04 愚王なのか君は!
篝火がかなり近づいて来た。
「っーーーーーー!」
誰かが叫んでいる。
「みーーーーーーっーーー!」
先元にいるミマキ様だ。
イズシ 「オオミナ、お前が返事せい。」
ここはボリューム設定が馬鹿になっているオオミナが最適だ!
オオミナ「ミマキ様!ーーーーーどうーされまましたーーーー!」
ミマキ 「美和ーーー!聞こえるか!」
オオミナ 「聞こえました!ーーーー」
両者の声が何とか聞こえる距離まで来た。
イズシ 「どうーされました!ーーーー!」
ミマキ 「・・・・うんこがもれるーーーーー!」
???????????
ミマキ 「美和ーーー!少し任せた!」
そう言って、田んぼの中にミマキ様が消えて行った。
・・・・馬鹿なの?
うんこって・・・
両陣営ともに「?」が消えない。
消えないまま合流してしまった。
イズシ 「まあ良い!早く纏向に戻るぞ!」
まあ生理現象だから仕方がないが何とも未来の古墳王になる男は俺には判断が付きにくい。本当に馬鹿なのかもしれない。
イズシ 「ヤエ!急げ!何が起こるか分からん!」
普段は冷静なおっちゃんが焦っている様子が目に見えて分かった。
だが、纏向はもうすぐそこだ。
「出たー!」
後方の曳手側から聞こえた。
そこには恐怖の感情と明らかな混乱の混じった声だった。
イズシ 「間に合わんかった。」
おっちゃんの落胆の表情はしばらく記憶に残りそうなくらい悲壮さだった。
イズシ 「オオミナ後手に行け!」
オオミナ 「はい!」
イズシ 「ヤエ!お前も行け!オオミナに付いていけ!」
俺 「分かった。」
イズシ 「ヌのチカラで何とかなる!」
これは大丈夫か?
戦闘未経験、敵も未確認。平和ボケ日本の異世界転生者だぞ俺は!
見よう見まねの形と良く分からん呪文を覚えただけの俺で大丈夫だろうか?
逃げちゃダメだ!逃げちゃダメだ!と唱えても勇気が出てこない。
トレーニングモード的なものから始めさせて頂きたい。
が、行くしかない。
オオミナ 「ヤエ!」
俺 「ぉっおー!」
二人で後手に回り込む。足が震えるとまではいかないが地に足が付いてない。
視界が狭い。後ろが遠い。体が浮いている。
だが、すぐに後ろに付いてしまう。
「うぁーーーーー!」
悲鳴?怒号?とにかくうるさい。
俺 「何だあれ。」
人型の何かが暴れている・・・・
妖怪?鬼?
とにかく気味が悪い。
結構な数がいる。
オオミナ 「ヤエー!行ったぞーーーー!」
これがノロヰか・・・・
180cmくらいの巨漢の男だ。
青白く、昔見た妖怪の絵本から出てきたようだ。
ビビってる・・・・足も手も震えている・・・・・・
腰を落とせ。腹から息を吐け。
誰かに聞いた知識だが、少し腹が座り雑念が消えた。
ただ、相手を見る。
ノロヰは武器を持っていない。
こちらが有利だ。
知能は低そうだ。単なる直線的な攻撃ならカウンターで薙ぎ払えば良い・・・・
オオミナ 「来るぞ!ヤエー!」
ノロヰが直線的に突っ込んできた。
初手をかわしてカウンターだ。
こいつら恐怖はないのか?
何もなく直線的に近寄ってくる。
右手を挙げた。
大振りの攻撃だ。
【かわせ!】
「くっ・・・」
完全にビビッてしまった。
モロに初手を正面から受けてしまった。
ノロヰの右手の攻撃を剣で受けてしまった。
向こうには左手もある。
【逃げろ!】
左手の攻撃が来た。食らってもいいから後ろに飛んだ。
「ぐっ・・・・」
右手でガードはしたが腹部に打撃を食らってしまった・・・・
「痛ったっ・・・・」
転生しても、現実は現実。
殴られたら痛いし、切られれば死ぬ・・・・
腹が決まめるしかない。
イズシのおっちゃんの言葉を思い出す。
【ヌのチカラ】
どうなるか分からん。
が、覚悟は出来ている。
腰を落とし、息を吐いた。
【カムナのチカ・・・・】
剣を見た。
力が伝わる。
ノロヰの第2撃が来る。
大振りのオーバースロー。
横に薙ぎ払え。
【ヌン!】
これはすごい!破壊力抜群だ。
ノロヰが胴から真っ二つだ。
野球の芯を食う感じ。
球技全般のボールに対して真芯をくう感じだ。何も感触はなかった。
アニメ化の際には黄色い羽織で黄色のおかっぱ風の演出でお願いしたい。
話がそれた。
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オオミナ 「ヤエー!大丈夫かー?!」
さすがはゴリゴリの戦士系のオオミナはノロヰをバッタバッタと倒している。
俺 「大丈夫だー!」
シコオさんの言う通り数が多い・・・
美和勢、ミマキ勢ともに乱戦状態だ。
戦闘初心者だがここで離脱する訳にはいかない。
参戦するしかないようだ。
剣を握り直し駆けてゆく。
発動したこの力は本当にすごい。ブロックされようが関係なしに豆腐のようにノロヰを切れる。これは何とかなりそうだ。
向かってくるノロヰを何体か切ってみて実感だ。
俺 「オオミナー!そちらは持ちそうか!」
オオミナ 「大丈夫だー!」
オオミナを見てみてみると血だるまだった・・・
俺 「あほかー!血だるまやんけ!」
オオミナ 「返り血や!大丈夫や!」
オオミナが仮に戦線を維持できれば、何とかなるかもしれない。
ノロヰの動きにも慣れてきた。動き自体は鈍重だ。
この能力を使えば確実に数を減らせる。
纏向まで持てば良い。
【ヌン!】
もう10体くらいは切ったか・・・・
戦闘初体験で良くやっているのではないだろうか。
ノロヰのからの攻撃が一瞬、今俺がいる後方から前方を見た。
纏向だ。
50mもない所に纏向の宮が見えた。
これは何とかやり過ごせると安堵した。
俺 「オオミナー!もうす」
「イズシ様ーーーー!!」
前方から騒めきと共に叫び声が聞こえた。
何かが起きた。
このまま後方にしてもジリ貧になる可能性が高い。
前方に行き事態を把握しなければいけない。
俺 「オオミナー!任せた!」
返事も聞かずに駆けだした。
前方に付き、辺りを確認した。
守り人達がさらに前方に向かって叫んでいる。
もう巻向なはずだ。
だか、そこには巻向の前に大量発生したノロヰがいた。
その中央には単騎で乗り込んだイズシのおっちゃんがいた。
横陣に並んでいるノロヰを突破するには中央突破が常道だ。
近くにいた者に事の起こりを聞いてみた。
「真ん中にワシが突っ込むから空いたら付いてこい」とイズシのおっちゃんは言ったそうだ。
何と説明の足りない指示か。
これでは兵は狼狽えるに決まっている。
しかも単騎で中央を開けるのは無茶が過ぎる。
ここは指示を明確にして、行動の単純化を行うしかない。
俺「聞けー!美和!春日の者たちー!」
隊列の先頭で叫んだ。
俺 「これよりワシもノロヰを倒しに行く!ワシが初めのノロヰ切ってから十数えよ!
その間に、このヤエとイズシとで真ん中を開ける!ヌシらは美和を先頭に突っ込んでこい!」
兵達にはまだ動揺と疑心が混ざっている・・・
俺 「これしきの事、できぬ者はここにおらん!ワシはそう思ておる!自らを信じられん者はワシを信じよ!ワシは美和の主ヤエである!」
「ぅおおおおーっ!」
地鳴りのような絶叫だった。
これで士気と秩序が戻った。後は実行あるのみ。
ノロヰの中央付近、イズシのおっちゃんの獅子奮迅の戦いもあって手薄にはなっている。
最初の10秒で3体は切る。
鈍重なノロヰに対してなら可能な範囲。
それで一瞬だが向こう側の宮中が見える。
この見えるか見えないかで圧倒的に結果が違う。
人間は見えている目標には向かえる。
見えてない目標には向かおうともしない。
後はその小さな穴を後ろの兵達がが追いついてくるまで維持する。トータルで早ければ30秒、最悪でも1分の間持たせれば何とかなる。
ノロヰの壁に接近する。
【カムナのチカ】
再び力を充填する。
ここが勝負の時だ。
【ヌン!】
一体を逆袈裟で切った後、そのまま反動を利用する。
【ヌン!】
よし!2体目を横薙ぎで斬り払う。
【ヌン!】
そのまま、横のノロヰも勢いを利用して切った。
「みっつ!」
兵隊が数えてる。。。
かまっている余裕はない。
考えるな。
見るな。
動きの流れを止めるな。
【ヌン!】
「5つ、6つ---!」
ノロヰを切る最速かつ最短の剣筋を想像しろ。
【ヌン!】
「七つ、八つ!九つ!」
最後。これで最奥のノロヰを切れる。
ただ素直に體を動かせ。
【ヌン!】
「十ー!」
自然と体が叫んだ。
俺「今だーーー!」
「うぉーーーー!!」
一気に兵達が駆け出してきた。
俺 「おっちゃん!」
イズシ 「ヤエ!よう、やった。何とかなるぞ!」
これで何とか持ちこたえれる。
これで皆も無事だ。
無理はしたが何とかはなった…
【レン!】
球体が現れ、ノロヰを次々と呑み込んでいく。
何だこれは?
つづく




