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94.雨の日の出来事~戦艦メンテナンス不可に付き臨時休業~

依頼を2件うけ、夕食を食べたあと一息つく碧。

1件目はロボットの鎮圧とハッカー達の捕縛鎮圧。

2件目はパラシートゥス迎撃戦。

2件目の件で若干凹んだが、碧はノウェムに抱きしめて慰められた。

二人だけ家に戻され、そして──



「ふぅ、今日は2件も依頼を受けられた」


 夕飯を食べ、自室に戻り私は息を吐き出す。

 一件はハッキングによるロボットたちの暴走の鎮圧。

 ノウェムさんとウヌスさんがハッカー軍団を見つけ出して鎮圧し、ウヌスさんがハッキングされたロボットたちを元の状態に戻して、無事解決。


 2件目はパラシートゥス迎撃戦。

 火星にかなり接近されていたからとにかくしんどかった。

 大型個体は20体もいたし、中型個体は100体いた。小型と超高速型は数え切れないほどいた。

 パワードスーツの補助機能もあったけど、目を回しながら必死に戦っていたので、ちゃんと役に立ったのかは不明。

 多分、役に立ってないのでしょげていたら、ノウェムさんが「君の補助のお陰だ」と加圧室で抱きしめてくれた。


 で、私の今日のお仕事はここでお終い。

 ノウェムさんも同じだ。


「私は、君の護衛で恋人だからな」


 と言って、私から離れることもない。


 触れ合いも以前のような穏やかなものに戻った。


 口づけて、触れ合って、その熱に浮かされ、笑い合う。


 それが何より心地良い。

 その熱を抱いて、二人で抱き合って眠るのが落ち着く。



 朝、着替えてブローチをつけると、既に着替えていたノウェムさんに背後から抱きしめられて首筋にキスをされる。


「今日も無理はしないでくれ」

「うん」



 そう思って仕事に出ようと思った矢先──


「え、今日はメンテするから大人しくしてろって」

「そうだよ、今の戦艦もパワードスーツも俺しかメンテできないから。普段使ってるブローチ型のも貸せ。時計型でなんとかしのげ。何かあったら──」


 ちょうど時計型もつけていたので、それでしのぐことになった。

 つまり強制的な──


「休暇ってこと」

「そういうことだよ、碧ちゃん、偉いですねー」

「言い方なんかムカつく」

「酷い、可愛い碧が反抗期だ!」


 めそめそと泣くフリをする桐人兄さんに、私は盛大にため息をついた。


「分かったら、早めに対応よろしくねー」

「……へーい」


 元気のない返事が聞こえたが、自業自得だ。

 ノウェムさんはそんな桐人兄さんを見て笑っている。

 いい性格になったなぁ、ノウェムさん。



 何かあったら困るから、レティシアさんに連絡して、桐人兄さんの修理が終わるまで会社は臨時休業となった。


 雨音は聞こえない、防音の効果で。

 聞こえてれば少しは気が紛れたのかな。



 そう思っていると、ノウェムさんが部屋の中の装置をいじった。


 ザァアアア……


 心地良い雨音がきこえる。


「ノウェムさん、なにしたの?」

「外部の音は聞こえるが、内部の音は聞こえない状態にした。これで雨音くらいなら聞けるだろう。少しは気が紛れるとよいのだが……」

「うん、心地良いから嬉しいよ」

「そうか……」


 そう言って、私はベッドに横になる。

 ノウェムさんは腰をかけて私の頬を撫でてくれる。


「ねぇ、ノウェムさん」

「何だ、碧」

「しよう? 駄目?」


 お仕事で疲れてしまっているのか、最近は触れ合っていない。

 だから求めてしまった。


 駄目、だったかな?


 ノウェムさんは、何かの機器で部屋中を調べた。

 二つほど、モナル社製の盗聴器が見つかった。


「仕込んだ犯人は大体想像がついている」


 そう言って盗聴器を破壊して、捨てに行った。

 その間私は鍵をかけて待った。



 しばらくしてノウェムさんが帰ってきた。

 ノウェムさんは鍵を開けて中に入り、扉を閉めた。


「犯人は?」

「ドゥオ以外に誰がいる?」

「ははは、だよねー……」

「アイツをスプラッターの刑に処すのはウヌスに任せた」

「というかウヌスさんばっかりにさせて申し訳ない……」


 私がそう言うとノウェムさんは苦く笑った。


「これから恋人同士の時間を大切にするのだから、邪魔をさせるわけにはいかん、とウヌスに言われた」

「見透かされてるー!」


 思わず顔が熱くなった。

 ウヌスさんも知ってるって分かってるけど、そう言われるとやっぱり恥ずかしい!


「碧、あまり無理をするな」

「うん……」

「社員は全員心配するし、家族も心配するだろう。何より私が心配する」


 そう言って、ノウェムさんは私に覆い被さった。


 ボディスーツのチャックが下ろされる。



 優しい指の感触。

 口づけする度に、柔らかく温かな体温を感じる。

 うなじや胸元に口づけられ、くすぐったさに笑えば、より鮮やかな赤が咲く。


 雨音と共に、深く、深く愛し合う感触に溺れる──




「今日も雨だね……」

「桐人が『雨だと戦艦の整備できねーわ!』って嘆いていたぞ」

「戦艦が入るくらいの場所ないもんね……」

「あの戦艦を持ってモナル社の整備工場に行けば何か起きるかもしれないと、桐人は拒否しているし、レティシアも同じ意見だ」

「どういうこと?」


 ノウェムさんに尋ねると、ノウェムさんはふぅと息を吐いた。


「ヒース副社長が裏切り者だと分かっているだろう。そいつが戦艦の情報を横流しする恐れがある」

「‼」


 思い出した、あの副社長がネブラにモナル社の技術とか横流ししてたんだ!

 きっとお父さんたちのスケジュールとかも……



「碧、落ち着いてくれ」

「あ……」


 爪が食い込んで痕が残るほど、手を握りしめていた。


 一体どうしてお父さんたちがそこまで狙われたのか。

 桐人はネブラの情報を知っている。

 でも、私たちには教えてくれない。

 まだ教えるべき時ではないと。


 レティシアさんも同様だ。


 でも、悔しい気持ちがある。

 あの男がいなければきっとお父さんとお母さんはまだ生きて、生きて──


 涙がこぼれてきた。

 悔しくて、辛くて、悲しくて。

 その涙をノウェムさんは拭い、私を抱きしめてくれた。


「大声で泣いて良いんだ、聞いてるのは私だけだから」


 私は大声で泣いた。

 ああ、辛いよ。

 許さないよ、絶対罰を、罰を与えてやるんだ。

 死んだって許さない!



 雨音とノウェムさんの温もりは、そんな心も洗い流すように、ただ悲しみの涙へと変えてくれた──







碧がノウェムに依存しているのがやはり分かりますね。

その一方で、碧が頑張ってるのも分かります。

そして桐人、桐人がメンテナンスできないというのは外部装甲の事なんですが……

実はやろうと思えばできるんですがしないんです、やっちゃうと休暇がなくなっちゃうからね、碧たちの。

桐人はまだ碧には休息が必要だと思ってますので。


ここまで読んでくださりありがとうございました。

誤字脱字報告等ありがとうございます。

次回も読んでくださるとうれしいです。

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