第12話 あなたのために
中庭のテーブルに頬杖をついたまま、ミントはだらりと身をもたれかけている。
「ねむい....」
対照的にエクサは姿勢正しく座っていた。
「力を使いすぎちゃったのかもね、ミントちゃん」
エクサは小さな声で続ける。
「....私のために、ありがとう」
「エクサが一人でここに来ても、何も解決しないの....わかってたから」
「うん....」
――「ミント様は紅茶で宜しいでしょうか?」
話しかけてきたのは使用人のアルバート。ミントが甦らせた人物の一人。
家の周りの墓のほとんどが革命で殺された人たちのものだった。エクサの父親はいまだに見つかっていない。
「ありがとうございます」
アルバートはティーカップを置くと笑みを浮かべて軽く会釈をし、建物に戻っていった。
「そういえば、ミントちゃんには帰りたいところがあるんだよね....すぐ行っちゃうの?」
ミントは猫のように腕を上に伸ばしてあくびしてから答える。
「うん。でも帰り方がわからないから、しばらくはその方法を探すよ」
「“めめんともり”だっけ....その名前」
「そう、”メメント・モリ”。死という絶望のないあの楽園に....」
去り行く母の背、そして自身に向けられた銃口。その言葉を聞いてエクサの脳裏を過よぎったのは深い絶望だった。
拳を強く握り、エクサは声を絞って言う。
「私は....! ミントちゃんを手伝うよ!」
エクサは続ける。
「ミントちゃんは聞いたこともないような素敵な力で私を助けてくれた。だから私もあなたに、この命を捧げたい」
「....でもエクサは自分のために生きるべきじゃ..」
――「私がそうしたいの! もう、わかってよ」
ミントは朗らかな笑みを浮かべる。
「ごめん。わかったよ....ありがとう」
――「ミント様、エクサ様。たいへん申し上げにくいのですが。」
アルバートがいつのまにか二人の前に現れていた。
「騎士団と教会の馬車がこちらに近づいてきていると、スケルトン達から報告を受けています。」
「そんなにすぐに意思疎通できるものなの?スケルトンって」
「使用人はコミュニケーションが命ですよ」
アルバートは得意げに親指を立てた。
「それと....どうします?」
アルバートが視線を向けた先にいたのは二人の子供。一体のスケルトンが彼女らと手を繋いでいた。
「おそらく....へスター様とレオン様の子供ではないかと」
「まじかっ」
ミントはぎょっとした。
(最近の子供ってスケルトンにビビらないの?!)
「二人とも預かろう。私がミントちゃんの役に立つような人に育てるわ」
エクサは胸を叩いて、任せろと言わんばかりの姿勢を見せた。
「えぇ....」




