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ミントは世界を楽園に!  作者: 溟yuu
教団のはじまり
19/29

第19話 目覚める英雄

 白い光が笑顔の防御魔術師たちの目に映る。


 「え?」


 ミントの放った光線は魔術師たちを瞬時に蒸発させて、彼らは消し炭と化した。


 指揮をしていたブルベルは呆気に取られるも、すぐに盾を構えて己の身を守った。王宮の壁をたやすく抉り、その反対側の空にも光が伸びてゆく。


 ブルベルは自身の全てを費やして、身を守る。自身に天体がのしかかるような圧迫、それを堪えていた....



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 そして日が昇る頃には、王都は静けさが漂っていた。早朝、周辺国家の話題はミントたちのことで持ちきりだ。


 「ミント教団? 知らないぞ、そんな宗教組織」


 「アンデッド思想の連中だ。イーゼルが奴らに1議席を譲るという条件で、襲撃は止んだみたいだが」


 「たったの1議席?」


 「1議席は相当なものだぞ。これでイーゼル内での反アンデッド思想が揺らぎ、そして聖ルミナとのきな臭さは一段として増すことになる」


 「おまけにフォルス・エイダがイーゼルに鉱山を明け渡したとのことだ」


 「本当か? 本格的にアンデッドに支援されているわけだな」


 「我らがベイガルド王国もいずれイーゼル側につくだろうな....」


 「しかし奴らの行動はバラバラだ、経典を調べてみたが解釈がまるで統一されていない」


 「教団の長が方向性を定めればよいのにな、逆に言えばあの組織に黒幕はいない。」


 「普通に考えればそうだ。だが我々が一番恐れるべきなのは、その組織に黒幕がいるという場合だ。」


 「奴らが崇拝しているという、()()()か?」


 「もし部下を気ままに行動させていて、なおも崇拝されるような奴が....ミントが存在するのならば」


 「間違いなく化け物だ....」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 朝焼けが顔を照らしていた、大きな穴が空いた王宮をミントは眺めた。彼女は段数のとても多い王宮の階段を登る。


 「いて」


 到着までに二回も階段で躓いた。二度とここには来ないと心に誓う。


 そして到着する。


 立派な聖女の像が建てられていた一番大きな中庭。落ち着いた空気が漂っていて、像の指先には鳥が一羽とまっていた。


 英雄の墓、この下に眠っている人物を起こすことがミントの目的である。


 ミントは近づき、像の下の土に触れた。すぐに像にヒビが入って砕け、そして地表にわかりやすく棺が浮かび上がってきた。


 ミントは棺についたその金具を取り外そうとする。


 「んんー....」


 取れない。なかなかに強固な仕掛けである、ミントの指は赤くなってそれを痛がった。


 「ヴァニタス....お願いしてもいい?」


 大きな鎧のヴァニタスが現れ、何も言わずにその指で金具を砕く。


 「ありがと」


 木製の棺はやけに大きい。その蓋をミントとヴァニタスが持つ。


 「よい....しょ!」


 二人は蓋を開けた、とはいってもほとんどヴァニタスの力である。


 棺の中を覗くと、鎖がぐるぐるに縛られた人物がいる。目隠しをされて、口も開かないように器具で固定されていた。


 その人物はもじもじと身動きをとっている。


 「葬られてるってより、封印に近いよねこれ....」


 ヴァニタスは鎖を引きちぎり、棺の中の人物を解放した。


 姿を現したのは水色の長い髪の女性。ぼろぼろの服を着ており、口の器具と目隠しを外すと眩しそうに目を押さえた。


 美しく儚げな顔立ちだ。彼女は目をぱちぱちさせながらミントの方を見る。


 「あなたからは少しだけ、ライカ様の香りがいたします....」


 「え....?」


 ミントは驚いた、その口から語られた言葉に対してではない。


 「あなたももしかして、“トウキョウ”から来られたのですか?」


 彼女が語る言語はミントのよく知る....天原無助のよく知る、“日本語”であったのだ。

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