第23話:沈黙の自動要塞(旧軍総司令部・前編)
「……ここですか。旧北米区における軍事的最高中枢、旧軍地下総司令部の入口は」
荒野の崖に穿たれた、巨大な鋼鉄の装甲扉。
その周囲には、銀河観光公社の大型重機が乗り捨てられており、無残に破壊された発掘用ドリルや掘削網が散乱していた。
「……おいナビ。アストラの奴が言ってたのはこれのことか?」
ボルトが重機の残骸を足で突きながら、警戒するようにカメラアイを光らせた。
「ええ。本社が評価の捏造(★5化)と観光開発のために強行採掘を行った結果、要塞の旧式メインフレームを誤作動させ、防衛システムを覚醒させてしまったようです」
「わあー! でっかい扉〜! パッチが穴あけてあげようか〜?」
「パッチさん、待ちなさい。下手に刺激すれば――」
ガコーーーーーンッッ!!!!
僕の制止よりも早く、重厚な装甲扉が地鳴りのような響きとともに背後で固く閉ざされた。
プシュー……! 警告:防衛レベルMAX。外敵ノ侵入ヲ検知。全区画ヲ完全封鎖シマス。
赤黒い警告灯が地下大空洞を一斉に染め上げ、幾重にも重なる防煙壁が落下して脱出路を遮断する。
「チッ……! 退路を塞ぎやがったか!」
ボルトが拳を扉へ叩きつけたが、分厚い特殊複合装甲はビクともしない。
「無駄ですボルトさん。この施設は旧時代、核攻撃にも耐えうる遮蔽設計が施されています。脱出するには、最奥部にあるメインフレームを停止させる以外にありません」
「ハッ、言うのは簡単だがな……」
ウィーーン……ガシャン! ガシャン!
通路の闇の奥から、無限軌道の駆動音と、無数の重火器の充填音が響き渡る。
本社の掘削によって覚醒した、数百年分の自動防衛兵器群――重装甲ドローンや四足歩行型の自動砲台が、赤いセンサーを怪しく光らせて姿を現した。
『侵入者ニ告グ。直チニ武装ヲ解除シ、消滅セヨ』
「ハッ……消滅しろだと? 機械生命体に向かってハッキリ言ってくれるじゃねえか」
ボルトが胸のファンを激しく回転させ、赤いカメラアイをギラリと光らせた。両拳の油圧シリンダーが『ギチギチ』と重い雄叫びを上げる。
「おいナビ、パッチ。メインフレームの場所まで俺が道をこじ開ける。後ろからついてきやがれ!」
「ボルトカッコいい〜! パッチも突撃〜!」
「……やれやれ。計画性のない強行突破ですが、背に腹は代えられませんね」
僕はバイザーの照準補正を最高精度に引き上げ、端末を戦闘支援モードに切り替えた。
「行きますよ! 愚かな本社の残した負の遺産を、停止させに!」
ドドドドドッ!! バキバキバキッ!!
激しい砲火と火花が散る中、僕たち3体は暴走する要塞の深部へと躍り出た。
(第23話・終わり)




