09 続 惚れたもん負け
びっくり登場のシキの兄ちゃんに色々聞いてみようのコーナー!
俺 「シキの兄ちゃん。何でも知ってるんやんな?」
シキ 「お前が力の事、曳手の事を知りたいのも知っている。」
かっけぇーーーー!まじか!
俺 「何で?」
シキ 「何でもや。」
俺 「ずっと見張られてるみたいやな‥‥」
シキ 「見張ってない。見守ってるねん。」
俺 「違いが分からん。」
シキ 「それで、教えて欲しいんやろ?」
俺 「そうそう。この力って何なん?」
シキ 「 理は分からん。その家の血筋を遡って突き当たる氏神の力を受け継いでいるらしい。また血を引いたからとて力が顕れるかは人による。オオミナなどはそうだな。」
俺 「で、ワシには顕れたと‥ 」
シキ 「そうだな。家の氏神によって得手とする力も違う。おヌシが使った【ヌのチカラ】は美和の者の力と言われている。ただ、鎮めの儀に使う【ルのチカラ】は鍛えればある程度使えるようになる。氏神への願いの詞だからな。」
俺 「ほうほう。この前の戦いを見てたなら聞くけど、ワシの力はどれくらいのもん?」
シキ 「老いられたイズシ様と同じか少し下。シコオ殿となら曳手は何とかなるか?っと言った所だ。」
正直微妙なラインと言った所だろう。不可能ではないが難しいという感じ。
俺 「ワシの力はまだ伸ばすことできる?」
シキ 「おヌシなどまだまだだ。先代様の力は遥かに上だった。」
俺 「ということは?」
シキ 「伸びる。」
俺 「良かった~。」
シキ 「ただ臆しただけではなかったようだな。」
俺 「?」
シキ 「褒めているんだ。気にするな。」
力はまだまだ伸びる。それを聞けただけでも大収穫だ。
具体毛的にはこの【ヌのチカラ】を伸ばすのか、新しいチカラを習得するのか?
俺 「力はどうやって伸ばす?」
シキ 「先代様は【ケのチカラ】をお使いになられてた。」
俺 「【ケのチカラ】‥‥もう少し詳しく。」
この時代の人はどうも言葉数が少ない。
シキ 「剣を飛ばせる。」
俺 「飛ばせる?‥‥どれくらい」
シキ 「そうだな。あの木には届いていた。」
軽く15mはある。遠距離攻撃をゲットできる!
俺 「まじか!」
シキ 「まじか?」
この時代に「まじか」はないらしい
俺 「つい、よう分からん言葉が出ただけ。それはイズシのおっちゃん聞けば習うことが可能か?」
シキ 「お前次第だろう。」
光明が見えてきた。もし、遠距離攻撃を取得できればノロヰへの火力が一気に上がる。鈍重なノロヰを遠距離から射貫く事で迎撃数が遥かにアップする。
俺 「曳手はどんな事をするの?」
シキ 「お前が担うのは曳手の長だ。本当はさっき言った【ルのチカラ】を使い御魂からあふれるチカラを抑えるのが役だ。そしてノロヰが出た場合はその他の曳手と共に戦わねばならぬ。」
俺 「ふむ。ワシには【ルのチカラ】なんか使えへんで。」
シキ 「だから、シコオ殿がそれを担う。おヌシはノロヰと戦うだけだ。」
俺 「では、そんなに難しくはないかぁ‥‥」
シキ 「違うぞ。前はミワキ様だからあの程度のノロヰの数だったかもしれん。」
俺 「そんなにミワキ様は凄いのか?」
シキ 「あの方はサノ様の生まれ変わりかもしれんな。人の域を超えている。」
俺 「そんなにか~。あのミワキ様のチカラは何なの?」
シキ 「【レのチカラ】。ただ、見たものを消すというチカラだ。」
俺 「見ただけで?」
シキ 「剣や弓など必要ない。ただ見るだけで消してしまう。氏神のチカラ借りたようなワシらでは叶わぬ正に神そのものチカラだろうな。」
俺 「ミワキ様の家にはそのような者が他にもおるの?」
シキ 「あほか。サノ様以来のチカラの持ち主だ。だから生まれ変わりと言われている。それにあの胆の太さと言霊の力もある。まさにと考えざるえない。」
やはりとは思ったがそこまでだったのかと再認識でした。
秦の始皇帝、嬴政。織田上総介信長。オクタウィアヌス と並ぶ偉人レベルかもしれない。
シキ 「美和様のチカラも負けてはいないがな‥‥」
ぼそっとシキの兄ちゃんが言った。
俺 「何それ。」
シキ 「まあいい。何よりおヌシ次第なのには変わらなぬ。」
俺 「分かった。ありがとう。何とかなりそうな気がしてきた。」
翌朝、イズシのおっちゃんに聞いてみた。
シキの兄ちゃんに新しいチカラかあると聞いた事、それを習得したい旨を。
イズシ 「よし。」
それだけの返事だった。
その後、もう一つお願いをしたの案件も「よし。」の二つ返事で終わった。
少し拍子抜けな気もするが、仕方がない。
早速、次の日に御宮に向かった。
ミマキ様、マコト様、シコオ殿が迎えてくれた。
シコオ 「して、曳手は受けてくださりますか?」
マコト 「時をくれとの事を聞いておりましたがどうですか?」
俺 「時をくだされ。」
「?????」
2人の頭の上に?が浮かび上がるのが見える。
マコト 「また時をくれと‥‥それはどう捉えればよろしいですか?」
俺 「今のワシでは力が足らないと思います。」
マコト 「それは遠回しにお断りになっていると‥‥」
俺 「今は。と言っております。力をつける時をくださいという事です。」
ミワキに笑みがほんの少しこぼれた。
その後、新しい力の事、イズシのおっちゃんにも了解を得ている事、纏向勢にも人を貸して欲しい旨、今回の戦略を伝えた。
マコト 「ミワキ様からは聞いておりましたが、さすがでございます。そのような案は私には思いよりませんでした。」
ミワキ 「シコオ、言うたじゃろう。目を見れば分かるのじゃ。カカカ」
シコオ 「恥じ入るばかりです。」
俺 「?」
ミワキ 「ヤエよ。全て任せる。ヌシの好きなようにしてくれ。人もヌシの言うただけ貸す。」
俺 「ありがとうございます。」
マコト 「して、時とはいつぐらいになりますか?」
俺 「にいなめの祭りが終わった後がよろしいかと。」
今が夏。収穫祭が終わった後という事になる。
ミワキ 「よい。任せる。」
全てが丸く収まり、俺とシコオさんで今後の事もあり美和に一緒に戻る事にした。
シコオさんと宮を出ようと歩いている時のことだった。
「兄さま」
明らかに良い服を着た女性が話しかけてきた。30代前半くらいでお優しいそうな方だ。
シコオ 「シコメ!‥‥いやシコメ様か。」
シコメ 「よろしいですよ。別に皆がいる所ではありませんし。」
うーん、シコオさんの知り合いか。
シコメ 「こちらがヤエ様ですよね?」
シコオ 「あーそうだ、こちらが美和の主、ヤエ様であられます。」
俺 「やめてください。主など。気恥ずかしいですよ。で、どのようなご関係で?」
シコオ 「え~。ヤエ殿ややこしいので驚かれないように。」
俺 「はい‥‥」
シコオ 「まずは私の妹でございます。そして前の君のビビ様、その前のクルの君様の妻君であられます。なのでミワキ様の母君という事になります。」
‥‥ボケが渋滞している。
ミワキの母ーーーーー!
20代前半であろうミワキ様にどうみても上に見ても30代後半のこの見た目。
おいおい、この時代の倫理観についていけない‥‥
で、先々代の王様と先代の王様の奥さんーーーー!
この時代の倫理観に突き放された気分だ。
という事はシコオさんは一応ミワキ様の兄となりのか‥‥
普通なら大きめのボケが既読スルーしそうになったやんけ!!
シコオとシコメの会話ターン、読者の皆さん読みにくくてすいませーーーん!
俺 「・・・・・・・・・」
シコオ 「驚くなというのが無理でしたな‥‥」
事象の処理待ち時間がかかっている俺にシコメ様が話かけてきた。
シコメ 「ミワキをよろしくお願いいたします。」
俺 「分かりました。」
シコメ 「では兄さま、先に行かせて頂きます。」
品の良さがにじみ出る所作でシコメ様は去って行った。
シコメ 「それでは我々も行きますか。」
俺 「驚きました。」
シコメ 「そうでしょうな。」
そんな俺がびっくりしている間に美和ではイズシのおっちゃんとシキの兄ちゃんが話していた。
イズシ 「シキ、鎮めの儀、もしもの時は頼むぞ。」
シキ 「分かりました。それでヤエは御宮ですか?」
イズシ 「朝一で出て行ったわ。」
シキ 「ようやく、やる気を出し始めましたな。」
イズシ 「そうやな。ミワキ様が来てから変わってきとる。」
シキ 「どういう心持なのでしょうな。」
イズシ 「惚れたんやろ。」
シキ 「惚れた‥‥そういう事ですか。」
イズシ 「そんなもんやろ。」
なぜこんなに頑張っているのか気づかずに美和へと急ぐ俺がいた。
つづく




