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カエデ  作者: アザレア
王都の近衛
64/86

ディーナの過去~隠れ家~

ディーナが軍に入隊してから約半年が経った。元々の身体能力と高さや人を惹きつけるカリスマ性はこの頃から持ち合わせていた。そのため、軍に加わる軍人達からの評価はかなり高くハオウだけではなくディーナにも訓練を教わる日々が続いた。

ハオウもディーナの才能を認め、"リンドウ"軍隊の副隊長と任命された。


短期間での活躍が相当に評価した結果だとハオウは言っていたが、それは紛れもない事実だった。

あの時のディーナの言葉通りハオウの背中を守りハオウを最前線で戦い続けるように援護したり、危険に晒された軍人もすぐさま助けに行く等、ハオウだけではなく全体を見通す動きを見せていた。実際ディーナが軍に入ってからの生存率はかなり高くなっていた。


これらの事を踏まえれば副隊長に任命されるのも納得の活躍だった。ディーナは最初は任命されたことに少し嫌がっていた。どうにも人の上に立つのは苦手だったらしいが他の隊員達の後押しもあり今では副隊長としての任を全うしていた。


そして、ハオウとの訓練の成果は…


----------


軍人達の訓練が終わり各々好きな時間を過ごす夜。ディーナとハオウの二人はとある場所に居た。


最初に訓練を行ったコンテナが積まれた場所で二人はナイフを交えて交戦と言うなの訓練をしていた。

ナイフ同士のせめぎ合い、刃があたる音が辺りを響いていた。


両者とも一進一退の攻防戦に末、お互いが首元にナイフの刃を突き付けた。

突き付けられたナイフを見てハオウは少しほくそ笑んだ後にディーナの首元からナイフを離して逆手に持ったナイフを手の内で回した後に鞘に納めた。

ディーナも肩に固定してあるように装着した鞘にナイフを納めた。


「まさかここまでやるとはな。私にナイフを突き付けることが出来るのは私の癖を知っているお前ぐらいしか出来ないだろうな」目を閉じて満足気な表情のハオウ。

自分と同等の実力に成長したディーナ。元々の身体能力の高さではあったがそれでも半年でハオウとほぼ対等に戦えるのは驚きと喜びがあった。


「いいえ、近接戦で実践の経験では貴方の足元にも及ばないから。それでもまぁ、なんとか形にはなってきているかなって」ディーナも半年前に比べれば自分でも分かるほど成長していた。身体的にもだが一番は心だった。あんなにお金が欲しかった自分がそんな欲はほとんど無くなっていた。

ここにいる間は給料が支払われて、お金の工面では困ることは無かった。軍の食糧等は報酬で賄えてディーナが自分で金を使うことはほぼ無かった。

仲間と一緒にいれる時間、それだけでディーナは充分だった。


「さて、明日も訓練がある。今日はここまでにするか」「そうね、でもその前に…」ディーナはどこからともなく一升瓶に入った酒を取り出した。

「一杯どう?少しは落ち着いてるんだから、気を抜く時間は必要よ」一度ディーナはハオウと語り合いたいと思い訓練が落ち着いた今日に決めていた。


「酒か、しばらく飲んでいなかったな。お前の訓練をもう終える所だからな、いいだろう。一杯付き合ってやる」ハオウも一息つくために酒を飲むことにした。


「お前はまだ未成年だろ。酒を飲むつもりだったのか?」「いやさすがに私は炭酸水で我慢するよ、本当はちょっと飲みたいけど…」「飲んだ瞬間、分かるだろ?」「それは、もちろんです」


----------


ディーナとハオウは空いている部屋に入り二人きりでハオウは晩酌をして、ディーナは炭酸水を飲んでいた。


酒の入ったグラスを一口飲んだ後にハオウはグラスを見ながら「こうして誰かと酒を飲むなんて、初めてかもしれんな。だが、悪くない」目を閉じて少し微笑んだ。

「私がもうちょっと成長してから飲みたかったけど、こればかりは仕方ない事ね」「気にするな、いずれ共に飲むこともある」


他愛のない雑談をしながらお互いグラスに入った飲み物を飲んでいるとここでディーナが「ねえ、ハオウってどうしてそんなに弱い人を守ろうとするの?」

突然の質問にハオウはグラスをテーブルに置いて「何をそんな当然のことを聞く?力ある者が弱者を守るのは当たり前だろ」「それはそうなんだけどね。ただそのきっかけを知りたいと思ってね。その気持ちは、どこから生まれたのか気になっちゃったから」


ハオウのルーツを聞こうとしていたディーナ。すると、ハオウは再びグラスを手に取り酒を一気に飲み干すと「酒の勢いで話すと思ったか?悪いが私は酒にかなり強いんだ」余裕の笑みを浮かべるハオウ。

「別にそんなつもりで誘った訳じゃないんだけどね」ただ純粋に一度ハオウと飲みたいと思っただけだったディーナ。そこに何も邪な気持ち等は無かった。


「…私は生まれはただの一般家庭だった。母や周りの人は平凡な属性だった。ただ、私の属性は特殊。この目には他者とは見えるものが違うものだった」グラスを置いたハオウは右目を添えるように指先で触った。


「貴方の属性、闇属性よね。闇属性の中でも目に干渉する属性は初めて見たわね。属性を発動させると、見た生物の急所がどこあるかがピンポイントで分かる。その箇所をナイフで突き刺したらそれは"マリー"ですら致命の一撃、一発逆転も狙える闇属性ね」

ハオウの属性、闇属性。その能力は属性が発動している間、生物であれば急所、致命を与えられる場所が分かると言うかなり変わった属性を持っている。闇属性の中でも目に干渉するような闇属性は前例事態あるがかなり稀なケースである。中でも戦闘に特化しているこの属性を持つハオウは唯一無二と言っても過言ではない。


「だがそれだけだ。身体的な力が増幅される訳でも、お前のような炎や水が出せる訳でもない。それ以外は全て鍛え無ければ何もなさない」弱点が見える属性と言えば聞こえはいいが、他の属性を持つ"リンドウ"と比べれば直接的な攻撃が出来る訳でも、飛躍的に身体能力が上げられる訳では無いため、扱うには自身の力や経験が必要になってくる。


「それでも扱えるのは貴方の今まで積み重ねてきた訓練と経験があるからでしょ?普通ならその属性を持っていても大半は宝の持ち腐れみたいなものよ」仮に一般人がこの属性を持ったとしても凶暴な"マリー"の急所が分かった所で何も出来ないのが普通である。


ハオウは指先で触れていた目から離して「私もその一人になっていたかもしれない。"リンドウ"になるにはあまりにも遠過ぎる道だったからな。子供の時の私も"マリー"と言う存在に恐れ、ただ"リンドウ"が守ってくれるもの。"リンドウ"なら安全。そう思っていた」


すると、ハオウは上の空を見た。「平凡に暮らしていた私だったが、あの日全てが変わった。

私が暮らす町に"マリー"の襲撃があった。奴らは全てを奪って行った。私が住む家、私の友人、私が通っていた学校…数えればキリがない。駆けつけた"リンドウ"ですら"マリー"の餌食になってしまった」

「"リンドウ"…も?」その言葉に驚きを隠せなかった。


「"リンドウ"が殺される瞬間を目の当たりにした時分かったさ、"リンドウ"も人間だってことを。安全なんてどこにも無かった。

飛び交う悲鳴、血に塗れる町に私は何も出来なかった。ただ呆然と立ち尽くした私だった。だが私の目の前に襲われる直後の幼子がいた。数秒後に奪われる命、それだけだったが無意識に私の中の属性を発動していた」ハオウは上の空から顔を下げて目を閉じ当時のことを思い出していた。


「目に見えたのは"マリー"の弱点が光る箇所だった。初めて"マリー"を属性で見たがあそこまで的確に見えたのは驚きだったさ。

光る箇所さえなんとかすれば"マリー"を倒せる。そう思っていた時、偶然足元に"リンドウ"が扱っていたナイフがあった。すぐにそれを手に取り幼子を助けようとしたが…時は待ってくれなかった。

私が走った頃には幼子は殺されていた。喪失感や自分に対しての失望、同時に巻き起こった感情だったが、それよりも怒りが込み上がった。

気がつけば"マリー"は倒れ伏せ、手に持つナイフにはおびただしい黒い血が付着していた。私が初めて"マリー"を討伐した瞬間だった。だが達成感や喜びではなく、目の前にいた幼子を守れなかった不甲斐なさに自然と涙が零れたさ」ハオウは目を開けて鞘に納めてあったナイフを手に取りキラリと輝く刃をその眼に映した。


「その後はなんとか襲撃から逃げ生き延びた私だった。全てを失った私だったが分かった事もあった。私の属性でも"マリー"を討伐出来ることが。そして、ただ逃げ惑う事しか出来ない弱者を助けることが出来るんだと。

そのためにこの属性が私に与えられた。弱きを守るためにあるんだなと。その後、過酷な訓練を積んだ私はこの軍を創設した。私と同じ気持ちの者達が集えばまた強くなれる…まぁこんな所か」

話を終えたハオウはナイフを手の内で何度か回した後に鞘に納めた。


その後、ディーナの感想も聞かずに立ち上がり「私はそろそろ寝る。明日も訓練があるからな、お前も夜更かしをして起きられない真似はするなよ」「あ、ちょっとハオウ…」何かを伝える前にその場を去ったハオウ。


一人になったディーナはハオウの過去を聞いた後にこんな独り言を呟いた。

「でもそっか、ハオウも昔から強くは無かったんだね。誰にしも壮絶な過去がある、だからハオウやここにいる皆は強くなっている。それは当たり前の事じゃない。私もその覚悟が持てる日が来るのかな…そう言えば私ってなんでこんなお金が欲しいって思ったんだろ…?」

ディーナもハオウと同じように上の空を見て思い出そうとしていたが「…まぁいっか。別に今が楽しければそれでいいし。それじゃ私も寝ようかな。寝坊厳禁だけはどうにかならないかな」思い出すことが出来ないまま自分の部屋に戻った。その後も思い出すことは出来なかった。


----------


ハオウの過去を聞いてから数日後、いつも通り訓練に育む軍人達。ディーナは軍人達のもう一人の教官のような立ち位置になっておりメインの銃の扱いを教えていた。


すると、ハオウが突然「集合!」と、言ってその場にいた全員を集めた。訓練の最中に集結させるのはかなり稀であるため、軍人達は少し戸惑いつつもハオウの目の前に集まった。

ディーナは初めての経験だったために何をするかは分からないためとりあえずハオウの隣に立った。


全員がハオウの元に集まったことを確認すると「集まったな。先程ある依頼が我が軍に入った。依頼内容はある大型"マリー"が一つの国に襲撃一歩手前との事だ。依頼主である国長は一刻を争う事態である、早急に対処してくれとの事だ。国からの依頼、私達"リンドウ"軍隊の実力を示す絶好の機会だ。第一部隊、第二部隊は私達と共に来い。

これより現場に向かう、至急準備を済ませよ」

突然の依頼だったが軍人達は冷静に敬礼して「ハっ!」と掛け声と共に支度を始めた。


一斉にまとめあげたハオウにディーナは近づいて「何その依頼?そういうのって本来"リンドウ"協会に直接来るものなんじゃないの?」

国からの要請依頼は普通なら"リンドウ"協会に行く。協会であらば"マリー"の特徴から推測し、適切な"リンドウ"を送るのが自然の流れである。

しかし話を聞く限りでは協会を通している訳ではなく軍隊に直接依頼が来ているようだった。そもそも"リンドウ"軍隊の知名度は本当の物好きしか知られていない程である。

そんな中で依頼が直接さらに国からの救援要請、少し疑問を抱いてしまってもおかしくない依頼である。


国からの依頼がどれだけ緊急性が高いのかはディーナ自身がよく知っている。"リンドウ"協会に所属するディーナも国絡みの依頼は受けたことが無かった(これはヴァレアが実力は確かにあり"マリー"との相性も基本的に良いディーナだが金銭面での問題が国になってくると想像に難しい事はないためヴァレアがディーナには国の依頼を託さなかった)。


ハオウは依頼文を読み直しながら「…見過ごす訳にはいかないだろう。どんな理由であれ、弱きを守る。それが国なら尚更だ。言いたいことは分かるが、今は無駄口を叩く暇ではない」と、言ってハオウはディーナの方は向かずに現場に向かう準備を始めた。


「まぁ、納得は出来ていないだろうね。出来るわけがないんだけどね…とりあえず私も準備しよっかな」多少はハオウも文句を言いたいことはあるだろうが、あくまで人を助ける事を優先する彼女。ある程度は気持ちを理解しながらもディーナも支度を始めた。


----------


軍に依頼を送った国へと向かったディーナとハオウ。武装をした軍人達を国に入れば市民に不安を与えてしまうと考えたハオウは先に軍隊を大型"マリー"がいた場所に派遣させ、バリケードや戦闘準備を進ませていた。


軍に要請した国長に挨拶をした後にディーナとハオウも現場に向かうことにしていた。

二人の前にしていたのはブランド物を大量に身につけ、緊急事態でありながらもニヤニヤとしていた国長の女性だった。


「すまんな、急遽呼び出してしまい。"リンドウ"軍隊なんて聞いたこともない田舎者だったが早急なら所はまぁまぁだった。さっさと"マリー"を始末してくれんか?あんな奴が周りにウロウロされて周辺が汚れて仕方ない」

どこか人を見下しながら、"リンドウ"軍隊を馬鹿にするような言い方をする女性。


ディーナは自分達が馬鹿にされていると感じて何か反論をしようとしていたが、国長の女性に見られないようにハオウはディーナを手で制止させ「こちらも出来ることは最大限やります。吉報もお待ちいただければと思います」

一切表情を変えず、女性と話すハオウ。


「だったら早くしろ。守るのがお前達の役目だろ?お前達のような世に知られていない軍隊を呼んだんだ。感謝しろよ、名を挙げる絶好の機会を与えてやっているんだから」

ディーナは我慢の限界が近づいてきており、女性の目の前で何かを言ってやろうとしたがそれでもハオウに「よせ」と、小さな声で止められた。


「では、私達も向かいます。お待ちください」ディーナは気がついていた。ハオウも自分と同じ気持ちになっているがそれをじっと堪えているんだと。


ハオウは女性から振り返って現場に向かおうと歩いた。ディーナもハオウに続いて女性を少し睨みつけた後に振り返り向かおうとした時だった。

「二人もいらんだろ、お前はここにいろ」突然の事にディーナは「えっ…」と、反応出来なかったディーナ。


「一人はここに残り国を守れ。安全性も何も分からん奴ら共に信用するなんて無理に決まってるだろ?お前は"リンドウ"としてそれなりに力を確か持っていると知っている。だったらこいつらが何かあった時、守れるのはお前だけ。だから残れ。私を守れ」ディーナは"リンドウ"としての知名度はあったため、まだ信用出来ると判断した国長はディーナだけここに残れと言った。


あまりにも身勝手過ぎる発言に堪忍袋の緒が切れたディーナは女性に向かい「貴方ね!いい加減に…!!」と怒鳴ろうとした時「分かりました。ディーナはここにおらせます」と、言ってハオウは歩を止めずに歩いていった。


「え、ちょ、ハオウ!」急いでハオウの後を追ったディーナ。国長に聞こえない程の廊下まで歩いたハオウ。追いついたディーナは「ねえ、どうして私を…」理由を聞こうとしたその時ハオウは廊下の壁を力いっぱい叩いた。

その衝撃は壁が少しひび割れるほどの威力だった。


驚くディーナにハオウは「私が馬鹿にされるのならいいが共に戦う軍を馬鹿にされるのだけは許さない。ディーナ、待っていろ。私達だけで証明してみせるさ、必ずな」その怒りはフツフツと湧いていたハオウは怒りを"マリー"に全てぶつけるつもりだった。


ディーナには一度も振り返ることなく再び歩を進めるハオウ。その威圧にディーナは何も言えずにただ進んでいく背を見守るしか無かったが「ハオウ…大丈夫、なの?」冷静沈着のハオウが初めて取り乱す姿を見たディーナはどこか違和感を覚えてしまった。


----------


ディーナは言われた通り国でハオウ達の帰りを待ったが一向に連絡も何も無く時が過ぎるだけだった。

一応は国長を守るために国長がいる部屋でただ座って待ったが吉報が無い状況でイライラが募るばかりだった。

「ハオウ…皆…お願い、無事に帰ってきて…」祈るように、ただ帰りを待つ事しか出来なかった。


すると、廊下から誰かが走って来る音が聞こえてきた。ディーナ、軍の誰かかと思い無事なのかそれとも援軍として行くのか、いずれにせよ無事だと分かるかと思い少し笑みを浮かべてしまった。


そして、ディーナ達がいる部屋の扉が勢いよく開くと、そこに居たのはハオウでも軍人でもなかった。

「…ヴァレア?」そこにはディーナを軍隊に招待した、ヴァレアだった。


ヴァレアはディーナを見ると「やはりか。おい、何故"リンドウ"協会を通さなかった。大型"マリー"を"リンドウ"ではない軍人に任すなど死にに行けと言っているようなものだぞ!」国長に対して怒りを見せるヴァレア。


「何よ何か文句でもあるっていうの?大体"リンドウ"って付いているなら誰も彼も一緒でしょ?」「大型"マリー"は他の"マリー"とは訳が違う。手練の"リンドウ"ですらその命を奪われるかもしれないんだぞ!お前の独断でどれだけの命が脅かされてると思ってるんだ!!」


状況が一切整理出来ないディーナは立ち上がりヴァレアに近づき「どういうこと?脅かされてるってなんの事?」一番気になった命が脅かされる、それを聞いて理由を聞こうとしたディーナ。


「本来、こうした大型"マリー"の依頼は特殊な理由が無ければ"リンドウ"協会を通すのが筋いや、必然なんだ。

"リンドウ"軍隊に残った軍人が協会に連絡を入れ私は急いで来た。

大型"マリー"は二つ名を持つ"リンドウ"程の実力がなければ討伐はおろか対抗すら出来ない。それが、鍛え抜かれたとはいえ属性が強力ではない軍人が行けばどうなるか…」


ヴァレアが口にしたことを全て理解したディーナは「………ッ!!」口を抑えて声ならない声を上げるといても立ってもいられずに部屋から飛び出した。

「ディーナ!」ヴァレアの声も届かないほど今はただ、無我夢中に走った。


「ハオウ…皆…!!」無事でいて欲しい、生きているだけでいい、息をしているだけでいい、全てを与えてくれた軍の皆が居なくなるのは、嫌だった。

息が詰まる、呼吸が上手くできない、目には水滴が流れる。それも全部、行けば治る。そうやって信じればきっと生きている。


ディーナは息を切らしながらもなんとか現場に到着した。「がはっ…!」息を整えようと咳払いをして、走ることは出来ずに歩いていた。


そして、大型"マリー"がいる場所へと来た。今まで晴れていた天気もこの場では雨が降り雷が鳴っていた。

ぐしゃぐしゃになっていた地面を歩き続けディーナが見た光景は……


無数の軍人達の屍、その上に立つのは、ディーナと同じ人間のサイズをした、大きな真っ黒の布を頭から被り人間の形をしていたがディーナの方を振り向くと人間の顔なんかしていない、顔の半分が目が無数にある人型"マリー"。手にはボロボロの大きな伐採用のチェーンソーを持ち、刃は血で塗れ血の水滴がポタポタと流れていた。

軍人達の屍は全員あのチェーンソーによって斬られた跡があり、見るも無残な状態の軍人もいた。


そのおぞましい見た目、そして今まで一緒に訓練やご飯を共にした軍の仲間達の屍。ディーナはどんな感情をすればいいか分からずに、ただ呆然と立ち尽くすしかなかった。


"マリー"はディーナを見かけると手に持つチェーンソーを鳴らしながらディーナに近づいていく。逃げることも声を出す事も出来ない。全ての絶望を同時に与えられたディーナの目には真っ暗な暗闇しか映っていなかった。


目の前まで来る"マリー"さえも今のディーナには見えていない。真っ暗の目の前で聞こえてくるのは軍の中にいた頃の思い出の声が飛び交うだけだった。半年間だけだったが、一生忘れない、大切な、自分を変えてくれた皆が、変わり果てた姿に、もう二度と話すことも出来ない……「なんかもう、どうでも……」


「ディーナ!後悔なら後にしろ!!」大声で叫んだ声にディーナはようやく我に返った。見えた光景はチェーンソーにより斬られる直前だった。

まだ死ぬ訳にはいかなかいと心の底に芽生えた感情によって身体が動いた。避けることは不可能と判断し、装着してあるナイフを咄嗟に手を取りナイフでチェーンソーを受け止めた。


"マリー"の馬鹿力によるチェーンソーの攻撃は想像を絶する程重く受け止めたディーナはの手は震えが止まらなかった。

だがそれでも一瞬力を抜けばチェーンソーの餌食になってしまう。力を振り絞り、チェーンソーを受け取るしかない。


チェーンソーを受け止めたがナイフの刃がボロボロになっていくのが分かる。持久戦に持ち込んでも時間の問題、ディーナは最大限の力を発揮し「あああぁぁぁああああっ!!!」悲しみや怒り、全てを叫び声を変えて受け止めていたチェーンソーを弾き返した。


弾き返されたことによりよろめく"マリー"に、まだ折れていないナイフを構え人型"マリー"の首を突き刺した。

突き刺した後に"マリー"の後頭部を掴み地面に叩きつけた。だがナイフは"マリー"の首を突き刺した影響により耐久力が無くなりとうとう根元から折れてしまった。


叩きつけられた"マリー"は地面に伏せた瞬間に"マリー"の全身が突然氷漬けになり、動けなくなってしまった。

氷漬けになった"マリー"にディーナは銃を手に取り頭を撃ち抜いた。一瞬ヒビが入ると同時に"マリー"の頭は砕け散った。


早急に勝負がつき"マリー"討伐を完了したディーナ。そして、大声で呼びかけた張本人もディーナの元に来た。

「ヴァレア…ありがと」窮地を救ったのはディーナが現場に向かった後にすぐに後を追ったヴァレアだった。

氷漬けにしたのもヴァレアの属性によるものだった。トドメはディーナが刺したが、ヴァレアのアシストがあったからこそ討伐出来た。


感謝の言葉を口にしたディーナにヴァレアは表情には浮かべていないが明らかに半年前とは違う雰囲気や佇まいに「お前、変わったな」と、小さく声に出した。


だが今のディーナの耳には届かず、軍人達の残骸を静かに眼に入れた。

何も言わないディーナにヴァレアも声をかけずに一人国に戻ろうした時、足元に何かが当たった。


下を向いて何かを見たヴァレアは驚きそれを手に取った。

「ディーナ、お前が持った方がいい」声をかけられ、ヴァレアの方を振り返ったディーナはヴァレアの手に持つ物を見て「これっ…」それは、ハオウが持っていたナイフの持ち手だった。

刃は折れており、壮絶な戦いがあったのが見てとれた。


「大型"マリー"をあんなにも簡単に討伐出来るなんて不自然だと思った。だが彼女達の猛攻により既に消耗しきった状態であれば…だが、助けられなかったのは事実だ。もっと私達が速くしていれば結末は変わっていたのかもしれない」既に大型"マリー"は軍人達の力によりかなり疲弊し弱っていた。もう少し、あと少しだったが、"マリー"は無慈悲に軍を壊滅させたのだった。


「"リンドウ"になってからは数多くの遺体を見てきたが、何度も見ても慣れることは出来ない。仕方無しで済ませられるではない」"マリー"が蔓延る世界で、理不尽に殺されるのは仕方無しで終わらせる事がある。勇敢に戦い誉ある死は栄光なことかもしれない。

しかし、忘れてはいけない。命は、一度死んでしまったら、終わってしまう。


ヴァレアも軍人達の遺体に目を背けずに、しゃがみ胸に手を当てて「どうか安らかに」散っていた命にせめてもの救いをと、祈りを唱えた。


祈りを済ませたヴァレアは立ち上がった。ずっと黙り込んでいたディーナはとうとう口を開いた。「結局、失う時は一瞬なんだね。昨日まで話していた隊長や部下の皆、もう話すことも出来ないんだね。

そっか、これが、失う辛さなんだね。ずっと分かってた気がしてたけど、やっと分かった。もう、埋めることは出来ない心の穴なんだって…」


自分の表情を見せることはしなかったがヴァレアは分かっていた。ディーナが溢れでんばかりの大粒の涙を流していること。彼女にとって、初めての居場所だった人達を失う辛さは想像よりもずっと上だったのだから。


ヴァレアは流す涙を拭けないディーナの背中に回り込んで、背合わせにしてその場に座り込んだ。

「今は、私がそばにいる。お前は、一人になったわけじゃない」その言葉にディーナはほんの少し、落ち着き取り戻し、ヴァレアと同じように座り込んでヴァレアの背中にもたれた。


「ありがと、ヴァレア。こんな私と一緒にいてくれて」「同じ"リンドウ"であり、同じ仲間だろ」


----------


ようやく落ち着きを取り戻し、軍人達の弔いを終えたディーナ。今後どうするかを考える前にとりあえずはあの国長に報告だけは済ましておこうと、国へと戻った二人。


国長の元へと帰った二人。しかし部屋に入り歓迎の言葉…なんてものではなく「なんだ、二人だけか。"リンドウ"軍隊など所詮は名前だけだったか。やはり"リンドウ"以外は信用に足らんな。雑魚共に金をかけるなんてな」賞賛や労いではなく、返ってきたのはただの嫌味だった。


「何言って…」あまりにも信じられない言葉に絶句するディーナ。

すると、ヴァレアは「お前が軍隊に直接依頼を送った理由は、ただ金がかからないからだろ」


「ほう?」「"リンドウ"とは言えあくまでも職業だ。依頼としての報酬支払うのが普通だ。だが"リンドウ"軍隊だったらタダ同然の報酬で動いてくれる。だから協会を通さなかったんだろ、その結果どれだけの命が奪われたのか、お前に分かるか!」あまりにも命を軽く扱う国長にヴァレアは怒りを抑える事は出来なかった。


しかし国長はニヤリと笑い「ええそうよ。金は有限だから。この程度の依頼であればわざわざ大金を支払うなんて馬鹿らしいでしょ?

そもそも、私はここの国のトップよ?そこら辺の命よりも金が大切。たった一人しかいない私。けれど"リンドウ"なら山ほどいるじゃない。私達のような人を守るのが"リンドウ"でそれで死んだら仕方ないよね?

いいじゃない、"マリー"と戦って死ねるのだから。勇敢勇敢、勇敢過ぎるわよ。まぁでも軍隊は壊滅してるんだから金は渡さなくてもいいよね?ほとんど相打ちみたいな結果だし、もういいよね?金を払わなくても、私の危機も去る。ふふふっ、なんて甘美なんでしょう。あはは、あっはははは!!」

国長の企みはただの金を節約するためだった。軍隊は協会と違い金がかからない。それだけの理由で軍隊を起用していた。


死んでいった軍人達の言葉もなく、愉悦感に浸る国長にヴァレアは我慢の限界がきて国長の胸ぐらを掴もうとしたその時だった。


ヴァレアよりも先にディーナが動いており国長の顔面を殴り飛ばした。鍛えられた体で殴られる一発は何もなっていない国長をぶっ飛ばすには充分で、殴られた国長は気を失ってしまった。


ずっと聞いていたディーナは血管が切れそうなほどブチ切れて、その火山が噴火するように国長の顔面を殴ったのだ。


「いい加減にしろよ。命をなんだと思ってるんだよ。金は有限?命よりも金?お前に何が分かるんだよ、もう戻らないんだ。全員、話すことも出来ない。息をすることも出来ない。

お前が…お前が…お前が命を語るな!!!」

鬼の形相をするディーナはさらに国長を殴りかかろうとしたがすかさずヴァレアがディーナを羽交い締めにして「ディーナ、やめろ!」

ディーナは罵倒を浴びせ続け、その怒りを治まることは出来ずに、そのままディーナの記憶は無くなったいった。


----------


気がついたディーナは協会の部屋の一つのベッドで寝ていた。何が起こったのかは分からない状況で部屋から出ていこうとしたが部屋の扉が閉まっており隔離されてしまっていた。


微かに思い出せる記憶としては国長に殴りかかろうとしていた時ヴァレアに止められたぐらいしか無かった。

暴れすぎた結果が部屋に隔離。とにかく部屋で過ごすしかないと分かったディーナは何もやる気が起きずにただ寝て過ごすしかなかった。


数日後、ほとんどを寝て過したディーナ。支給された食事にもあまりに口にせずに虚無感に襲われていた。

そんな時、部屋の扉が開き入ってきたのはヴァレアだった。


ヴァレアの手には一枚の新聞を持っていた。ディーナを見たヴァレアは怒るのではなく静かに「元気か?」と聞いた。

「いいえ。元気ではないかな」どうしても、いつものやる気には戻ることは出来ない。


「あの後、私どうなったの?」「怒りが収まらずにあのままではあいつを殺してしまう勢いだった。私はお前の気を失わせてここまで連れてきた。怒りが収まったか分からない状態で外に出す訳にはいかなかったから悪いが監禁させてもらった」

「妥当な判断だと思うよ」「自分で言うのか」


するとヴァレアは手に持つ新聞をディーナに手渡した。手渡された新聞を読むとそこにはディーナが国長を殴ったことによる報道が書かれていた。

殴ったことは事実だがあられもない事も書かれており「"リンドウ"のディーナはどんな人でも"マリー"のように暴行する」「"リンドウ"の恥さらし」「軍隊を懲戒解雇、"リンドウ"も永久追放も時間の問題」等、世間的には致命傷とも言える事が書かれていた。


しかしディーナは一切表情を変えずに「まぁ殴ったのも事実だし、あの国長だったら告発するだろうからね」さも当然の事だったように現実を受け入れた。


「軍隊は部隊を失い統率者も二人失った。残る軍隊で"マリー"を討伐するのはさすがに困難だと判断した。勝手ではあるが私が軍隊の解散を申し出た。この状況に誰も反論は無かった。軍の基地は協会が保有し"リンドウ"を訓練させる場にする。

残った軍の皆は協会に身を置き"リンドウ"サポートする補佐役に置く。ハオウさんが直々に鍛えられた彼女達だ、"リンドウ"にとってもこれ以上無いほど有益になるだろう

それと、亡くなった軍人は残った軍と私で埋葬しておいた。私にはこれぐらいしか出来ないからな」


さらにヴァレアは懐から免許証のようなものを取り出し「"リンドウ"としての証明書を新しく発行しておいた。今ある"リンドウ"の証明書はほとんど無効になっているからな、"リンドウ"としての実力は私が保証してある、こんならデタラメの記事なんかに人生を損させる事はない」その仕事の速さにディーナも感謝して「ありがとうヴァレア、後始末とか何から何までやってくれて」


またしても感謝の言葉を口にしたディーナ。そして、今までの会話の中で金の話は一切無かった。本当に仲間との思い出が楽しく、失う辛さが心から分かった。金ではなく、たった一つの命の方が重く、大切な事に。


心身共に成長したディーナにヴァレアは微笑みを見せて「協会会長として、後始末をやっただけだ。気にするな」いつも仏頂面のヴァレアが初めて笑った顔を見たディーナは「笑った顔の方が可愛いじゃない。改めて見ても可愛い顔してるわね」「軽口叩けるぐらいは元気になったか」ヴァレアの笑った顔に何故か心が洗われている気がした。


「そういえば、亡くなった人達は皆が埋葬してくれたって言ったけど、ハオウの遺体はあったの?」ディーナは気がかりになっていたことがあった。

折れたナイフが落ちていた場所にハオウはいなかった。あの遺体の数の中にいるとは思っていたが「それが、ハオウさんの遺体だけはどこを探しても無かった。だがあのナイフに付着していた血痕は間違いなくハオウさんのものだ。あの状況から察するにもうハオウさんも…人を導く事に関しては誰よりも優れていた人だ。惜しい人を亡くした」


軍人達を見捨て一人で逃げるなんてことは絶対しないと言い切れるディーナはハオウも"マリー"の手によって殺されたと信じるしかなかった。

だがディーナは落ち込むことはせずに前を向いて「後悔はもうおしまい。ハオウが見たらいつまでも引きずるなって怒られちゃうよ。いなくなった皆の分まで私は生きなくちゃ」手を開き自分の胸元に手を当てて、目を閉じ彼女達の意志を継ぐことにしたのだった。


「それで、これからどうするんだ?」"リンドウ"としての立場も地に落ちたディーナ。信頼を回復しようにも相当な時間を有するだろう。


「この数日間、虚無感に襲われてたけどちょっと前からこれからの身の振り方を考えていた。そうしたら、一つだけ考えついたことがあるの。

それでね、ヴァレアにお願いがあるんだけど」「なんだ?」

「貴方は各地に土地を持ってるって聞いたことがある。だから、その土地とお金を貸して欲しい。

自分の事務所を建てようかなって思ってる。協会にはもう戻らない。自分の手で一から始めようと思うの。"リンドウ"ディーナとして、一人で頑張ってみようかなって」


ディーナのお願いに「だが…」と、不安もあったヴァレア。

「思ったのよ、やっぱり楽しまないと。一度きりの人生なんだもん、"マリー"討伐も大切な人を守るのも、全部楽しく生きないと。

そのためにも、全部自分でやらないと。色んな経験なら事務所を建てて色んな依頼が来たら出来る。"リンドウ"としても成長に繋がるよ。

新生ディーナとして、一つかけてみない?」そう言ったディーナの顔は希望に満ち溢れた、一人の一皮むけた女性だった。


ヴァレアはディーナの目を見て一切逸らさずに見続け、しばらくすると「……やはり正解だったか」と、呟いた。

その呟きは耳に入ったディーナは「なに、正解って?」「お前の証明書見てみろ」と、促したヴァレア。


詳しくは見ていなかったディーナは改めて証明書を見ると、そこにはある事が書かれていた。

「二つ名…"奇術の属性弾"。ヴァレアこれって!」さすがのディーナも驚きを隠せなかった。


「確かに"リンドウ"としての地位は落ちた。だが今までの実績や功績は変えようがない事実だ。お前に助けられた人は世の中に沢山いる。

実力も名声も、二つ名を与えられてもおかしくない。私の推薦と独断で付けさせて貰った。二つ名"奇術の属性弾"ディーナ、新たな道を進め。これからの活躍を期待しているぞ」

ディーナは二つ名を与えられていてもおかしくなかった。金にうるさく、心が成長していない限りヴァレアは二つ名を与えるつもりはなかった。

だが今のディーナは二つ名を持つのに相応しい実力と心を持つ。どれだけ地に落ちたとしても、過去の実績は変わらない。ヴァレアは正式にディーナに二つ名を与えたのだ。


自分に二つ名が与えられる日が来るとは思っていなかったディーナは、ヴァレアの思いやりの優しさも相まって、自然と涙が零れ「うん…うん。頑張るよ。この二つ名に恥じない活躍をしてみせるよ」人の温もり、暖かみを初めてだったような気がした。


ディーナは溢れ出る涙を抑え、今を生きる喜びを深く心に刻んだのだった。


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それから数ヶ月後、ヴァレアが保有していた空き地を借り、一つの家を建てた。建てたお金もヴァレアから借りて借金を抱えたディーナ。


協会から離れた土地に建てたディーナ。知り合いも誰もいない場所で新たなスタートを切ることにした。心機一転して髪をショートカットにして、少し高価な黒いコートを羽織り少し威厳を出すような服装にした。

数ヶ月の建築が終わり、完成した事務所の目の前に立つディーナは腕を組み満足気な表情を浮かべた。


完成した事務所の中に入り、自分専用のデスクと椅子。デスクの上には電話と銃、そして折れたナイフの取っ手部分があった。

少し撫でるように触った後に椅子に座ったディーナ。「これでお仕事が始められるわね」と、言ってデスクの上に足をかけた。「この体制、なんだか落ち着くわねぇ」


事務所の辺りを見渡すディーナは、微笑んで「一人じゃちょっと広すぎるかもね。いつかは誰かと住んでみたいかも」


すると、事務所の電話が鳴り響いた。「早速ね、それじゃあ…」意気揚々に受話器を取ったディーナ。受話器を取った瞬間にヴァレアとの会話を思い出していた。

『事務所は建てるはいいが、名前は決めているのか?』『名前か~。確かに名前が無いとお店じゃないからね。う~ん、そんなにパッと思い浮かぶものじゃないね』

『変な名前じゃなければなんでもいい。あまり目立つ名前だと、ディーナだとすぐにバレるからな』『別にバレてもいいんだけどね、今のは私は隠居みたいな感じで隠れてるから……うん、いいかも』受話器を耳に当てて、事務所の名前を伝えた。


「は~い初めまして。こちら、Dina's hideout。今日はどのような御依頼を?」今日から、全てが始まった日になった。

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