110.1週間の休み~将来的な家族間トラブル~
碧は一週間何をしたいとノウェムに聞くがノウェムは甘味巡りしか思いつかないといい苦笑する。
そんな碧にノウェムが「碧は何をしたい」と聞くと碧は、外に出るのは最低限にして、ノウェムと部屋でまったりしたいと、外に出るのは疲れたと内心思いながら答える。
それにノウェムは同意し──
「さて、ノウェムさん。1週間休みを貰いましたが何をしましょう?」
「……甘味巡り以外思いつかない」
「デスヨネー」
ノウェムさんらしいと言えばらしい。
「碧は何をしたい?」
「外に出るのは最低限にして、ノウェムさんとお部屋でまったり過ごしたい」
本当、外に出るのはもう疲れた。
「では、菓子を買ってきて、部屋でのんびり過ごそう」
ノウェムさんが微笑んで私の髪を撫でて言う。
「うん!」
自室から出ると──
「涼君、やはり君の趣味はどうにかしたまえ! 特にアダルトな本とゲームを集めるのはもう止めたまえ!」
「貴方そんな大声で言わない!」
「申し訳ございませんが、俺は止める気ないですよ! 世の中、エロが無ければ生まれないものがあるんですから!」
「そこまで言い切る涼すげぇな、なあ美奈ちゃんこんなんでいいの?」
「碧から全部聞いてそれで受け入れてますから……」
みっちゃんと、みっちゃんのご両親と、ドゥオの会話が聞こえた。
ドゥオ、仮にも私の兄に「こんなん」は止めろ。
言っていいのは私たち家族だけだ。
「涼はアダルトなゲームと本か……人に押しつけないのがいいが……」
「あ、ちなみに18歳の頃、こっそり読んだことあるよ」
「碧! なぜそんなことを私に言うんだ!」
ノウェムさんが顔を真っ赤にして怒る。
「興味本位興味本位。兄さんたちが集めてる本が気になるじゃん?」
「それはプライバシーの侵害では?」
「いんや、兄貴たちも私の部屋に入ってゲームとか本を借りてくからお互い様だよ。今はないけど」
「仲が良いのか」
「悪くはないよ」
眉間にしわを寄せるノウェムさんに私は笑って言う。
「仲悪かったら、ここまで一緒に来られてるわけないじゃない」
「……そうだな」
そこでようやくノウェムさんはふっと微笑んだ。
「美代、止めろ! 何でそんなハイヒール持ってきてるんだ! 刺さって痛いから止めてくれ!」
「貴方が美奈の恋人に自分の価値観を押しつけてるからよ!」
「み、美奈さんのお母さん、そ、そんなにとがったヒールは痛いと思います!」
「お母さん! 六法全書持ってきたからこれで叩いて!」
「よくやったわ美奈!」
「美奈さん⁈」
「角で! 本の角で殴るのも止めてくれー!」
「わぁお、おもし……いや泥沼だなぁコレ」
ドゥオ止めてくれよ。
涼兄さんも頑張って止めろ。
みっちゃん、気持ちは分かるが六法全書は鈍器になるぞ。
みっちゃんのお母さん、頼むから落ち着いてください。
みっちゃんのお父さん、頼むから受け入れてください。
涼兄さんの数少ない趣味なんです。
「止めに行くか」
「止めよう、もっとカオスな事態になる放置しよう」
「……君が言うならそうなのだろうな」
私は遠い目をして、ノウェムさんはそれを見て黄昏れたような表情を浮かべた。
「本当にお止めしなくてよろしいので?」
「ウヌスさん、あれトレースさんは?」
「トレースなら、順様と共にレティシア様のお屋敷にお帰りになられました。この14連勤の間、家に帰れずに過ごしていましたからね」
「誠に申し訳ないことをした」
順兄さんには家庭があるのに、クラレンスたちとかのメンテナンスで色々時間がかかって、大変な思いをさせる結果となった。
「ウヌスさんはどうするの?」
「宗一殿の昔話に付き合いつつ、茶でも飲もうかと思っていましたが、アレを見て……」
「あー」
ウヌスさんが指差す、みっちゃんと涼兄さんと、みっちゃんのご両親とドゥオのやりとり。
もう既に混沌を極めている。
「中に入ると宗一お爺ちゃんと会話できる時間が減るから無視でいいよ」
「そうですか、ではドゥムと共にそうしておきます」
「うん、お願い」
そう言ってウヌスさんは宗一お爺ちゃんの部屋へと向かった。
「じゃ、行こうか」
「ああ」
そう言って私たちは会社を後にした。
私はスナック菓子の在庫がなくなっていたので補充。
ノウェムさんはミモザでケーキやクッキーなどを買い込んでいた。
買う物を買って、家に帰り、菓子と飲み物を持って自室に籠もる。
「何する?」
「何でもいい」
むぅ、ノウェムさん。
何でもいいは困るのですよ。
「君と一緒にいれるなら、私は何でもいい」
あー!
もー!
こういう所が反則過ぎるの!
別の意味で困るわ!
しかも無自覚で行ってるからタチが悪い。
「ちょっと、何するか決める前に兄さんたちがどうなってるか見てこない?」
「……そうだな」
ノウェムさんも、ちょっと涼兄さんが気がかりなのだろう。
「美奈も、美代も止めなさい! 二人がかりで私を叩かないでくれ!」
「分かってくれないお父さんが悪い!」
「分かろうとしない貴方が悪いわ!」
分厚い本と鋭い角のケースでみっちゃんと、みっちゃんのお母さんに叩かれているみっちゃんのお父さん。
普段は怖いんだけど、今は威厳が全く見えない。
圧も見えないし、というか情けない。
「……ドゥオ、俺止めるべきかな」
「いやー、これは止めない方がいいぜ? 日頃の鬱憤晴らしてるようなもんだし」
「そ、そうなのか?」
「じゃなきゃ、あそこまで大人しそうな美奈ちゃんと、そのお母さんがぶちギレねぇだろ」
「そ、それもそうか……」
いや、止めろよ。
いや、無理か。
止めるには、この関係性を知っていて、みんなを落ち着かせられる第三者が必要だな。
……私たちか。
「止めに行こう」
「そうだな」
みっちゃんたちの所に行き、私はみっちゃんを。
ノウェムさんはみっちゃんのお母さんを止める。
「ストップストップストップー! それ以上、我が社の敷地内で暴力を振るうのはおやめください!」
「そういうことです」
「あらやだ、ごめんなさい。ウチの人が涼君の愚痴ばかり言っているから、つい……」
「お父さん、涼さんの愚痴ばっかり言ってたの⁈ 最低! 嫌い!」
「美奈⁈」
愛娘から拒否されてショックを受けるみっちゃんのお父さん。
そして私はドゥオを見て。
「アンタも止めろよ」
「いや、完全部外者の俺が止めに入っても意味ないですよ、碧様」
「じゃあ、涼兄さん」
「多分『涼さん (くん)は黙ってて!』と怒られる未来しか見えなくてな……」
情けない、実に情けない。
「みっちゃんのお父様、残念な兄ですが、人の趣味を否定するのは良いこととは思えません。家族になるというのは、その人の趣味や宝もひっくるめて付き合うということ。みっちゃんはそれを選びました。なので、みっちゃんのお父様、貴方の行為は最低なものになり得ます。分かったら辞めてください。人を傷つける趣味ではないのですから」
純愛系のアダルトなゲームと本集めなのはちょっとどうかと思うが。
他にもゲーム買ったり、ソシャゲやってるし、いいだろう。
みっちゃんものんびりっこのゲームやソシャゲをやっている。
のんびりうさぎの方はガチで課金するし、ソシャゲもかなりやり込んでいる。
私ものんびりねこの時はガチ課金するけどね。
「ぐ、ぐむ……た、確かに」
「貴方、分かったら二度とああいう愚痴を言わないで頂戴。涼君はいい人よ。美奈のことを気にしてくれていたんだから」
「し、しかし以前合コンで……」
「あ、な、た?」
うわぁ、みっちゃんのお母様の圧が凄い。
お父さん、萎縮しちゃってる。
そう思っていると、みっちゃんが耳打ちしてきた。
「お父さんね、学生時代からお母さんに一目惚れして、そこからずっとアタックして結婚したから、お母さんには本当は頭が上がらないの」
なるほど、惚れた弱みという奴ですか。
「美奈、明日は病院にお薬を貰いに行く日だからね」
「うん、セムさんに言っておくね!」
どうやら今はセムさんが病院の付き添いの護衛をしているらしい。
今までは所謂『影』、裏方の方々が護衛をしていたが、今はセムさんのようだ。
「ところでセムさんはどこに」
「美奈ちゃんのお母様が、お父様を叩いているのを止めようとして、『これは家族の問題ですので!』と言われて、とぼとぼ歩いて部屋に籠もってるよ」
「セムさん……」
どうりでいなかった訳だ。
「では、私たちは失礼しますね。涼君、碧ちゃん、美奈を宜しくね」
「はい!」
「はい」
みっちゃんのお父さんはみっちゃんのお母さんに引きずられるようにして帰って行った。
「……美奈さん」
「なんでしょうか?」
「俺、結婚したら同居するんですかね? コレクション捨てられるのだけは心底嫌なんですが……」
「大丈夫です。私がこちらに同居しますので! 今まで通りです」
「そうなったら、家族用の社宅に移ってもらわないといけないな」
「え、あったの?」
「誰も使っていないから、ウヌスたちが定期的に見回りや検査をしているぞ」
「だから大丈夫です!」
みっちゃん強くなったなぁ……
でも、まだ病気は完治していないんだよね。
多分、今はハイテンションだから、後で抑うつ状態になりそう。
「みっちゃん、お薬とかはちゃんと飲んでね。必要があったら緊急用のお薬も飲んでね?」
「うん!」
後日談だけど、この後みっちゃんは鬱状態になり、「お父さんに大嫌いって言っちゃった」とか、めちゃくちゃ凹んでいたらしい。涼兄さんが薬の力も借りながら、なんとか支えたそうだ。
涼兄さん、よくやった。
ノウェムと碧の出だしほのぼのと思いきや、涼と美奈の家族の問題が勃発。
主に美奈の父親が原因。
自分の奥さんや美奈に殴られるわ、悲惨です。
まぁ、ぶっちゃけちゃう涼も涼で凄いですが、涼の言葉はある意味事実かもしれませんね (遠い目)
ドゥオは自分が入った所で止められないのが分かってるので観戦です。
セムは止めにはいったのはいいけど、黙っててにショックを受けてお部屋に戻りました、哀れ。
碧は色々と大変そうですね、いや本当。
ここまで読んでくださりありがとうございました!
感想有り難うございます!
次回も読んでくださるとうれしいです!




