第21話 危険な人!
旧王宮の議会はミントによって破壊された。なので、イーゼルの議員たちは田舎の歴史的な建物に集められていた。
大きなシャンデリアが吊り下げられたその場所。床は不気味に軋み、掃除はされたであろうが埃臭い場所である。
ミントらの襲撃から二日。100名余りの議員は各々の席についており、彼らは最後に来るであろうある人物の到着を待っていた。
「大した奴じゃないと思うな。奴らには国を掌握する余裕はない」
「議会を吹き飛ばしたのに、政権を交代させようとしていないのがその証明か....」
「宗教派閥を押し広げるために、魔術兵器を二度も使ったわけだ。かなり無理をしているだろうな」
「そうだろう、そんなミント様の顔を拝んでやろうじゃないか」
そして張り詰めた空気の中、颯爽と現れた人物は全員の目を引いた。身長の高い細身の男性、顔には清潔な微笑が浮かべていた、それでも議員たちは何だか睨まれているような気がした。
整わせすぎず、やや遊ばせた黒い髪。わざと儀礼を捨てたように佇まう。
自身の議席の前で彼は口を開く。
「議員の皆様、そして関係者各位。こうして議員として迎えてくださり、大変感謝しております」
――「あれがミントなのか....?」
「わたくしは、チョコ・レイファと申します。どうぞ宜しくお願いいたします」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――同刻、ミントは思い悩んでいた。
イーゼルの英雄は間違いなく封印されていた。もし彼女のような英雄たちが知っていること、元の世界に関する知識であれ何であれ、これが誰かにとって不都合なら....
わたしの存在は邪魔そのものだ、そう遠くないうちに襲われるかもしれない。
ヴァニタスには十分に守ってもらってる。わたしの影に潜むスケルトンたちも頑張ってくれてる。
けれども、わたしが想定すべきなのは規格外の存在。付け焼き刃であってもいい、わたしにはとにかく武器が必要だ。
――冬の朝、白い息のミントはマフラーをぎゅっと持った。イーゼル王都、怪しい雰囲気の商店を前にした。
その看板には何も書かれていなく、どんな物好きでも立ち寄り難いような雰囲気さえ感じる。
店のドアを開ければ、中からむわっとガスのような刺激臭が鼻をついた。
「うっ!」
見渡すと店内の棚には色々な武器が飾られていた。弓、レイピア、ダガー、釘バット....
......釘バット?!
「お客さんいらっしゃい!」
店の奥からヒジョーに元気な声が聞こえた。店内の禍々しい雰囲気とは真逆の、底なしの元気さであった。
長い袖で手を振っていたのは女の子、彼女の顔には大きな札が貼られており、キョンシーハットをかぶっていた。
そう....間違いなくキョンシーだ。というかキョンシー以外の言葉で彼女を形容することができない。袖と札と帽子が揃えば、それはキョンシーなのだ。
「あたしはキョンシーの獄獄だよ! お客さんはどんな武器をお買い求めに来たのかい?」
やっぱりキョンシーだ。




