お茶会の後8
執事と侍女が装飾品を持って退出し、その扉が閉じるのを視界の端に捉えたわたくしは、深いため息を二度も吐いてしまいました。
「すまない。」
わたくしのため息を聞いた、夫がつぶやきます。
今はお互い横にいるだけで、目を合せないどころか姿を視野にも入れておりません。
「マークは、治るのでございますか?」
「わからない。」
「さようでございますか。」
「私の警戒が足りなかったせいだ。」
「それは、その通りでございますね。」
「マークがそこまで献身だとは思っていなかった。自分だけを自分で対策していれば問題ないと思っていた。」
夫自身は毒の対策をしていたから問題ないと思っていらしたと。それならばそう言えば宜しいのです。
言葉足らずに飄々と、大丈夫だ、とでも言い続けたのでございましょう。
そんな夫の態度を、周りは心配していたのです。
意思の疎通が乏しければ、どれほどお互いを思っての行動でも、最良に繋がるとは限らないということです。
それどころか今回のように、悪い方向に向かうほうが多いのではないでしょうか。
「それと、先ほど、ピーターは自分の指示だと言ったが、あれは違う。マークが一人で勝手に動いたことだ。」
夫のつぶやきに、あぁ、と得心がいきます。
先ほど執事に心の内を聞いても、頑なに謝るだけだったのはそういうことでございましたか。
従僕を庇っていたということであれば、勝手をした心の内などあるはずがありません。
下手に嘘をつくより謝ることを選んでくれたのでしょう。高徳なことです。
「今後は、毒味を雇いましょう。」
わたくしが言うと、夫は嫌なのでしょう、不服な表情です。しかしこの状況で嫌とはいえないのでしょう。
嫌な話を重ねて、夫を追い詰めることにはなりますが、だからこそこの場でできる限り終わらせる事が大切です。
まぁ、夫の自業自得でもございますから仕方がありません。
夫は誰に何度言われても、王妃様の近しい従兄弟という位置にあぐらをかいていたのです。
自分では対策をしていらしたとのことですが、一番そばに付く従僕にすら、それを伝えていなかったことはよくありません。
今後は毒味役を守るために用心を払っていただきましょう。
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◆お茶会の後の晩餐での会話その7(最終)
イザベラ:他に何か、急ぎで話しておきたい事は?
セシリア:そう言えば、王妃様はこちらに全面的にご協力くださるとおっしゃってくださいました。
イザベラ:… … …なぜそれを一番先に言わないのかしら?
セシリア:…? 王妃様が全面的にお味方でも、わたくしどもの動きはあまりかわりませんでしょう?
[セシリア以外一瞬目線を揺らす](…ん?!)
アーサー:…まぁ、セシリアだからね。
伯爵:しかしまぁ、好都合だ。
イザベラ:…そうね。それはどこまで?
セシリア:ハロルド殿下を王位に上げる事にもご協力くださると。
伯爵:それは本当に全面的だね。
イザベラ:ありがたいわね。そこまで…。…エドワード殿下については何かおっしゃっていた?
セシリア:王位には向いていない、と。……ただ、ハロルド殿下を王位に推せたとして、エドワード殿下は幽閉止まりとなるかもしれません。
アーサー:そうか。まぁ王妃の目の黒いうちの話だ。こちらも目を光らせることの出来る年月でもある。
イザベラ:アーサー、慎みなさい。セシリア、他にはある?
セシリア:後日、王妃様がハロルド殿下にお繋ぎくださると、約束してくださったことくらいでごさいます。日取りが決まったらご連絡くださるとのことです。
伯爵:ありがたい。では連絡が来たら回してくれ。細かい話はその時にしよう。私はデザートをゆっくりいただきたいからね。
イザベラ:そうね。ギルシュ家のデザートはとても美味しいもの。
アレックス:母さん、食べ過ぎないで下さい。また昨日みたいにコルセット緩めないといけなくなりますよ。
イザベラ:失礼ねぇ!今日は始めから緩くしてるから大丈夫よ[笑]
一同:[笑]




