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【幕間】桐人の秘密と思い



 碧たちがアルジャン社に行く前日の夜──


「は⁈ レティシア、アルジャンのロボット達のメンテナンス、パトリの連中頼んだのか⁈」

『ええ、だって貴方だと余計なことしそうだから』


 桐人は自宅の隠し部屋のモニター室のモニター越しにレティシアと会話する。

 レティシアはモニターの向こう側で楽しそうに微笑んでいる。


「不味いな、明日咲良とアルジャンに行く予定だったんだが、ずらすか?」

『あら、やましいことでもあるの?』


 レティシアの言葉に桐人は嫌そうな顔をして叫ぶ。


「知ってていうかこの女社長ー‼」


 桐人は嫌そうな顔で手をひらひらさせる。


『咲良ちゃんって貴方の対となるナノマシン適合者の子よね』

「何が悲しくて妹みたいな、娘みたいに思ってた子が適合しちゃったんだよ、マジでネブラの連中コロス‼ ぶっころ‼」


 レティシアの指摘に桐人は怒り丸出しで、机を叩いた。

 わずかばかり机を叩いた箇所は凹んだ。


『それは困るわ、やって来た事を全て吐き出して、通じている連中もあぶり出して、処刑しないと』

「俺はアンタがこえーわ」


 桐人はレティシアの言葉に心底嫌そうな顔をした。


『うふふ』


 モニターのレティシアは微笑んでいる。


「まぁ、アンタの事情も知ってるから怖いのも納得なんだが。同情もする」

『あら、貴方が同情なんてめずらしい』


 レティシアの指摘に、桐人の額に筋が浮かぶ。


「俺を何だと思ってる」


 桐人がブーイングする。


『感情豊かな貴方が羨ましいわ』

「感情豊かになるまで三百年近くかかったが⁈」


 レティシアの言葉に桐人は反論する。


『あら、三百年近くなら短いじゃない』

「アンタならそう言うと思った」


 桐人はあきれ顔でモニターの向こうのレティシアを見る。


『ところでパラシートゥスの件なんだけど……』

「誰にもいってねぇよ」


 桐人はため息をついた。


「あれは人間が作った物で、俺を作った連中の内の一部が、非道な実験を平気でおこなう人間がいていいものか調査するために作ったって」

『公になったら大暴動ね』


 レティシアの発言に桐人は頷いた。

 人間たちを襲っているパラシートゥスが実は人間が作ったとなれば責任の所在などで問題や暴動が起きるのは目に見えているからだ。


「知ってるのは俺とアンタだけだしな、当事者達は全員死亡したし」

『パラシートゥスを生み出している母体結晶の居場所はつかめた?』


 レティシアの指摘に桐人は肩をすくめて首を振った。


「それがつかめてたら苦労はしないし、俺が責任とって破壊に行ってるわ!」

『じゃあ、パラシートゥスを破壊する安全装置の場所は?』


 そしてヤケっぱちに叫ぶと、レティシアは続けて質問した。


「そっちも不明! パスワードだけは知っている! 『Attendre et espérer』だ。教えて貰ったからな、パラシートゥスを作った連中が俺に『君がもし人類に希望がある感じた場合の可能性をわずかに信じてパスワードだけは教える』だってよ! だったら場所まで教えろよな!」


 桐人はバンと机を叩いた。

 またすこしだけ叩いた箇所が凹んだ。


『「Attendre et espérer」……モンテ・クリスト伯の一文ね。「待て、しかして希望せよ」』

「連中の持ち込んだタブレットにあったよ、漫画とかアニメとか色々な」

『娯楽が少なかったから』


 桐人は唇をとがらせて拗ねたように言う。


「そういうことだ」

『ところで、貴方達の実験場所は何処なの? 何故今も教えてくれないの?』


 レティシアの指摘に桐人は頭を掻いた。


「あーそろそろ教えるか考えてたが」

『が?』


 レティシアが気になっていることに、桐人は答える。


「教えたらパトリの連中と咲良と清花、順に涼たちが巻き込まれる恐れがあるから言うか悩んで居る」

『もしかして、爆散してない?』


 レティシアの指摘に桐人はやらかした後のような顔をした。


「……正解」


 レティシアがあらあらと困ったような表情をした。


『それじゃあ情報は貴方から貰うしかないってわけね』

「そうだよ、それと爆散させたの俺」


 桐人の言葉に、レティシアはモニター越しに驚いていた。


『ちょっと!』


 レティシアが焦った声を出す。


『それは初耳よ!』

「今言ったもんねー」


 桐人はしてやったり顔をしてモニターの向こうのレティシアを見る。


『もう、だから貴方は性格が悪いのよ』

「アンタも相当性格悪いぜ、レティシアさんよぉ」


 レティシアの指摘に、桐人は嗤う。


『仕方ないでしょう、異父兄弟と実母がアレだったんだから』

「親父さんも相当根深かったようだな、つい最近浮気を知ったような言い方をして、向こうの浮気相手たちの家族も破滅させたからな、いや、浮気相手を破滅させたか」


 レティシアの言葉に、桐人は思い出すように言う。


『お母様は最初からお父様のお金目当てだったみたい、まぁお母様も良家の家の出だったけど、浮気の件でお祖父様達に縁を切られて、行方不明……って感じだから』

「母方のご両親はまともだったんだろう? 慰謝料に上乗せして、謝罪しようとしたんだから」


 その言葉に、モニター越しのレティシアは頷いた。


『ええ、今もそっちのご両親とは仲が良いわ。お父様も』


 そういってからモニターの向こう側のレティシアが問いかけた。


『ネブラの調査はできてるの』

「できねーできねー! なんなんだあいつら⁈ 俺のハッキングでも、ようやく襲撃先を事前に掴める程度だぞ!」


「しかも下っ端連中が使ってるパワードスーツはお前さんところのだぞ、どうやってか仕入れているんだ全く!」


 桐人は半ばやけっぱちの様に言った。


『やっぱり裏で何かしている輩がいるようね……』

「自分で言うのもなんだけど、俺人外レベルの頭脳の持ち主だろ? なのにそれと張り合うってどういう頭持って居る奴がいるんだネブラには!」


 ネブラの背後には、桐人でさえ追い切れない誰かがいる。

 そう考えるだけで不気味だった。



『そうね……』

「んじゃ、明日行くか」


 桐人は会話をしている間に腹をくくっていたようだった。


『お願いね』


 モニターが消える。

 桐人はため息をついて部屋を出て行った。



「咲良、今日はネブラの連中が来るかもしれないぞ」


 アルジャンへの道を歩きながら桐人と咲良は会話をしていた


「分かってる、覚悟はしてる」

「で、アルジャンの連中はメンテナンスで動けないからロボットは全部破壊だ」


 咲良は真面目な顔をして桐人の言葉に頷いた。


「うん……」


 だが、破壊という言葉には咲良は不安げになっていた。


「ちなみにメンテナンスを請け負ったのは株式会社パトリだ」

「パトリ……もしかして、碧ちゃん?」


 桐人の言葉に、咲良は仲の良い親戚の女の子のことを思い出したようだった。


「おお、よく覚えていたな!」

「……私、何もできない。碧ちゃんに怖がられたくない」


 不安になる咲良に桐人は言う


「大丈夫だって心配すんな。じゃあ賭けだ、もしお前の姿を見て碧が怯えたら碧の記憶からそれを抹消して俺の負け、碧が怯えなかったら俺の勝ち」

「怯えられるよきっと……」


 桐人の賭けの内容に、咲良はそう言って人影が見える場所に進んでいった。



 アルジャン社に到着した桐人はノウェムを見て思った。

 ノウェムと会った時の桐人は姿が違った、声も違った。


 だからノウェムは気付かなかったが、機械のような存在だったノウェムがまるで人間のように感情を露わにするのに桐人は愉快になって碧をみる。


──全く彩花といい、萌木夫妻といい、咲良といい、碧。お前たちは本当に人を変えたり救うのが得意だな──


 そう思いながら桐人は憎まれ口を叩いてはビンタされた。

 桐人の頬にはくっきり型がついた。



「もう一度聞くぞ、碧とはどんな関係だ」


 応接室に来て、ノウェムに尋問される。


「だーかーらーさっき言ったとおりだっつーの! 小さい頃合って面倒見てた妹みたいな存在だって!」

「信じられん」


 冷たい口調で自分に言うノウェムにはぁとため息をついた。


「なんだ、碧を取られると思ったのか? それとも自分の知らない碧を知ってることへの嫉妬か?」

「な……」


 ノウェムは明らかに動揺を見せた。


「当たりだな! 全く面倒くさいやっちゃ、それなら聞かせてやるよ、俺が知ってるのを」

「……」


 無言になった、どうやら聞きたいらしいと桐人は理解した。


「碧はああ見えて無邪気で羞恥心の塊でスカートやヒラヒラさせたものを着せられたら大人しくなるから、両親がよそ行きするときは必ずひらひらした服を着せられていた。だが、友達が危ない目に遭うとなりふり構わず行動する」

「……」


 ふむふむと無自覚にノウェムが頷いてるのが桐人は面白かった。


「それから貞操観念がなんかずれてて、それは親父さんが裸族だったのが原因で男の裸を見ても動じないからか、変質者と会ったときに『なにこの短小、見せて楽しい?』と撃退し、痴漢は万年筆を手にぶっ刺した上で手を掴んで『こいつ痴漢ですー!』と即座に対応できる行動力の塊だ」

「まて、痴漢されたことあるのか?」


 桐人の発言に、ノウェムが明らかに怒りの声を発する。

 自分にではなく痴漢共へだ。


「変質者は四回、痴漢は十回位被害にあったそうだぜ、全員とっ捕まってるけど。普通にしていれば大人しくて純朴そうだから狙われるんだよなぁ、怒らせてガルガルモードにしたらヤバいけど」

「……」


 桐人の発言に、今度はノウェムは納得したように頷いていた。

 これも無意識だろう、その変化をさせた碧を心の中で桐人は褒め称えた。


「お前もさぁ、大切にされてんだから無理すんなよ、無茶する奴を見ると怒るぞ、自分のこと棚に上げて」

「……わかった」


 桐人は、面倒になった存在(ノウェム)に大事にされている碧に内心エールを送る。


──碧、此奴を『人間』できるのはお前だけだ、頑張れ──


 と──。






 碧たちがアルジャン社に行く前日の夜──


「は⁈ レティシア、アルジャンのロボット達のメンテナンス、パトリの連中頼んだのか⁈」

『ええ、だって貴方だと余計なことしそうだから』


 桐人は自宅の隠し部屋のモニター室のモニター越しにレティシアと会話する。

 レティシアはモニターの向こう側で楽しそうに微笑んでいる。


「不味いな、明日咲良とアルジャンに行く予定だったんだが、ずらすか?」

『あら、やましいことでもあるの?』


 レティシアの言葉に桐人は嫌そうな顔をして叫ぶ。


「知ってていうかこの女社長ー‼」


 桐人は嫌そうな顔で手をひらひらさせる。


『咲良ちゃんって貴方の対となるナノマシン適合者の子よね』

「何が悲しくて妹みたいな、娘みたいに思ってた子が適合しちゃったんだよ、マジでネブラの連中コロス‼ ぶっころ‼」


 レティシアの指摘に桐人は怒り丸出しで、机を叩いた。

 わずかばかり机を叩いた箇所は凹んだ。


『それは困るわ、やって来た事を全て吐き出して、通じている連中もあぶり出して、処刑しないと』

「俺はアンタがこえーわ」


 桐人はレティシアの言葉に心底嫌そうな顔をした。


『うふふ』


 モニターのレティシアは微笑んでいる。


「まぁ、アンタの事情も知ってるから怖いのも納得なんだが。同情もする」

『あら、貴方が同情なんてめずらしい』


 レティシアの指摘に、桐人の額に筋が浮かぶ。


「俺を何だと思ってる」


 桐人がブーイングする。


『感情豊かな貴方が羨ましいわ』

「感情豊かになるまで三百年近くかかったが⁈」


 レティシアの言葉に桐人は反論する。


『あら、三百年近くなら短いじゃない』

「アンタならそう言うと思った」


 桐人はあきれ顔でモニターの向こうのレティシアを見る。


『ところでパラシートゥスの件なんだけど……』

「誰にもいってねぇよ」


 桐人はため息をついた。


「あれは人間が作った物で、俺を作った連中の内の一部が、非道な実験を平気でおこなう人間がいていいものか調査するために作ったって」

『公になったら大暴動ね』


 レティシアの発言に桐人は頷いた。

 人間たちを襲っているパラシートゥスが実は人間が作ったとなれば責任の所在などで問題や暴動が起きるのは目に見えているからだ。


「知ってるのは俺とアンタだけだしな、当事者達は全員死亡したし」

『パラシートゥスを生み出している母体結晶の居場所はつかめた?』


 レティシアの指摘に桐人は肩をすくめて首を振った。


「それがつかめてたら苦労はしないし、俺が責任とって破壊に行ってるわ!」

『じゃあ、パラシートゥスを破壊する安全装置の場所は?』


 そしてヤケっぱちに叫ぶと、レティシアは続けて質問した。


「そっちも不明! パスワードだけは知っている! 『Attendre et espérer』だ。教えて貰ったからな、パラシートゥスを作った連中が俺に『君がもし人類に希望がある感じた場合の可能性をわずかに信じてパスワードだけは教える』だってよ! だったら場所まで教えろよな!」


 桐人はバンと机を叩いた。

 またすこしだけ叩いた箇所が凹んだ。


『「Attendre et espérer」……モンテ・クリスト伯の一文ね。「待て、しかして希望せよ」』

「連中の持ち込んだタブレットにあったよ、漫画とかアニメとか色々な」

『娯楽が少なかったから』


 桐人は唇をとがらせて拗ねたように言う。


「そういうことだ」

『ところで、貴方達の実験場所は何処なの? 何故今も教えてくれないの?』


 レティシアの指摘に桐人は頭を掻いた。


「あーそろそろ教えるか考えてたが」

『が?』


 レティシアが気になっていることに、桐人は答える。


「教えたらパトリの連中と咲良と清花、順に涼たちが巻き込まれる恐れがあるから言うか悩んで居る」

『もしかして、爆散してない?』


 レティシアの指摘に桐人はやらかした後のような顔をした。


「……正解」


 レティシアがあらあらと困ったような表情をした。


『それじゃあ情報は貴方から貰うしかないってわけね』

「そうだよ、それと爆散させたの俺」


 桐人の言葉に、レティシアはモニター越しに驚いていた。


『ちょっと!』


 レティシアが焦った声を出す。


『それは初耳よ!』

「今言ったもんねー」


 桐人はしてやったり顔をしてモニターの向こうのレティシアを見る。


『もう、だから貴方は性格が悪いのよ』

「アンタも相当性格悪いぜ、レティシアさんよぉ」


 レティシアの指摘に、桐人は嗤う。


『仕方ないでしょう、異父兄弟と実母がアレだったんだから』

「親父さんも相当根深かったようだな、つい最近浮気を知ったような言い方をして、向こうの浮気相手たちの家族も破滅させたからな、いや、浮気相手を破滅させたか」


 レティシアの言葉に、桐人は思い出すように言う。


『お母様は最初からお父様のお金目当てだったみたい、まぁお母様も良家の家の出だったけど、浮気の件でお祖父様達に縁を切られて、行方不明……って感じだから』

「母方のご両親はまともだったんだろう? 慰謝料に上乗せして、謝罪しようとしたんだから」


 その言葉に、モニター越しのレティシアは頷いた。


『ええ、今もそっちのご両親とは仲が良いわ。お父様も』


 そういってからモニターの向こう側のレティシアが問いかけた。


『ネブラの調査はできてるの』

「できねーできねー! なんなんだあいつら⁈ 俺のハッキングでも、ようやく襲撃先を事前に掴める程度だぞ!」


「しかも下っ端連中が使ってるパワードスーツはお前さんところのだぞ、どうやってか仕入れているんだ全く!」


 桐人は半ばやけっぱちの様に言った。


『やっぱり裏で何かしている輩がいるようね……』

「自分で言うのもなんだけど、俺人外レベルの頭脳の持ち主だろ? なのにそれと張り合うってどういう頭持って居る奴がいるんだネブラには!」


 ネブラの背後には、桐人でさえ追い切れない誰かがいる。

 そう考えるだけで不気味だった。



『そうね……』

「んじゃ、明日行くか」


 桐人は会話をしている間に腹をくくっていたようだった。


『お願いね』


 モニターが消える。

 桐人はため息をついて部屋を出て行った。



「咲良、今日はネブラの連中が来るかもしれないぞ」


 アルジャンへの道を歩きながら桐人と咲良は会話をしていた


「分かってる、覚悟はしてる」

「で、アルジャンの連中はメンテナンスで動けないからロボットは全部破壊だ」


 咲良は真面目な顔をして桐人の言葉に頷いた。


「うん……」


 だが、破壊という言葉には咲良は不安げになっていた。


「ちなみにメンテナンスを請け負ったのは株式会社パトリだ」

「パトリ……もしかして、碧ちゃん?」


 桐人の言葉に、咲良は仲の良い親戚の女の子のことを思い出したようだった。


「おお、よく覚えていたな!」

「……私、何もできない。碧ちゃんに怖がられたくない」


 不安になる咲良に桐人は言う


「大丈夫だって心配すんな。じゃあ賭けだ、もしお前の姿を見て碧が怯えたら碧の記憶からそれを抹消して俺の負け、碧が怯えなかったら俺の勝ち」

「怯えられるよきっと……」


 桐人の賭けの内容に、咲良はそう言って人影が見える場所に進んでいった。



 アルジャン社に到着した桐人はノウェムを見て思った。

 ノウェムと会った時の桐人は姿が違った、声も違った。


 だからノウェムは気付かなかったが、機械のような存在だったノウェムがまるで人間のように感情を露わにするのに桐人は愉快になって碧をみる。


──全く彩花といい、萌木夫妻といい、咲良といい、碧。お前たちは本当に人を変えたり救うのが得意だな──


 そう思いながら桐人は憎まれ口を叩いてはビンタされた。

 桐人の頬にはくっきり型がついた。



「もう一度聞くぞ、碧とはどんな関係だ」


 応接室に来て、ノウェムに尋問される。


「だーかーらーさっき言ったとおりだっつーの! 小さい頃合って面倒見てた妹みたいな存在だって!」

「信じられん」


 冷たい口調で自分に言うノウェムにはぁとため息をついた。


「なんだ、碧を取られると思ったのか? それとも自分の知らない碧を知ってることへの嫉妬か?」

「な……」


 ノウェムは明らかに動揺を見せた。


「当たりだな! 全く面倒くさいやっちゃ、それなら聞かせてやるよ、俺が知ってるのを」

「……」


 無言になった、どうやら聞きたいらしいと桐人は理解した。


「碧はああ見えて無邪気で羞恥心の塊でスカートやヒラヒラさせたものを着せられたら大人しくなるから、両親がよそ行きするときは必ずひらひらした服を着せられていた。だが、友達が危ない目に遭うとなりふり構わず行動する」

「……」


 ふむふむと無自覚にノウェムが頷いてるのが桐人は面白かった。


「それから貞操観念がなんかずれてて、それは親父さんが裸族だったのが原因で男の裸を見ても動じないからか、変質者と会ったときに『なにこの短小、見せて楽しい?』と撃退し、痴漢は万年筆を手にぶっ刺した上で手を掴んで『こいつ痴漢ですー!』と即座に対応できる行動力の塊だ」

「まて、痴漢されたことあるのか?」


 桐人の発言に、ノウェムが明らかに怒りの声を発する。

 自分にではなく痴漢共へだ。


「変質者は四回、痴漢は十回位被害にあったそうだぜ、全員とっ捕まってるけど。普通にしていれば大人しくて純朴そうだから狙われるんだよなぁ、怒らせてガルガルモードにしたらヤバいけど」

「……」


 桐人の発言に、今度はノウェムは納得したように頷いていた。

 これも無意識だろう、その変化をさせた碧を心の中で桐人は褒め称えた。


「お前もさぁ、大切にされてんだから無理すんなよ、無茶する奴を見ると怒るぞ、自分のこと棚に上げて」

「……わかった」


 桐人は、面倒になった存在(ノウェム)に大事にされている碧に内心エールを送る。


──碧、此奴を『人間』できるのはお前だけだ、頑張れ──


 と──。




パラシートゥスの正体が明らかになりましたが、知っているのは現状レティシアと桐人の二人です。

政府役人などはなーんにも知りません。

そしてまだ明かされない、何故桐人のナノマシンの対になるナノマシンに咲良が適合したのか。

ただ、桐人もなんでも知っているわけではないのが分かります。

「Attendre et espérer」(待て、しかして希望せよ)がどういう意味合いなのか不明です現状。

そして、ノウェムに対する反応。

機械的だったということを桐人は知っている、ノウェムは桐人と面識がない、何故か。

それはまだ明かされません。

ただ、桐人の思いはレティシア同様のものです。


ここまで読んでくださりありがとうございました。

次回も読んでくださるとうれしいです。

2026/05/31加筆修正しました。

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― 新着の感想 ―
引き続き謎が残る展開でしたね。未だに桐人の対になるナノマシンに咲良が適合したかもわからないし…。しかし、その理由はなんだか重要そうな気もするのですぐにはわからなそう。気長に待つパターンかな?今回は謎が…
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