第22話 ものを売るときは、客を煽るべきではない
「中型の扱いやすい武器かな、あまり力に自信がなくても取り扱えるのがほしいかも」
「うーん....実に面白みがないねお客さん」
そしてキョンシーの獄獄は言う。
「武器とは」
――「人生における」
――「爆発なのです!!!」
カウンターから身を乗り出してわたしの顔を覗き込んだ。
「え、はい」
「そんなこともわからないなんて、売る武器なんてないですよ〜」
「ええ..」
「そもそもお客さんはなんであたしの店に来たのさ、普通の武器店に行けばよかったのでは」
武器の話になると急に陰湿だ。
「友だちのエクサって子に言われて....」
「エク.....」
獄獄はわたしの顔を長く見つめた。そして何かに気づいた途端、顎がすとんと落ちた。
「お客さんは....ミミミミミミント様っ??!!」
そのまま獄獄は岩のように硬直した、というかいったいわたしは何だと思われてるんだ。
「おーい」
目の前で手を振っても反応がない、死んだか。
「ははははははい......ミント様、核兵器をお持ちいたします....」
(まて、そんな物騒なものは頼んでない!)
ギリギリ言葉は出ているが身体が硬直したままなので、わたしは立ち去ることにした。
「帰るね」
そういえば一般的なキョンシーって、死後硬直が進んでるからあんな動きになるんだってね。この子もたぶん死後硬直が再開したのだろうが、知ったことではないのだ。
わたしは背を向けて歩き出した。
――「444....これはなんの数字かお分かりですか?」
振り返り、答える。
「444? 知らないよ」
「わたしの....会員番号なのです」
「ばいばい」
――がちゃりと扉が閉まった。
ふう。厄介な店には踏み込むものじゃないね、まったく。さあ“普通”の武器屋を探しに行こう、キョンシー以外の。
「待てえい!!!」
背後の扉を突き破り、キョンシーが登場した。一か八かなのだろう、両手を腰において自信げな態度を見せた。
「あたしはミント様の力が必要なのです!」
冷たい風が吹いた。
「444、それはあたしたちキョンシーが所属する“あれこれ・武器好き・キョンシー”、略してAKBの会員番号っ!!」
「AKB? その順番だったらABK....」
――「AKBにおいて444番は末席なのです! そう、あたしは武器の売り上げが最下位」
「そりゃそうでしょ、客を煽るんだもん」
「ああ、エクサ様たち教団に助け舟を出していただいたのに....ミント様に見限られてしまっては会員証を剥奪されてしまいます!」
エクサ....大変なんだね。
これ以上は付き合ってられないと思ったが、エクサの厚意を無視するわけにもいかない。
「もうわかったよ、武器買うよ」
「え! さっすがお客さん、まあ武器のセンスは認められないけどあたしについて来な!」
やっぱりへんだよ、このキョンシー。




