08 惚れたもん負け
ミワキ 「外に出たい。ワシが他の国も見たいのじゃ!おもしろそうじゃないか~。」
予想内というか予想の斜め上というか、この人はやはり凡人思考な人間には天才型に見える。
論理的な1番目の理由か、ミワキ様衝動のどちらが先かは分からない。
しかしこれは引き受けざる得ないのであろう。
ミワキ様のカリスマにやられている亀田〇郎たちもイズシのおっちゃんも反対しそうない。いや反対したくても何か協力してしまう力がミマキ様にはある。
こういうのは理論じゃない感情論だ。
感情論は質が悪い。損得思考をぶち破り、例え不条理な物でも受け入れてしまう。
愛とか情とか、惚れた、惹かれる。このフラグが立つと人間は論理的な思考を停止してしまう。
全く厄介な装置を神様は人に仕掛けたものだ。
さて今回の案件、ほぼ決定事項なのだろう。引き受けざる得ないか。
まあ、曳手はミワキ様だとして送手か鎮手だろう。
前回のような、うん〇事変がなければ可能な範囲ではある。
俺 「ミワキ様は置いといて、配置はどうなります?」とシコオさんに尋ねた。
ミワキ「ワシを置いとくとはどういう事じゃ!」
俺 「言い出したら人の話は聞かないでしょ!」
ミワキ 「むっ・・・」
俺 「詳しく聞き、可か否かを決めたいと思います。」
ミワキ 「そうじゃな。それが良い!」
俺 「それで配置の方は?」
シコオ 「今回は鎮手はイズシ様と美和勢に。」
よし。これなら計算が立てやすい。
後はミワキ様と纏向勢に任せておけば良い。
シコオ 「それで送手はミワキ様に。」
おいおい、どした?
予想と違うぞ。
纏向勢にはまだ、曳手を任せられるだけ人材がいるという事か?
流石、国軍というべきか人材が豊富なのだろう。
シコオ 「今回は万全を期して二人で曳手を担います。まずは一人目は我、シコオが担います。」
曳き手の負担が1番大きい為の緩和処置か。
もう一人は纏向勢で固めれば盤石という事になる。
シコオ 「で、曳手のもう一人はヤエ殿にお頼み申します。」
なんでやねん‼
ちゃうちゃう!そこは纏向勢でやろ普通!!と心の中で思う。
シコオ 「先のお働きを見られてミワキ様が是非にと。」
ミワキ 「おヌシなら大丈夫じゃ。」
全く自信がない。微塵もない。ミジンコほどもない。
シコオ 「いかがですか?」
成功へのスキームが全く想像できない。
これは聞いてみるしかないか・・・
俺 「なぜ、ワシなのですか?纏向には人材はいないのですか?」
シコオ 「確かにいなくはないのですが・・・相性の問題です。」
俺 「相性?」
シコオ 「布津様は代々、私の家が祀って参りました。なので私が曳手になるのは理です。ただ、石上に着いた後もすぐに私は鎮めの儀に入らないといけません。極力、力は残しときたい。そこで、ヤエ様なのです。」
俺 「それは分かりました。ワシでいけない理を聞かせてください。」
シコオ 「血です。」
俺 「血?」
シコオ 「血が近ければ、力の色も似ると言われています。私、イズシ殿、ヤエ殿はクニテルヒコ様の血を引いてると言われています。ですからヤエ殿も布津様との相性が高いと思われます。」
この世界の能力は血統が大きな要因という事と、色?特性みたいなものか。
シコオ 「ヤエ殿がやることでノロヰが1柱でも少なくなるかもしれません。また他の血の者が1柱を切る間にヤエ殿なら2柱切れるかもしれないのです。」
俺 「買いかぶり過ぎです。」
シコオ 「買いかぶりでも万に一つが起きれば良いのです。」
そもそも現状のままでも良いではないか。
ミワキ様が自由になったら、他国に攻め入るつもりなのではないか?
野心的な領土拡大は世の常だがわざわざ手を貸す必要かあるか?
俺 「ミワキ様、外の国に行きたいのはなぜですか?」
ミワキ 「さっきも言ったじゃろう外の国を見たいのじゃ。」
俺 「それは攻めるということでしょうか?」
シコオ 「ヤエ殿。礼を失していますぞ。」
俺 「分かっております。ただ、そこを聞かねばワシの腹に収まらないのです。」
自信が全くないのは本心だ。ただ、侵略戦争など必要はない。
トヨ 「外の国から助けの知らせが来ているのです。」
着替えの終わったトヨとナキがコチラに来ていた。
トヨ 「外でもノロヰが出ることがあるそうです。父の力の話が伝わり、外から助けの使いが来ています。父様はそれを何とかしたいとお思いなのです。」
ミワキ 「トヨ。それは秘め事なのじゃ。言うてはいかん。」
トヨ 「ごめんなさい!ただ父様がマコト様とも言い合いになってたのを聞いたので。」
ミワキ 「そうか、分かった。これからは誰にも言うてはならんぞ。」
トヨ 「はい・・・」
ミワキ様は我々の方を向きなおし、全てを語り始めた。
ミワキ 「仕方がない。聞いて通り、外の国から助けの使いが来ている。何もできぬのでマコトが断っておる。ワシはこの国を離れられぬ。なので、守り人だけでも外の国出せぬかとマコトとやり合った。」
シコオ 「それではこの国が危うくなります。」
ミワキ 「それも理じゃ。なので御魂移しを行い、内の事を早く終わらせることでマコトも矛を収めておる。」
そういう事か。
ミワキ様の性格上、他国の事でも頼られれば放っておけないのだろう。
全て合点がいった。
ミワキ 「これはワシとマコトだけの秘め事じゃった。出来るかどうか分からない話を広めてはならぬとマコトが言うもんでな。おヌシらも頼むぞ。」
シコオ 「はい。」
ミワキ 「で、ヤエよ。どうなんじゃ?」
これで断る理由は無くなった。俺が自信がないだけだ。
自信がないなら自信をつけるしかない。
俺 「時をください。」
ミワキ 「・・・分かった。おヌシを待つ。」
ミワキ様と子供達が帰って行った。
子供達は疲れて寝てしまい、ミワキ様とシコオさんにおんぶされて行った。
シコオ 「良かったのですかミワキ様?ヤエ殿がいないと御魂移しがかなり厳しいものになるかと・・・・」
ミワキ 「何を言うておる。ワシは何も案じておらぬ。あれは御魂移しを成り立たせるための道を考える時をくれと言うてるだけじゃ。」
シコオ 「そうなのですか?」
ミワキ 「目を見れば分かる!シコオ、おヌシの目は節穴か?はははは!」
シコオ 「ミワキ様が言うのならそうなのでしょう。」
夜、俺は考え事をしていた。
この御魂移しのタスクを達成するためのスキームを考えている。
問題は漠然と考えても解決しない。
まずは簡易化だ。
なぜ俺は自信がないのか?
①自分の戦闘力に自信がない。
②曳手をやった事がないのでノウハウ、経験値がない。
この2点だと自己分析した。
①に関しては前回の戦闘から皆が予想した実力と自分自身の自己評価の乖離だと思う。もし皆の予想値が合っているなら、このままでもOK。
もし乖離がある場合は俗に言うレベル上げ、特訓を行わないといけない。
どちらにしろ、自分の実力を正当に評価できる人に聞くのが良いかもしれない。
②に関しては経験者や知識者に手ほどきを受けるしか方法がない。
①、②にも人に聞いてみないと分からないという事だ。
さて、そうなるとイズシのおっちゃんになるのか。
あの教え下手な人に聞くのは骨が折れる・・・・
明日にでも聞いてみるか~。
「御魂移しの事か?」
俺 「わっ!!」
シキの兄ちゃんが勝手に家に上がり込んでいた!
俺 「びっくりした!気を消しの止めて。ほんで何で知ってんの?」
シキ 「シキの者は何でも知っている。」
シキの者って何者やねん!
何にでも知っている?・・・・
これは渡りに船。とりあえず色々聞いてみよう。
つづく。
というか、この転生記、ちょっとは面白くなってきてるのだろうか?読者の皆さん。
面白くなければ、俺のこの苦労が救われない。




