を押さえてうずくまるドゥオさんをセスさんはげしげしと蹴っていた。
「……あの娘さん、末恐ろしいですね」
「「「うん/ああ」」」
終始見ていたらしいクラレンスの呟きに、メフィストたちが頷いていた。
四人とも一応男性型だから股間に蹴りは恐ろしいんだろうな、本能的というかなんというか。
「あの、クラレンス。なんて言ってたかわか──」
「お嬢様、聞かないでください。私達は口が裂けても言えません」
クラレンスに聞いてみたら他のみんなも頷いた。
どうやら相当酷い卑猥な単語だったようだ。
私はノウェムさんに近づく。
「ノウェムさん大丈夫?」
「げほ……ああ、私は平気だ」
ノウェムさんはそう言って口を拭ってから立ち上がり、セスさんと混じってドゥオさんを蹴り始めた。
「お前のような盛った獣に私の苦労など分かるまい‼」
「そうそうノウェムの体馬鹿にして言ったドゥオが悪い」
ノウェムさんは本気で怒っているらしく、ドカドカと蹴り続けている。
セスさんは冷静な口調でげしげしと蹴り続けている。
「い、いでぇ……二人がかりでボコるのは無しだろ」
「後でノウェム以外のナンバーズで締めるから覚悟してね」
反論するドゥオさんに、セスさんは宣告する。
「はぁ⁈ げふ!」
セスさんの言葉で顔を上げたドゥオさんにセスさんの蹴りが入る。
「ドゥオ、アンタの言い方でうちの会社の品位が落ちるから言い方気をつけろっていったよね?」
「いでででで!」
蹴りの後は耳を引っ張られていた。
「分かったらノウェムに謝って」
「ノウェム! 悪かった!」
セスさんに促され謝罪するドゥオさん。
「……」
ノウェムさんは無言だ。
不機嫌になっているのが分かる。
早々簡単に許せないんだろうなぁ。
「で、どこまでいった?」
「レティシア! セス! 此奴の殺処分許可を要請する‼」
あーもー!
またぶちギレたよ、ノウェムさんが!
ドゥオさん一言二言余計なんだって!
「ノウェムさん落ち着いて!」
私は暴れそうになるノウェムさんに抱きつく。
ノウェムさんは大人しくなった。
よしよし。
「それは却下です。ですがお仕置きはしますので」
レティシアさんは困ったように微笑んで言った。
「ドゥオ、覚悟しててね」
「マジかよぉ……」
ドゥオさんは肩を落としてそう呟いた。
その後、ドゥオさんはセスさんに引きずられて行った。
車にぶち込んで送るらしい。
「ノウェムさん、大丈夫、大丈夫」
まだ怒り心頭なノウェムさんを抱きしめて背中をさする。
「レティシアさん、その人あまり連れてこないでくださいねー」
「ええ、そうするわ」
レティシアさんは申し訳なさそうな顔をして、会社の入り口の車に乗り込み帰って行った。
「次奴が来たら潰す……」
「取りあえず落ち着きましょうねー」
そう言って背中をさする。
「何を言っているのかは分からなかったけど、ノウェムさんが怒るってことはそうとう酷い内容だったんだね」
「酷いなんてものではない、侮辱だ、桐人とかいう輩よりも酷い……奴の顔を見たら何も言わず拳をくれてやる」
桐人兄さんより酷いとかマジか。
相当ノウェムさんにちょっかいだしたくて仕方ないんだろうなぁ。
はた迷惑だ。
「レティシアさんも連れて来ないよう気を付けてくれるみたいだから、ね? ちょうどお菓子あるから食べましょう一緒に。みんなも休憩してねー」
グラウンドに戻って皆に言う。
「お嬢様、この穴ぼこは」
「予感だけど明日明後日には戻ってるからそれまでは待機ね」
穴ぼこだらけのグラウンド、多分夜中あたりにレティシアさんたちが何とかしてくれるだろう。
レティシアさんが何とかするといったし、クラレンスの問いかけにそう返すと、私は自室でノウェムさんと秘蔵のお菓子とお茶を堪能した。
洋菓子店ミモザの販売数限定のガトーショコラと和菓子屋鈴蘭の和三盆の干菓子。
ガトーショコラは紅茶、和三盆は緑茶で堪能した。
ノウェムさんは若干やけ食い状態だったけど。
そういう所が可愛いので見逃しましょう。
ノウェムと碧が恋人になってキャーモードな美奈。
二人がそう言う関係になるのではと目を輝かせて見ていたからです。
さて、涼ですが本気で合コンの洗礼を受けて地獄を見た様子。
ドゥオが助けてなかったらヤバいことになってましたね、色々と。
さて、そのドゥオはノウェムに碧との関係を聞いてます。
ぶっちゃけると「肉体関係どこまでいった?」的なことを聞いたのでノウェムはぶちギレました。
まぁ、ノウェムにも下心がないわけではないのですが、体のこともありますし、何より何かで碧が傷つくのを避けたいのがノウェムの思いです。
で、それを知らないでノウェムの地雷を盛大に踏み抜いたので、ノウェムとドゥオがバトリました。
完全にドゥオが悪いです。
レティシアはドゥオが来ていることを全く感知しておらず、セスは何か違和感があるけど今対処して危険だったらと思っていたのでドゥオがパトリにくるのを許してしまいました。
ドゥオが涼を助けたのは彼の護衛を命じられてたからです、ただかなり遅く助けたのでこってりしぼられることでしょう。
ノウェムの件と合わせて。
ノウェムが最後に食べた菓子、ヤケになって食べてたけど許したとありますが、食べたお菓子達にどんな意味があるんでしょうね。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
次回も読んでくださるとうれしいです。




