第17話 光を放て、マグ・メル
「お久しぶり、エクサ」
「ミントちゃん....始めさせていただきます」
「うん」
ミントが頷くと、すぐに静かな夜景に大砲の音が響き渡った。
現れた岩肌のゴーレムたちは街を踏みつぶし、ガーゴイルの爪が兵士たちを裂き、雪の乙女らが人々を凍らせた。
王宮への道。エクサはミントの隣を歩いていた。
「エクサ、その服はなに?」
黒い軍服のようなものをエクサは着ていた、なんというかバンカラ風である。
「儀礼用の服だよ」
「へえー....」
「ミントちゃんも着たかった?」
「うん」
「うわ....ごめん!」
「いいよ、今度着させてもらう。そういえば、なんで来てくれたの?」
「一人で王都を侵攻するなんて、放っておけるわけないじゃん」
「“英雄”の復活をしに来ただけだよ」
「それはもう国家の否定なの。私たちが兵を引きつけてあげるから!」
「ありがと....」
「代わりに今度ミントちゃんのその“ゴス”? ってファッションについて教えてね!」
「うん」
「やった! みんなも真似したいってよ!」
その時。轟くような足音と共に、ミントたちの両横を大勢のスケルトンが走って通り過ぎる。百体どころではない、その何倍もの大群だ。
「めっちゃいるじゃん、スケルトン」
「これはコツヲってやつの魔術だよ」
「コツヲ....わたしが名前つけたあのスケルトン?」
「そう!」
「すごいね」
「喜ぶんでくれるよ、その言葉....じゃ、部下たちのところに戻るね!」
エクサは満面の笑みで手を振りながら、スケルトンの大群に紛れていった。
スケルトンの大群は全て通り過ぎると、ミントは王宮がよく見渡せる広場にいた。
「教会の人....?」
ミントは男たちに囲われていた。市民に紛れた身なりだが、手の先の拳銃が銀色に光っていた。
皆が彼女に狙いを定めている。
「アルファ班、例のネクロマンサーを包囲したとペルキューダさんに報告しろ!」
ミントはその言葉に耳を傾けず、ゆっくりと宙に浮かび始めた。風が彼女を掬い上げるようだった。
「撃て!」
皆が一斉に引き金を引き、12発の金色の弾が発射された。
するとミントの前に現れた、大きな鎧に全身を包んだ人物。彼の持つ大剣を横に大きく振ると、突風と共に銃弾は弾はじかれた。
「ヒザマ..ズケ」
弾かれた弾は男たちの喉に全て着弾して、全員が呻めきながら膝をついた。
まるで祈りの姿勢。宙に浮かんだミントは微笑み、夜風が髪をそっと撫でた。
いつの間にかその華奢な手に握られた、黒色の禍々しい剣。
その剣先を王宮へと向けた。
「メメント・モリの執行者として。我、ミントは......
これより“英雄”の復活を行う」
そして言う。
「150名の信徒....我に命を預けよ。」
その言葉と共に広場の石畳を割って出てきたのは、“がしゃどくろ”のようにも見える、光り輝く巨大なスケルトン。
「さらに61名....我に命を預け....」
どの建物よりもさらに大きなスケルトン。その口は四つに割れていて、奥が眩しいくらいに光りだした。
「そして光を放て。マグ....メル」




