11.結晶生命体パラシートゥス~ノウェムの解説、そして色々発覚~
今回の月は10億返せる見通しがつき、喜ぶ碧。
そんな碧に、ボーナスとして給料を反映させるようにノウェムが言うので受け入れると、自分の給料にまで反映されてたとしり慌てる──
そしてそんな合間に結晶生命体パラシートゥスの事を調べる碧だが情報は全くといいほど無く──
「さて、今月の成果だが……」
「ごくり……」
「……」
社長室で私とみっちゃんはノウェムさんからの報告を待つ。
私はつばを飲み込み、みっちゃんは無言になっている。
会計はノウェムさんに任せている、みっちゃんも補助はしてくれているらしい。
「パラシートゥスの件がでかかった、十億返せるぞ」
「よっしゃ先月の100倍!」
100倍、10億はでかい!
何せ200億の二十分の一だ!
「もちろん、社員全員に報償をだして十億だ」
「良かったね、みっちゃん!」
ノウェムさんの言葉に私はガッツポーズを取ってからみっちゃんの手を握る。
「ま、まだバイトだけど報償もらえるの、嬉しい……!」
おどおどしつつも、はにかんで笑うみっちゃんが可愛い。
「美奈、君はよくやってくれている当然のことだ」
「これで、みっちゃんも、ノウェムさんも、兄貴達と宗一お爺ちゃんとメフィストたちもいい物買ったりできるんじゃないかなぁ」
少しでも社員に還元しつつ、借金も返済できたなら嬉しいことこの上ない。
ただ涼兄さんだけはロクな使い方しなさそうな予感。
「あと、忘れているようだが」
「ん?」
何を忘れているんだろう。
「今月の社長の給与も反映させたぞ、レティシアに言われた」
「ええー⁈」
ノウェムさんから聞かされた事実に私は声を上げる。
レティシアさん、私社長だけど借金あるから報償とかいま貰っても困るんです!
「10倍の800万だ、きちんと貯金するといい」
「ふぁい……」
ノウェムさんの言葉に覇気の無い返事をする、あまりにも現実味がなくて。
ねぇ、これもしかして支払いできるお金が増えると私の給与税金入れてもめっちゃたかくなるの……?
「碧、君の仕事はそれほど危険だった。ソレを重々理解するように」
「あい……」
がっくり項垂れて、ノウェムさんの言葉を噛みしめる。
まぁ、言われれば事実か。
結晶生命体パラシートゥス。
紫の結晶体で、意思を持っている。
人類やロボットに寄生して明確に寄生されていない人類やロボットを襲ってくる。
でも、どこから来ている?
モナル社はどうやって薬を開発した?
色々謎は残るが、答えを出すための要素はない。
「むぅ……」
私は結晶生命体パラシートゥスの事を調べた。
が、載っている情報は何処も同じ。
私知りたいものはない。
「碧、書類は終わったのか?」
ノウェムさんが進捗確認に来た。
今日の書類もといデスクワークは終わらせましたよ!
だから次の仕事待つ間にパラシートゥスの調査……してるけど一向に欲しい情報が出てこない、知っていることしか。
「終わって今悩み中」
「何を悩んでいる?」
ノウェムさんなら答えてくれるかなと思って尋ねてみることにした。
「結晶生命体パラシートゥス」
「……そうか」
そう言ってノウェムさんは書類を確認した。
「問題無いな、では君が悩んで居るパラシートゥスの情報を少しだけ提供しよう」
「え?」
パラシートゥスの情報を少しだけ?
ってことは何か重要な情報があるの?
モナル社って何処まで知ってるの⁈
「結晶生命体パラシートゥスと我我人類との接触は二百年前だと記事などには書かれているな」
「うん」
私は頷いた。
宇宙歴100年に接触して人類の脅威として人や機械に寄生し、甚大な被害を出したと。
「正確にはその二年前、二百二年前に接触したのだ」
「なんで二年だけ年月誤魔化したの」
二年誤魔化す理由が全く分からない。
「当初、結晶生命体パラシートゥスは何もしてこなかった。二年間の調査だけで終わっていれば、何も起きなかったとも言われている。」
「……何もしてこなかった?」
二年間調査をしてたのか、でも何もしてこなかったのに、なんで急に人類の脅威になったんだろう。
「パラシートゥスの爆破を人類が試みた結果、パラシートゥスは人類を敵と見なしたのだ」
「はぁ⁈ 爆破⁈ なんでそんな物騒なことを」
寝耳に水とはこのことだ!
何も起きないなら爆破する必要なんて無かったはずじゃないか!
「パラシートゥスの欠片でパラシートゥスに寄生されたラットの運動能力などが飛躍的に上がったのを知った当時の調査団が『悪用されたらまずい』と判断した」
「そしてどうしたの?」
「当時の調査団は善意だった。パラシートゥスが兵器利用されれば銀河規模の災厄になると恐れていた。だから爆破を試みた」
「うわー善意でやったのが裏目に出たー!」
ノウェムさんからの情報に頭を抱える、調査団の人達なにやってんの⁈
でも、これは確実に兵器利用したがるのが分かったわ!
人間に埋め込んで身体能力を飛躍的上昇させたら戦争とかでも有利だし、機械も同じだもの!
パラシートゥスをいいなりにできればの話だけど!
「それが悲しいな」
「それやったの何処の会社なの?」
ノウェムさんはため息をついて言った。
「宇宙開発政府」
「うわぁ」
国家関係がやったんじゃ、言えないわなそんなこと。
「爆破以降、パラシートゥスの危険性と同時に、その有用性にも注目が集まった。その後、各企業や研究機関は結晶の軍事利用を始めた。」
「……身体能力の飛躍的上昇のため?」
ノウェムさんが頷く、やっぱり予想が当たってた。
「ああ、だが失敗に終わり甚大な被害を出した、まぁ地球ではなく各自所有のコロニーだったのが救いだったが」
「うへぁ」
マジなにやってんの本当に。
「モナル社は?」
「モナル社は寄生されたラットを確保していた、それからどうやって結晶生命体パラシートゥスを除去するか時間をかけて研究し、二十年かけて人間が感染しても除去できる薬と、パラシートゥスを破壊する兵器を作った」
モナル社は宇宙開発政府から調査で寄生されたラットを保持していたんだ。
二十年、短いようで長い年月かけて除去できる薬と兵器を作ったんだ……
「でも、そんな事聞いたことない」
聞いた事は無かった。
でも、実際私たちはそれができた。
モナル社から購入させられた薬やパワードスーツとかのお陰で。
「ああ、公表すれば世界規模で大規模デモなんかじゃすまない混乱が起きるだろう、だから、モナル社と政府は秘匿として扱い、パラシートゥスの薬も世間的にはモナル社と地球政府が作ったことになっている」
「なんか、重い……」
しかし、なんでポンのコツの地球政府とモナル社なんだ?
未だに紛争とか調停できてないし、大国がやらかしてるのに止めないし。
政府とかそういう立場の人達ってそういうのばっかりなの⁈
「まぁ、そういうわけで今後はパラシートゥス案件も来ることは確定だな」
「マジかー」
私はテーブルに突っ伏す。
「……ところで、何で政府と協力してるのに、地球政府の機関はパラシートゥス対策できてないの?」
「パラシートゥス用の武器等は開発に時間がかかるし、特許も一応とっている、モナル社名義で。対策をするには……かなり時間がかかるだろうなぁ、今も汚職で国が離脱したり、加入したりを繰り返したりしてるし」
「汚職」
思わず白目をむきそうになった。
「その上さらに面倒なことで対策が遅れている」
「何で?」
「予算が消えたからだ」
「予算……」
「知らんのか? パラシートゥス用の費用をとある国がパラシートゥスを兵器化と豪遊に使ったため空っぽになった件」
「あー……豪遊はしってる、各地のブランドや高級料理店回って使い果たしたって奴だよね……その予算ってなんぼだったの」
私は聞きたくないが聞いた。
どれだけ馬鹿やったか多分知りたかったのだ。
「流石にそこまでは知らない」
「デスヨネー……モナル社の反応は?」
モナル社に利益になることなんて一つもなさそうなんだけどなぁ。
「政府から依頼を受けたら受諾するが、お前達の馬鹿さ加減にはうんざりだというのがレティシアの態度だ」
「レティシアさん……」
まぁ、そうなるわな……
「他に聞きたいことは?」
「ないよー、一気に頭に詰めるとパンクしちゃうからね」
私は背伸びをした。
本当、もう脳みそパンク状態だよ。
「そうだな」
ノウェムさんはそう言って書類を持って行った。
「頭使ったし甘い物でも食べよう」
休憩室に向かうと兄達と宗一お爺ちゃん、みちゃんにノウェムさんがいた。
「あ、丁度良かった社長。母が今日シュークリームを用意してくれたんです」
「あーみっちゃんのお母さん元パティシエ……じゃないな現在もパティシエだもんね、お店で働いてるし」
みっちゃんのお母さんの洋菓子は本当に美味しい。
今は洋菓子店ミモザのパティシエをやっている。
このミモザの洋菓子がまた美味しい!
売れ残る日なんて無い位に皆が買っていくんだもの!
「ええ、母自慢のシュークリーム、皆さんでどうぞって」
「今度お店に寄って買いますって伝えてくれる?」
二つの箱一杯のシュークリームを見てから、私はみっちゃんにお願いする。
「うん!」
「しゅー……くりーむ?」
ノウェムさんがシュークリームの入った箱を見て首を傾げている。
「ああ、英語では『cream puff』って言うんですもんね」
「ああ、クリームパフか。なんでシュークリームなんて名前になったんだ?」
ノウェムさんの質問に私も首を傾げる。
「さぁ、昔の人のなので調べてみたらとしか」
自分でもなんでじゃ、と思う案件だ。
後で調べよう。
「はい、紅茶と珈琲です」
みっちゃんが紅茶と珈琲を用意してくれた。
珈琲派は兄達と宗一お爺ちゃん、私とみっちゃんとノウェムさんは紅茶。
私は砂糖を一本、みっちゃんはストレート、ノウェムさんは三本……甘党なのか?
そして皆でシュークリームをぱくりと食べる。
「んー! やっぱりみっちゃんのお母さんの働いてる『ミモザ』のシュークリーム美味しいー! 街のご褒美グルメのデザート欄トップを維持してるだけあるわ!」
「そう言ってもらえると、私もうれし……あれ? シュークリーム、もっと合ったのにどうしてこれだけしか……」
みっちゃんが疑問を持っていたが答えは目の前にあった、ノウェムさんがバクバク食べてるからだ。
「の、ノウェムさん、落ち着いてください!」
「……‼」
我に返ったようだ、ちょっと驚いたが、もしかしてノウェムさんって──
「もしかしてノウェムさん? 甘党?」
「あまとう……?」
ノウェムさんは理解できていない様子だった。
それどころか、どれだけ食べたかも理解してない様子だった。
「甘い物が好きな人の事です! だって私達一個しか食べてないのにノウェムさん六個も食べてましたよ?」
「そ、そんなにか⁈」
私の指摘に初めて見せるノウェムさんが驚く表情、それを見て私は自分がシュークリームが食べ損なった分よりも、ノウェムさんの知らない一面を見られて嬉しい気持ちになるのだった。
ちなみに、真っ赤になっているノウェムさんはとても可愛かったです!
パラシートゥスを爆破したことで敵対存在という認識をされた。
当時の方々はある意味馬鹿をやりましたね。
お陰で現在に至るまでパラシートゥス関連の問題が引き継がれている。
地球政府も地球政府でダメダメなのでモナル社もといレティシアは要件は受けるが協力はしないスタンスを代々貫いてます。
それくらい、地球政府がアレなので。
ノウェムの甘党発覚、ノウェムは甘い物が好きなのですがその自覚を持たずに生きてきました。
理由は簡単「甘い物をほとんど食べてこなかった」からです。
レティシアが食べさせなかったわけではないのだけは言っておきます。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
次回も読んでくださるとうれしいです。
2026/05/29加筆修正しました。




