03 古墳王に俺はなる!
ミマキ様は見た目は20歳前後か?
黒髪を後ろで結び、精悍な出で立ちだ。
だがアホウかもしれない。
イズシ 「それはどのような理由で?」
ミマキ 「ジジ様に聞いたことがある。昔はるか東の方では山の様に大きなミササギを建てる奴らがいたらしい。だからじゃ!」
イズシ 「?・・・・それが理由で?」
ミマキ 「デカいの偉いんじゃ!ワシが死んでもワシは凄いと皆が思う!」
イズシ 「左様でございますか・・・・」
ミマキ 「これは君としての決定じゃ!」
おっちゃんがペースにハメられている。何だろうこの雰囲気。
子供が言うてるんだから聞いてあげようと思う感じ・・・
イズシ 「ミササギの件は分かりました。ですがノロヰの件は心配でならないのですが。」
ミマキ 「美和も手伝ってくれるのじゃろ?」
イズシ 「それはもちろん。」
ミマキ 「じゃあ、安心じゃ。美和は強いからの~。」
イズシ 「ありがたいお言葉です。」
ミマキ 「それにワシは強いから、さらに大丈夫じゃ。イズシ。」
イズシ 「それは分かっております。」
ミマキ 「誰もやった事がないことは皆心配じゃ。それはよく分かる。でもな、マコトが言ったように便利になるんじゃ。ワシは美和が手伝ってくれればできると思っている。イズシよ。ワシに力を貸してくれんか?」
イズシ 「・・・分かりました。ミマキ様がお願いされたらしょうがありませんな。」
ミマキ 「よし!これで良いな。皆の者!」
「おーー!」
皆が返事した。
これはあれだな。人たらし、カリスマ、熱い思い・・・色々あるが・・・
少年ジャ〇プの主人公だ。
海賊の王を目指してる子だ。
モンキーだな。
イズシのおっちゃん、そして亀田〇郎達の心を一瞬で掴んだ。
こういうのに弱い人たちの集まりだな。
熱い男の物語。絆、友情、義理人情ってやつに圧倒的に弱い。
俺は現代人だからか冷めた目で見てしまう。
ミマキ 「あ~、それともう纏向に人を行かせてるぞ。ミササギを早く作りたいからな。」
それで春日までの道に人が多かったのか・・・・
彼は古墳王になる男だな。
そんな感じで帰りの際、ミマキ様より声を掛けられた。
ミマキ 「ヌシがヤエか?」
俺 「はい。」
ミマキ 「強いのか?」
俺 「は?」
イズシ 「お浚いを始める所です。 」
ミマキ 「そうか。頑張れ!」
俺 「ありがとうございます。」
お浚い ?何だそれ。
帰路の途中おっちゃんに聞いてみたが「明日には分かる。」で終了だった。
まあ色々あったが無事終了ということか。
次の朝、お祓いの後にお浚いが始まった。
と言ってもお浚いが何かは分かっていない。
ただ、イズシのおっちゃんがやる形を真似るだけだ。
形を見て「やってみよ」と言われて、その形を真似る。
見取り稽古のようなものだ。
その日から毎日、色々な形をお浚った。
ただ、なぜかすいすいと覚えられた。
転生後の俺は記憶力が驚異的にアップしたのかもしれない。
途中から呪文のようなものを教えられた。
これが厄介だった。
俺の記憶力はアップしてなかった。
勘違いだった。
何よりこの時代には文字がない。
という事はメモする道具がない。
スマホなんか当然ない。
これはどうしたものかと思い、解決策を探った。
火を熾した後の炭は使えるかと思ったが、紙がない。
単純に木を彫るしかないと考えた。
ただ、彫るものが良いのがない。
この時代、鉄器はあるが農作業用だ。筆記用具としては向いてない。
蔵を探して見ると小さな棒状の鉄があった。
これは使える!
「そそるぜ。これは!」
古代のクラフトの開始だ。
石に小さな鉄棒をこすり付けて先端を尖らせてみる。
これぞマンパワーだ。
全く削れなかった。
無駄だった。
俺は心が折れた。
でもメモをしなければ覚えられない。
無理やり、削れていない鉄棒で聞いたを彫ってみた。
「か・・む・・・な・・・の・・・ち・・・・」
ゴリゴリの力技でやってみた。
手がつった・・・・
これは非効率的過ぎる。他の方法を考えてみた。
どうやったら先を尖らせる事ができるだろう・・・・
全く突破口が思いつかない。
「う~ん・・・」
思うわず唸ってしまう。
とその時。
「カランカラン」
足元で音がなった。
あわてて下を見てみた。
そこには鉄棒があった。
悩み事に集中して鉄棒を落としてしまったかと思ったが、右手には鉄棒を持ったいた。元から落ちていたものを蹴ってしまい音がなったのかもしれない。
しゃがんで拾ってみた・・・・
先が尖っっていた!
何このラッキーは!ついてるぞ。持ってるぞ俺。
この偶然に感謝を。
早速、聞いたを彫ってみるとサクサク彫れた。
その後は教えられた事をひたすら彫るという作業を重ねた。暇な時に予習復習ができた。やはり文字というのは偉大なる発明という事を実感できる毎日を過ごした。
何日経っただろうか。こっちの時代にはまだ暦はない。転生前の体感なら2~3ヶ月くらいだと思う。そして、その時が来た。御宮の引っ越しだ。
知らぬ間に纏向には新しい宮が完成していた。
「ヤエー!」
あいつの音量設定にはミュートとMAXしかない。オオミナだ。
俺 「うーるーさいっ!」
オオミナ 「明日の説明をしてこいと父に言われた。ヌシは宮移しについて何もしらんやろ。」
俺のうるさいは既聴スルーだ。
オオミナ 「ワシらは鎮手や。巻向にて御魂を待つ。曳手が到着と同時に新しい宮に御魂を移し、御魂の鎮めの儀が終わるまで守りをする。」
オオミナの説明は色々すっ飛ばしているで解説をする。
宮移し、厳密には今回は神移しには順番と役割があるらしい。
まず、春日から御魂を安全に持ち出す班を【送手オクリテ】。
それを巻向まで運んでくる班を【曳手ヒキテ】。
そして、それを巻向に御魂が鎮められるまで護衛するのが【鎮手シズメテ】。
ちなみに御魂とは神様が眠っておられる依代となる何かである。たぶん、歴史好きの予想では鏡や剣の部類だと思う。
送手と曳手は春日勢が担当し、鎮手は美和勢となる布陣だ。
春日を今日の夜に出発し、明日の明朝までにこちらに到着する予定となっている。なぜ夜なのかは俺も良くは分からない。
オオミナ 「ヤエ、戦となればワシに任せとけ!」
ゴッゴゴゴゴ〜と聞こえるぐらいやる気とオーラを出している。
これは死亡フラグだな。と言いたいがこの時代にそんな言葉はない。
俺 「焦って、我を見失って溝に落ちて気を失って終わる。お前なんぞ、そんなもんや。」
オオミナ 「何ー!」
俺 「ほら、我を見失った!」
オオミナ 「何ー!」
俺 「はい、言い返されへん!」
オオミナ 「何ー!」
俺 「何しか言ってない!」
オオミナ 「何ー!」
俺 「よし!いつも通りや。気負うなオオミナ。いつも以上はするな。そこには無理が出る。いつも通りでも美和の暇人は強いんやろ。」
オオミナ 「分かった。お前はたまに良いことを言う。」
俺 「それもいつも通りや。」
「はははははは」
2人で笑った。
2人共リラックスできた。
さて、いよいよ御魂移しの開始だ。
そして深夜、篝火が焚かれた美和付近はほのかに明るい。
時間的にはそろそろだ。
イズシのおっちゃん、オオミナもさすがに緊張から瞳孔が開ききっている。
俺も瞳孔が開いてそうだが確認できない。
ミナ 「父、ヤエさま。白湯が入れましたが如何ですか?」
イズシ 「お~ミナ。ありがとう。」
俺 「童はもう寝る時間ですよ。」
ミナ 「童ちゃいます!白湯あげへんで。」
俺 「ごめん。ごめん。頂きます。」
オオミナ 「ワシのは?」
ミナ 「・・・・・・うとうとして忘れてました。。。」
俺 「やっぱ童やん!」
ミナ 「う~・・・・・」
本当のド天然が発生中だ。
俺 「館に戻って寝とけ。イズシには俺のを半分やるから。早く寝ろ。」
ミナ 「分かりました!戻ります!」
なぜか逆ギレをかまされた。
「イズシ様!ミワキ様から使いが来ました。」
そろそろ到着するとの知らせかだと思い、使いを待った。
イズシ 「曳手は今どのへんにおる?」
使い 「もうそろそろ篝火が見えてくるかと思います。ミマキ様か急ぎ美和勢は迎えに来いとのことです。」
イズシ 「何があった!」
使い 「分かりませんが、ミマキ様は顔が真っ青でございます。何か体にが起こったのかもしれません。何卒、急ぎお立ちくださいますか?」
イズシ 「相分かった。すぐ出る。」
確かに、春日から纏向は遠い。何かしら問題が起こったとしても不思議ではない。
美和勢は急ぎ出立の準備を整え、纏向を出た。
すぐに遠くに篝火が見えてきた。
次回、この転生物語もそろそろ面白くなるかもしれません。
ミマキ様がピンチで俺がそれを助ける的な・・・・・
自信はない。
つづく。




