10 実戦を自分で想定して行うのが練習
まだまだ夏。
クソ暑い。
現代は地球温暖化で猛暑になった?うそだ。
この時代も絶賛、猛暑ですが?
あれはあれだな。何かしらのフリー〇ンソン的な奴が仕組んだウソだな。
何かしら利権がからんでいるに違いない。なぜならこの時代もクソ暑いから。
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【ケのチカラ】
対象物を任意の方向に飛翔させる事ができる能力。
簡単に言えば、矢を投げたらめっちゃ飛ばすことができるチカラだ。
イズシのおっちゃんの教育方法では伝わらないので代わりに解説する。
能力の発動は至極簡単、呪文を詠唱して例えば槍を見る、チカラが伝わる。
目標物を見る、投げる。以上だ。
習得するのは時間は掛からなかった。
1週間程度で目標物まで当たるようになった。
だが、これでは実戦では使えない。
まずは射出速度。素人が槍を投げて遠くに飛んでいるだけのスピードだ。今の倍は必要だ。後は連射数だ。5本も飛ばしたら霊力量切れになりそうになる。
これは超絶地道なレベル上げを繰り返すしかない。秋に差し掛かる頃には第2段階に入りたいので本当に数をこなすしかない。
練習、挑戦はまずは質より量。そして質へと移行するものだ。
「カムナのチカ、ケン!」
屋敷の庭に俺の声が響く。
技の習得自体は終わっているのイズシのおっちゃんはいない。
後は自主練習のみである。
自主練は自己縛りするのが一番良い。
最初は無理のない課題で良い。俺なら5本投げるのが精いっぱいから毎日1本ずつ増やす。ただ絶対に自分に負ける時がある。増やせない時は現状維持でも昨日と同じ数をやる。昨日の自分に勝ててはないが負けてもない。自分をあまり攻め込まないのも続けるコツだ。
「カムナのチカ、ケン!」
そんなこんなで今は15本程度は投げれるようになった。
「ヤエ殿~!」
身長190cm近く、色黒、筋骨隆々の蒙武が俺を呼んでいる。
彼はオオヒコ殿、ミワキ様の伯父にあたる人らしい。
ゴリゴリの武人で守り人の副長と勤めている。
オオヒコ 「精が出ますなぁ。さすが美和の長たる人や。」
ゴリゴリの厳つさ。道を歩てれば確実に道を開ける見た目だ。
俺 「どうされました?オオヒコ殿。御宮は放っておいて大丈夫なのですか?シコオ殿も色々忙しいでしょうし。」
オオヒコ 「ははは!大丈夫です。御魂移しが終わるまで守り人全て休みなしにしてやりました。家に帰る暇があるなら鍛えろというております。」
それでか。最近オオミナを見ないと思った。
うーん労働基準法違反だけど断る勇気があるヤツを見てみたい。
俺 「それで何用で?」
オオヒコ 「例の新しい御櫃の絵図ができましたぞ。」
俺 「おーできましか~。」
御櫃(御櫃)とは御魂の入れ物である。今回は件なので長方形の箱で、それに棒を2本をつけて運ぶ。江戸時代の籠みたいに前後2人で担ぐ感じだ。
西洋風に言えばアークあたる。
オオヒコが絵図を広げてくれた。
指示通りの形になっている。担ぎ手の挿絵なんかも入っている。
細部まで書き込まれていて丁寧な仕事だ。
上出来だ。
俺 「良いです!しかも分かりやすい。」
オオヒコ 「ありがとうございます。手間をかけた甲斐があります。生まれて初めて肩がこりました。ははははは!」
俺 「肩こり?」
オオヒコ 「気になる所がどんどん出てきましてな。それで書き加えるとどんどん細かくなりましたわ。はははは!」
凄まじいいギャップ!
この見た目で繊細な絵が描ける!
ゴリラのフィギュアスケーターぐらいの落差!
【人は見かけに寄らない】という言葉はオオヒコさんから生まれました!
俺 「ありがとうございます。これで進めてください!」
オオヒコ 「相分かった!はははは」
時は過ぎて秋口。
「カムナのチカ、ケン!」
「痛っ!」
俺 「すまん!ヒコ、大丈夫か!?」
ヒコ 「大丈夫です。」
俺 「疲れてくると、やはり外すことが多くなるな。まだまだ鍛えないとダメだな。ヒコ、付き合おうてくれるか?」
ヒコ 「もちろん!」
ヒコは少し前に出てきた村の民で「あほぼん」と俺が名を付けていた子だ。
金屋じいさんとこのヒコだ。
最近、練習に付き合ってもらっている。
現在、連続射出数は50本程度。射速も倍とまではいかないがかなり上がっている。
なので練習を第2段階に移行した。
量から質へとシフトチェンジだ。
ノロヰは鈍重と言えども動く。飛んだりもする。
射撃精度を上げる訓練に切り替えている。
ヒコに盾を持ってもらい、そこに目掛けて矢を飛ばす。
霊力量も必要だが、相手の動きを呼んで射出する。
無駄玉が増えれば霊力量の無駄使いに直結する。
これがかなり難しいので最近ダイエットの停滞期ばりに俺の成長速度も停滞中だ。
「ヤエ殿ーーー!」
この声はオオヒコさんだ。
ヒコは初めて見るのかビビっているwww
同じヒコなのにえらい違いだ。
俺 「どうされました?」
オオヒコさんは大きな荷物を抱えていた。
オオヒコ 「できましたぞ。言われていた手槍という者が。」
俺 「できましたか!ありがとうございます。」
ヒコを紹介するのを忘れていた。
俺 「オオヒコ殿、こちらはヒコ。美和の者です。ワシの手伝いをしてもらっております。ヒコ、挨拶をせえ。」
ヒコ 「ひっ!ヒコでございます。ヤエさまの学びのお手伝いをしております。」
オオヒコ 「ワシと似た名前ではないか!よしよしオオヒコじゃよろしく頼む。しかし、ひょろひょろじゃな~。そんな事ではヤエ様のお役に立てんぞ!ワシの所にしばらく来い!鍛えてやる。」
ヒコ 「ひっ!」
俺 「オオヒコ殿、ヒコを盗られてはワシが困りますよ。」
オオヒコ 「そうですな。ははははははは!」
豪放磊落、豪胆、質実剛健。漢字の無い時代だが漢字で表したくなる人だ。
俺 「では見せて頂けますか?」
オオヒコ 「自信作です!」
現在、俺は件を模した鉄製の棒を飛ばしている。
無駄に長い上に重い。
疲れる。的に当たりにくい。
それで纏向には良い職人が多いと聞いたので頼んでみた。
【手槍】だ。
1mサイズの木棒の先に鉄製の大きい目の矢じりを付けたものだ。
これなら軽量化と殺傷能力の維持を両方を達成できる。
俺 「おーーーー!これです。これ!望み通りです。」
オオヒコ 「それは良かった。鉄の部分が今までに無いものでしたので時がかかりました。これで工の者たちも喜びます。」
さすがは国の最高峰の職人という所か。
オオヒコ 「それとこちらも」
練習用に矢じりを鉄から石に替えてもらった者も発注していたのを忘れていた。
俺 「おーーーー!」
これもイメージ通り。矢じりの部分の石になっているが先端が丸くなっている。ヒコがケガをしないようにしたアイデアだ。
しかも綺麗に曲線を描いている。
根気のいる作業だ。
至極、丁寧かつ綺麗な仕事。まさに匠の技だ。
俺 「思うていたものより良いです。さすがですね~。」
オオヒコ 「ありがとうございます。これを50本とはさすがに骨が折れました。また、肩がコリましたぞ。ははははは!」
人は見かけに寄れ!
ゴリラが半導体のロボット並みの仕事するな!
ナノのサイズ感の仕事や!
俺 「ははは…ありがとうございます。本当に助かります。」
オオヒコ 「そう言ってもらえるとコレばかりして役目をほったらかしていた間の下の者たちも救われますな!ははははは!」
この前、御宮の前でオオミナが立ったまま寝ていたのが分かる。
この人の前では逆らえないだろう。
すまぬ。オオミナ、労働基準法が施工されるのは1000年以上後の事だ。我慢してくれ。
その後、この手槍は非常に使いやすく。俺の成長速度の停滞は解消された。
ありがとう、オオミナ、その他の守り人たちよ。
つづく




