表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された雑用係、敗戦処理の天才だった ~崩壊寸前の辺境領を立て直す~   作者: 山田鰻
第七章 名もなき雑用係の価値

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/77

提出する帳簿

朝、レインは西門の内側に小机を出した。


昨日白く乾き始めた道はまだ薄い皮を張っただけだった。古井戸までの線は残り、水桶も軽い荷車も止まらずに進む。だが古橋跡まではまだ遠い。その先から荷を戻すには、道だけでなく紙が要る。


「ここでやるのか」


エルクが言った。


彼は門柱の陰に立ち、外の道を見ている。兵二人が西門の左右に立ち、槍は持っているが穂先は下げていた。威嚇ではなく、見ていることを示すための槍だった。


「はい」


小机に新台帳を置き、横に薄い紙束を置く。写し用の紙だ。


「領主館の中では、商人には見えません」


「商人に見せるために、帳簿を出すのか」


「全部ではありません」


「全部出したら終わりだ」


「だから、副本を作ります」


エルクが短く息を吐いた。


ミリアが小机の反対側に立った。今日は厚い外套ではなく袖を少し上げ、昨日、領民に水桶のことを説明した時と同じ姿だった。


「見せる項目を確認します」


ミリアが言った。


小さく頷き、紙を一枚めくった。試験荷・前払い・検品後残額・西門通行税軽減・護衛実動・引き返し線。書いているのは、この六項目だけだ。


「倉の残量は」


ミリアが聞いた。


「総量は出しません」


「なぜ」


「弱いところを売ることになるからです」


「では、信用にならないのでは」


「支払える分だけを出します」


別の紙を出した。銀貨の枚数ではなく、支払いの順番を書いた紙だ。


一、試験荷の前払いは半額。二、残額は西門内で検品後、同日中に支払い。三、支払い遅延時は翌走の通行税軽減を取り消す。四、商人側の荷不足・質落ち・重さ違いは検品表に残す。五、護衛の範囲は西門から古橋跡手前の石標まで。六、石標を越えない。


ミリアの目が最後の行で止まった。


「越えない、ですか」


「はい」


「古橋跡までではなく」


「手前までです」


エルクの目が動いた。


「橋を見ないのか」


「今日は見ません」


「そこが危ないかもしれない」


「だから、越えません」


エルクが一歩前へ出た。


「危ない場所を見ずに、護衛計画を立てるのか」


「見に行くための荷車ではありません」


「では何だ」


「戻るための荷車です」


西門の外へ目を向けた。昨日、荷車が止まらずに通った短い道の先は、まだ悪い。


「空荷で出します」


「空荷?」


「古橋跡手前の石標まで、空で行きます。そこに置いてある小荷だけを積んで戻します」


ミリアが紙を見る。


「塩、薬草、釘、油」


「はい」


「冬前商隊の荷とは別ですか」


「別です」


冬前商隊はまだ戻っていない。塩と油と薬草を積んだ二台が古橋跡の西で止まったまま、理由が見えない。その商隊を探すには人も兵も足りないが、同じ種類の物を少しだけ戻せば、領内の止まり方は変わる。


鍛冶場に釘が戻り、薬箱に薬草が戻る。配給に塩が戻り、灯りに油が戻る。


「商人は来るのか」


エルクが聞いた。


「来ます」


門の外から声がした。ルシアだった。


灰色の外套をひっかけ、片手に細い革袋を持っている。今日は一人ではない。荷縄を肩にかけた男と、薬種の木箱を抱えた女が後ろにいて、二人とも門の中へ入らず外側で足を止めた。


「朝から門前で帳簿を広げていると聞いてね」


ルシアが笑った。


「商人はそういう噂だけは早い」


「噂にするために出しました」


そう返すと、ルシアの笑みが少し深くなる。


「いい返事だ。隠した紙は信用にならない」


「全部は出しません」


「全部出す人は商売に向かない」


小机の前に進んで、ミリアへ軽く頭を下げる。


「領主代理殿。今日の話は、情けではなく取引として聞きます」


「そのつもりです」


ミリアの声は硬いが、逃げてはいない。


「では、こちらも遠慮しません」


革袋から細い荷札が出てきた。塩が小二袋・乾燥薬草が一包・鍛冶釘が二箱・灯油が小壺一つ。どれも少ないが、今のハルヴェインには必要な量だった。


「本来なら、この程度の荷で護衛費を払う商人はいない」


ルシアが言った。


「割に合わないからですか」


ミリアが聞く。


「違う。割に合うほど高く取ると、買う側が死ぬ」


薬種箱の女が小さく頷いた。荷縄の男は何も言わない。道を見ていた。


その視線を追った。昨日の白い線と、その先の泥。そしてまだ手つかずの遠い道。


「だから、今回は小さくする。荷は少ない。馬は一頭。車は一台。空で出て、戻りだけ積む。護衛は大きくしない。止まるならすぐ引く」


「逃げる前提か」


エルクの声が低くなった。


ルシアの視線がそちらへ移った。


「戻らない商隊は、次を連れてこられない」


「守ると言ったら守る」


「守れる場所までね」


エルクの顎が強く固まった。


ルシアの顔から笑みが消えていた。


「若様。商人は勇敢な兵が嫌いなわけじゃない。死なない兵が好きなんだよ」


「商人らしい言い方だ」


「そう。商人だから」


二人の間へ紙を置いた。


「護衛線はここです」


墨で引いた地図は粗い。西門・古井戸・枯れ柳・低い石垣・古橋跡手前の石標。その先には線を引いていない。


「石標で積む」


エルクが読んだ。


「はい」


「石標に荷がある保証は」


ルシアが荷札を指で弾いた。


「うちの印がある。昨日の夕方に置かせた」


「昨日?」


ミリアが顔を上げた。


「古井戸まで通ったなら、次はそこを見ると思ったから」


「勝手に?」


「勝手に。商人だから」


悪びれた様子はない。


「ただし、石標より先には置いていない。そこから先は、まだ値がつかない」


その言葉に、ミリアの指が少し動いた。


「値をつけます」


ミリアが言った。


ルシアの目が細くなった。


「何に?」


「戻る道に」


ミリアがレインの紙を一枚取り、前払い欄の横に自分の名を書いた。


ハルヴェイン領主代理、ミリア。


字はまだ硬いが、迷いはなかった。


「この試験荷について、前払いを認めます。通行税軽減も一走分認めます。検品は西門内で行い、結果は門前に貼ります」


門の周りが少し静かになった。領民も、兵も、商人も聞いている。


「領主代理殿」


ルシアが言った。


「商人に約束すると、安くは済まないよ」


「安く済ませてきたから、今ここまで高くなったのだと思います」


ルシアの口元から笑みが消えた。


「いいね。払う人の顔になってきた」


エルクが不機嫌そうにルシアを見た。


「妹を値踏みするな」


「領主代理を値踏みしているんだよ」


「同じだ」


「違う。たぶん、そこを分けられないとこの先つらい」


エルクが言い返そうとしたが、ミリアが手で制した。


「続けてください」


ミリアの視線はルシアではなくレインへ向いた。


黙って頷き、次の紙を出す。


「提出する副本は三つです」


一つ目は支払い副本で、前払い・残額・遅延時の扱い。二つ目は検品副本で、重さ・数・質・壊れ。三つ目は護衛副本で、兵数・立つ場所・引き返し線・帰着時刻。


「商人側にも控えを持ってもらいます。領主館だけが持つ紙は、言い逃れに見えます」


「商人だけが持つ紙も、吊り上げに使える」


ルシアが返す。


「だから、同じものを二枚作ります」


「三枚だね」


「三枚?」


「門前に貼る分」


一度、筆を止めた。


門前に貼れば、領民も見る。見る者が増えればごまかしにくいが、同時に失敗も隠せない。届かなければ届かなかったと貼り、支払いが遅れれば遅れたと貼ることになる。


「貼ります。ただし、総額は貼りません。支払い済みか未済か、荷が戻ったか戻らないかだけです」


「十分」


ルシアが満足そうに頷いた。


「銭の匂いは隠して、約束の匂いは出す。商人が好きな紙だ」


ガレスが遅れて門へ来た。杖をつき、白く乾いた道を踏まないよう端を歩いている。


「朝から紙の匂いが強いと思ったら、商人まで来ておる」


「ガレス」


ミリアが声をかける。


「古橋跡手前の石標まで、昔の道幅はどれくらいですか」


ガレスが目を細めた。


「荷車一台と馬一頭。すれ違いはできん」


「退く場所は」


「枯れ柳の横に、昔の退避地がある。今は草で埋まっているはずだ」


紙に「枯れ柳、退避」と書き足した。


「兵を置くなら」


ガレスの視線がエルクへ移った。


「石垣の手前。そこなら見える。石垣を越えたら追えん」


エルクが腕を組んだ。


「俺もそう見る」


「では、護衛線は石垣まで。石標で積んだら、石垣を越えずに戻ります」


「待て」


エルクが言った。


「石標は石垣の先だ」


「はい」


「矛盾している」


「石標へ行くのは荷車と護衛二。石垣手前に待機二。何かあれば、荷車は積まずに戻ります」


エルクが地図を見下ろした。


「二人で足りると思うのか」


「荷を守る人数ではありません」


「何を守る」


「戻る判断です」


エルクの目がレインへ向いた。


「戦うなと言うのか」


「戦う場所を選んでください」


門前にいる兵が微かに顔を上げ、その視線にエルクも気づいた。彼の言葉は兵にも届いている。


「分かった」


エルクの声は低かった。


「俺が行く」


「駄目です」


エルクの眉が跳ねた。


「なぜだ」


「若様が行くと、引き返しにくくなります」


「俺が臆病者に見えるのが嫌だとでも思っているのか」


「違います」


地図の石標を指した。


「兵が、若様を置いて戻れません」


エルクが口を閉じた。


「石標で何かあった時、護衛二は戻ることだけを考える必要があります。若様がいると、守るものが増えます」


「では誰が出る」


「バルドの組から二人。若様は西門で指揮をお願いします」


「俺に待てと」


「戻った者を責めないためです」


エルクがしばらく黙った。


門前が静まった。ルシアも口を挟まず、ミリアも待っている。


やがて、エルクの指が石垣の印を叩いた。


「戻ったら、俺が聞く」


「はい」


「戻った理由を、俺が紙に残す」


「お願いします」


「逃げたと言わせない」


深く頭を下げた。護衛計画は前へ出る者だけでは成り立たず、戻った者を受け止める者がいなければ、次の兵は無理に進む。


納得した顔ではない。


「兵は誰を出す」


エルクが門横の兵へ声をかけた。


一人がすぐに顔を上げた。


「バルド隊のロナとユードが今朝の巡回から戻っています」


「呼べ」


「はい」


兵が走る。


その背を見送り、護衛副本の空欄に印をつけた。名前はまだ書かない。本人が来て、聞いて、引き受けてから書く。


しばらくして、バルドが二人の兵を連れて来た。腕の布はまだ外れていないが、歩き方は昨日より少しだけ軽い。


「小荷の護衛だって?」


バルドが聞いた。


「はい」


「若様は」


「西門で指揮です」


バルドの視線がエルクへ向いた。


エルクが不満そうな顔のまま頷いた。


「俺は門で待つ。戻ったら、先に俺へ言え」


バルドの目が少し細くなった。


「戻っていいんですか」


「石標で変なら戻れ」


「若様の命令で?」


「俺の命令で」


バルドが笑いそうになり、すぐ真顔へ戻した。


「承知しました」


二人の兵も頷く。


ロナとユード。そこで初めて名前を書いた。


護衛二・石標確認・異常時は積まずに帰還・エルク聞き取り・門前掲示。


「ずいぶん戻ることを書くね」


ルシアが言った。


「戻れない試験は、試験ではありません」


「その言い方、商人に売れるよ」


「売りません」


「惜しい」


ルシアが軽く肩をすくめたが、荷札を机へ置いた。


商人側の印には、フェネル商会の名だけでなく、塩商と薬種商の小さな印も押されていた。ルシア一人の賭けではなく、小さいが商人が三つ乗っている。


「この荷札を受ければ、こちらも逃げにくい」


ミリアが言った。


「逃げにくい領地に、商人は戻る」


ルシアが返す。


「約束を守るならね」


メイナが写しを作り始め、筆の音が小さく続く。


トマは門前の板を空け、昨日の水運び記録の横へ新しい紙を貼る場所を作った。昨日の紙にはまだ泥の跳ねがつき、その横に今日の紙が並ぶ。


西門から古井戸まで。水運びはこぼれ減、荷車は停止なし。その隣に、試験荷。空荷で出発・石標で積載・異常時は積まずに帰還。前払い済・検品後残額・護衛実動。


「前払い済、ですか」


トマが聞いた。


「まだ払っていません。払ってから貼ります」


ミリアが腰の小袋を外した。中の銀は多くない。音で分かるほど、領主代理の小袋なのに軽い。その軽さを門前の者が聞いたが、隠す気配はなかった。


小机の上へ銀を置く。


数えたのは、レインではなくメイナだった。


「前払い分、足ります」


メイナが言った。


「残額分は」


「西門検品後に、南倉小箱から」


「鍵は」


「ガレス様と私の二つです」


ガレスが鼻を鳴らした。


「わしの鍵まで商人に聞こえるぞ」


「聞こえる場所で言うためです」


ミリアが答えた。


ガレスの口元がわずかに緩んだ。


「なら、聞こえるように歩かねばならんな」


彼は杖をついて小机の横へ立ち、古い鍵束が腰で鳴った。


ルシアが前払い銀を受け取らず、塩商の男へ目で促した。


男が一歩前へ出る。


「受けます」


声は低い。手は荒れているが、ただ荷を転がす者の手ではない。何度も縄を締め、何度も損を数えた手だった。


薬種箱の女も続いた。


「薬草は湿れば価値が落ちます。検品は箱を開けた時に」


「分かりました」


検品副本へ書き付ける。薬草は開封時確認で、湿り・粉落ち・混入を見る。釘は数と曲がり、塩は重さと湿り、油は壺割れと漏れ。


届いた後に揉めれば、次の荷が止まる。


「細かいね」


ルシアが言った。


「細かくしないと、大きく揉めます」


「それはそう」


革袋から自分の印が出てきた。


「フェネル商会は、この一走について仲介を持つ。独占はしない。失敗した時の損は、この紙の範囲で見る」


ミリアが顔を上げた。


「独占しないのですか」


「今、独占を取ると嫌われる。嫌われた商人は長く儲からない」


「儲ける前提なのですね」


「もちろん」


ルシアの返事には迷いがない。


「あなたたちが持ち直すなら、ここは儲かる道になる。持ち直さないなら、今日の銀だけもらって帰る」


エルクがまた顔をしかめたが、今度は黙っていた。


商人が儲かる道は荷が通る道で、荷が通る道は領地に物が戻る道でもある。


「では、儲かる道にします」


ミリアが言った。


声は大きくないが、門前に届いた。


ルシアが印を押し、塩商・薬種商・ミリアと続いた。エルクが少し迷ってから、護衛副本に自分の印を押した。


「俺は護衛線だけだ」


「はい。支払いはミリア様。検品はメイナ。鍵はガレス様。護衛線はエルク様。門前掲示はトマ。商人側はルシアさん」


「お前は」


エルクが聞いた。


「台帳を合わせます」


「一番逃げやすい言い方だな」


「逃げられないように、全部の紙に番号を振ります」


エルクが少しだけ笑った。


「嫌な雑用だ」


「はい」


今日の仕事に必要な番号だけを書き付けた。西門試験荷・支払い副本・検品副本・護衛副本・門前掲示に、すべて一の番号。同じ数字を持つ紙が五枚。


一枚だけ変わればすぐ分かり、一枚だけ消えても他が残る。


昼前、空荷の馬車が西門へ引かれてきた。車輪は古く、軸も鳴る。だが昨日止まらずに通った荷車より軽い。


馬は一頭、荷台には何もない。空であることを門前で確認する。


底板を叩き、幌の裏を見て、車軸の下を見る。


「疑うね」


ルシアが言った。


「疑わない紙は信用になりません」


「いいね。うちの番頭に聞かせたい」


「聞かせないでください」


「残念」


ロナとユードが馬車の左右に立った。


バルドは門内に残り、エルクの横で戻った時の聞き取りをする役だ。


エルクの視線は馬車ではなく、兵に向いていた。


「石垣を越えて追うな」


「はい」


ロナが答える。


「石標に荷がなければ」


「戻ります」


「人影が多ければ」


「戻ります」


「荷が足りなければ」


「積まずに戻ります」


「馬が嫌がれば」


ユードが少し詰まった。


エルクが待ち、こちらも口を挟まなかった。


ユードが馬の首を見てから答えた。


「戻ります」


エルクが頷いた。


「戻れ」


二人の肩から少し力が抜けた。


ミリアが門前掲示の前に立ち、集まった領民へ短く告げた。


「今日、試験荷を一走させます。戻る荷は少量です。すべての不足は埋まりません」


誰も喜びの声を上げなかった。


「荷が戻れば、検品後に掲示します。戻らなければ、戻らなかった理由を掲示します」


一度だけ、息を吸う音がした。


「支払いは、領主代理の名で行います」


門前の者たちがミリアを見た。


領主館が買い、領主館が払い、領主館が隠さず貼る。


ルシアがレインの横へ来た。


「昨日の道一本が、今日の紙になった」


「まだ紙です」


「商人は紙でも動く。紙で動いて、荷で確かめる」


「戻れば、次があります」


「戻ればね」


ルシアの声は少しだけ低かった。


「レイン」


ミリアが呼んだ。


「はい」


「提出する帳簿は、これで足りますか」


机の上を見た。支払い副本・検品副本・護衛副本・商人控え・門前掲示、そして新台帳の原本。


原本は出さないが、副本は出す。


「足ります。ただし、戻った後にもう一度直します」


「失敗しても?」


「失敗したら、失敗した理由で直します」


ミリアが静かに頷いた。


「分かりました」


西門が開く。音は重い。まだ片側の蝶番は完全ではないが、前よりはましだった。


空荷の馬車が白く乾いた道へ進む。古井戸までの百九十二歩、その先へ。


ロナが左に、ユードが右につく。御者は手綱を短く持ち、振り返らなかった。


エルクが門の内側で拳を握ったまま立ち、ガレスの鍵束が鳴る。メイナの筆が止まり、トマが門前掲示の角を押さえる。ルシアの目は馬車ではなく道へ向き、ミリアの手には自分の名が入った副本があった。


新台帳へ一行を書き加えた。空荷、出発。荷ではなく、約束を先に走らせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ