お茶会の後6
執事が話してくれたことを要約いたしますと、毒が盛られていたのは王宮。夫の執務室に常備してある茶器につけられていたとのことでございます。
王宮にある夫の執務室には様々な物が置かれておりまして、仕事で使うものはもちろん、葉巻や酒、遊戯板などや今言ったもちろん茶器なども置かれております。
その茶器を使って、マークは夫と自分に茶を入れ、マークが夫より先に飲んだということでございました。
茶器に毒を塗った実行犯は、清掃に入った使用人で、特定はできているとのことです。
その使用人は、誰かに金銭で指示された可能性が高いそうで、現在は特定した上であえて、こちらからの接触を行っていないそうです。
これは、犯人が指示者に接触する可能性を考え、監視しているということでございましょう。
夫の勤める財政局へ出入りする使用人は、大臣であるグライヤ公爵家とわが家の精査から、敵対しない派閥の方を選んでおります。
しかし、ここ最近は今までとは異なった理屈で動き出した方々については未だ対応できておりません。
今回はそういったところから狙われたのだろうということです。
執事は夫の意見も代弁してくれました。
曰く、指示は例の男爵令嬢を取り巻く誰かで、何も考えず、勢いでやったことなのではないか、考えられる人間であれば、王妃を敵に回すようなことはしない、とのことです。
現状、表向きの王妃様はエドワード殿下のお味方と捉えられて然るべきでございます。
エドワード殿下の処遇に異を唱えておられないこと、今まで尻ぬぐいをしてこられたこと、生母であることが大きな理由です。
そして、夫は王妃様の近しい従兄弟です。王妃様は夫を身内として大切に思っております。
それは全くもって隠してはおりません。それどころか王宮に出入りする貴族には常識の範囲でございます。
ですから夫を攻撃すれば、攻撃した方は今後、王妃様からの信用を得られなくなります。信用を得られないどころか、敵対する可能性が強いのです。
夫に対し何か行動を起こす上で、王妃様のお心を考えないというのは、わたくしから見れば笑止千万。
ですがこれは仕方がないのかもしれません。
今の若い方は王妃様のお若い頃をおそらくご存じありません。王妃になる前の、あの苛烈さを知らないのです。
また、夫に毒を盛ったのは男爵令嬢の取り巻きだけでなく、他の方々も考えらなくはないのですが、どの派閥の方も可能性は薄いようです。
これらのことを聞き終えてから夫を見れば、目線は再びグラスへと戻っており、眉間によったしわには、紙片でも挟めそうなほどでございます。
本当に! グラスの何がそんなに魅力的なのでございましょう!! こんな話題だからこそ目を合わせくださるべきでございましょうに!!!
お読みいただきありがとうございます。
誤字報告感謝いたします。
◆お茶会の後の晩餐での会話その6
アーサー:さて、アルフレッド、帰領だ。明日の午後に出立してくれ。
アルフレッド:明日ですか?しかも午前ではなく午後から?
アーサー:うん。馬で行け。馬車で行くのに、明日の午後に出立するのは支度時間がきついだろ?
アルフレッド:馬!? えぇ、馬車じゃないんですか?
アーサー:領までエリザベスへの使いと一緒に行くのが良いしね。あぁ、それとガフの街を頼んだよ。
アルフレッド:…わかりました。[無表情](ガフへの移動決定か…。それよりも馬移動やだ…)
アーサー:だからセシリア、エリザベスへの手紙をすぐに書き上げてくれ。
セシリア:わかりました。ですが、エリザベスちゃんへの手紙はともかく、アルフレッドまで馬で帰るとは、随分と急いでおりますね?
伯爵:あぁ、先ほどうちの領地から急使があってね、ウルクタルム子爵と南セヴィヴ子爵が一触触発だそうだ。
セシリア:まぁ!
イザベラ:南の方の二領のね。うちとも近いわ。うちは仲裁に出ないと思うけど、…ほら、えっと……ミリエラが身重でしょう?さすがに戦場になりかねないところはね…。
アルフレッド:姉さん、三人目を授かったんですか? じゃぁ来年あたりには姉さんに代替わりを?
伯爵:いや。まだだな。国が落ち着いてからだ。私の隠居と言う責任の取り方を残しておきたい。ウルクタルムと南セヴィヴの仲裁者はまだ決まってない。少し離れているがリヴィリス侯爵家が出るかもしれない。
アルフレッド:父さん、それは押し付けるってことですか?
伯爵:そうとも言うな。
セシリア:そういうことでしたか。あぁ、アルフレッド、向こうに着いたら、メリンダとラナを王都に送ってくださる?こちらで教育することにいたしましたから。
アルフレッド:わかりました。(馬で帰ることは変わらないか…。)
イザベラ:[笑]ふふっ、あなた遠乗りが嫌いだものね、アルフレッド。元々トンボ帰りの予定だったのでしょう?王都に長く居すぎたのだから諦めなさい。
アルフレッド:あれはマーガレット伯母様の冗談でしょう…。




