99.碧とノウェムの攻防~やっぱり貴方がいないと寂しい~
昨晩の行為があまりにも過激すぎて色々と支障にきたしたので、碧は怒ってベッドの中に籠もっていた。
ノウェムが謝罪するが、無視をきめこむ。
そこへウヌスがやって来て──
私はむくれて、ベッドの布団の中に籠もっていた。
「碧」
ノウェムさんが呼ぶけど無視する。
無視だ、無視!
「昨日はやり過ぎた、反省してるからそろそろ出て来てくれないか」
そんなこと言っても、絶対またやる。
徹底抗戦だ。
体のあちこちに昨日の名残があるし、こんな姿、人に見せられない。
いや、ボディースーツ着ればいいんだけどさ。
しかも、まだ余韻が残っていて、色んなところがうずいて仕方ない。
こんな状態で仕事なんかできるか!
ノックの音が聞こえたので、さらに防御態勢を取る。
ノウェムさんはふぅとため息をついて扉を開ける。
「ウヌス、お前だけか」
「ああ」
「では、入れ」
そう言ってウヌスさんが入ってくる。
ノウェムさんは扉の鍵を閉めた。
「どうしたウヌス」
「ドゥオがあまりにもメカニックとして役に立たないので、実働部隊に入れる案が出たんだが、宗一殿がいるから緊急時には超再生できるし、残しておいた方がいいか意見を聞きたくてな」
「いらんだろう、彼奴が居るとこっちの士気が下がる」
「確かに」
ウヌスさんが笑ってる。
「ところで──」
「そこの団子状の布団の中に居るのは碧様で間違いないか?」
「……ああ」
「何をした?」
「いや、碧の自己嫌悪が激しすぎたから少々やりすぎた」
「ノウェム……」
ウヌスさんが呆れてるぞ、言ってやれ!
「碧様はうら若い乙女だぞ、絶対やり過ぎの程度がお前が思っている以上のものだ」
そうだそうだ!
「これでは、碧様は今日は休養するしかないな。ノウェム、今日は絶対に同じことをするなよ。そうしたら、口を利いてもらえないどころじゃ済まんからな」
「分かっている……」
そうだ!
もっと言ってやって!
「碧様の機嫌が直るまではそっとしておけ。だが、そばを離れるなよ」
「分かっている」
「あと、何かするなら、今日は触れ合い程度で終わらせておけ。それ以上すると『私に当分おさわり禁止!』とか言い出すと思う」
うん、言う。
「それは困る!」
「分かったなら、しばらく謝っていろ」
そうだ、そうだ!
そしてウヌスさんが部屋を出ていくと、ノウェムさんは扉に鍵をかけた。
「碧、すまなかった、許してくれないか」
「やだ」
きっぱりと拒否する。
今の私は甲羅に籠もった亀と同じだぞ!
もしくはスッポン!
下手に刺激すると噛みつくからね!
「碧、頼むから機嫌を直してくれ」
「機嫌は直りません。謝罪方法の再検討を要請します」
機械的に拒否する。
隙間から覗くと、ノウェムさんが頭を抱えてどうするべきか悩んでる。
ふふふ、悩め悩め。
今日の私はいつもと違うぞー!
ふてくされ具合が!
ちゃんと考えて行動してね!
「……そもそも君が恋人をやめると言い出したのが事の発端ではないか」
ブツブツと文句を言い出した。
痛いところを突かれる。
確かにその通りですよ!
だからって加減なしのあんな行為は駄目なんです。
私が「限界」とか「無理」とか言って意識を飛ばしても、もう一度引き戻されたんだからね!
あの苦痛が分かるか!
布団にくるまったまま、くわっと目を開ける私。
そして、すぐに隙間を閉じる。
「碧が、あんなこと言わなければ私だってあんな風に扱わなかったのに……」
しーりーまーせーん!
そんな言い訳は今の私に通用しない!
いつもは甘い顔をしてるけど、今日は甘やかしませんよ!
私が言えたことじゃないけど、ノウェムさんにもやっていいことの限度を知ってもらいたい!
「碧、何だか怒りが湧いてきたぞ。元はと言えば、君が自傷に走った挙げ句、私に恋人をやめると宣言したのが発端ではないか」
ギャー!
責任転嫁っぽいけど、責任転嫁とも言い切れない正論きたー!
うう、そうだよ!
だってそう思っちゃったんだもの!
「碧」
静かな怒りのこもった声。
布団を強引に剥がれる!
「ギャー!」
色気のない悲鳴を上げ、急いでボディースーツを着る。
肌に触れられる感触は嫌だけど、裸で何かされるのはもっと嫌!
「さぁ、どうしてくれようか」
「うう、今回は半分くらいノウェムさんが悪いのに」
「もう半分は君だろう、というか切っ掛けは君だぞ」
「う゛ー!」
反論しようとするが、正論で返される。
「よし、分かった。今日は私はソファーで寝る、君はベッドで寝ろ」
「へ?」
「風呂も一緒には入らん。一人で入りたまえ」
まさかの逆おさわり禁止を言い渡された。s
その後も、ノウェムさんからの接触は一切なく、夜寝る時もソファーで横になっていた。
私は一人、ベッドの中でもぞもぞしていた。
眠れない、眠れない。
「ぐずっ……ぐず……ノウェムさんが側にいない」
泣き出してしまった。
夜中で、ノウェムさんももう眠っているだろう時間だった。
眠れないのだ。
きっと、眠れなくなってしまっていたのだ。
ノウェムさんは知らなくても、私は自分のことだから分かる。
そう思っていると、ノウェムさんが起き上がった。
そしてベッドに寄ってきて、布団を軽くめくって中に入り、私を抱きしめた。
「すまない、泣くほど追い詰めるつもりはなかったんだ」
そう言って、まぶたにキスをしてくれた。
その後、涙を拭ってくれた。
「……ごめんなさい。言っちゃいけないことを言って、自分を傷つけて」
「いいんだ、私も無理強いさせすぎた」
そう言ってノウェムさんは頬にキスをしてくれた。
「さぁ、寝よう。明日からまた仕事だ」
「うん……」
ノウェムさんの「温もり」を感じながら、私はやっと眠ることができた。
やっぱりノウェムさんがいないと、今の私は駄目だな──
前半は碧の怒りがメインですね。
後半はノウェムが怒るのと、碧がノウェムが側にいないことへの不安から泣いてしまうというもの。
何だかんだで、まだ病状が良くなってない碧はノウェムが必要なのです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
次回も読んでくださるとうれしいです。




