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デウス・ウルト   作者: 妖怪はらへった
第二章 天峰学園 一年生編
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第35話 前途多難

 鷲司さんと別れてから、輝夜達の活動が終わるまで校門で待機することにしたが居心地が悪い。

 刺さるようなものから纏わりつくようなものまでさまざまな視線をよりどりみどりだ。

 とりあえずやることもないので、異種能力戦(バトルオーケストラ)のルールを改めて確認する。



 一、新入生は『生産型(クリエイター)』以外必ず参加。


 二、条例違反とならなければいかなる『付与装具(オルナーティオ)』でも使用可能。


 三、本プログラムは5日間での構成となり、予選はSとAクラス、Bクラス、Cクラスの三ブロックに分かれる。

 ・予選1日目は四人一組(カルテット)。※SとAクラスは人数の都合から2日目からの参戦となる。

 ・予選2日目は二人一組(デュオ)。※三ブロック上位2チーム計12名が本選出場となる。

 ・本選1日目はトーナメント二試合。

 ・本選2日目は準決勝から決勝までの二試合

 ・後夜祭


 四、予選1日目と2日目のチームの編成は前日の夜21時までに学園指定の制御装具(インペリウム)『A.P.P.L.E』からリーダーが申告すること。



 大まかなとこはこんなとこかと目を通していると、大会の開始日時に目が留まる。

 おいおい、大会来週じゃねえか。


「つまり大会までに『付与装具(オルナーティオ)』などを用意するコネや財力も見てるってことか?」


 意地が悪いだろ、運営さんよ。

 道具なんかもそうだが、視線が物語るに俺はメンバー探しの方が大変だな。

 予選1日目は一人は嵐として、残り二人はどうしようか。

 高確率で俺に集中砲火するのは目に見えているから、組みたがる奴はいないだろう。


「かといって仲いいのはハイドしかいないしなぁ」


 嵐とウィリアムが喧嘩する姿しか思い浮かばない。

 そもそも話を受けてくれるのかもわからないが。

 模擬戦の事を早くも後悔することになるとは思いもしなかった。

 まじで初日どうすっかなー。





 ――――

 悶々としている内に時間は過ぎ、輝夜達が校門に向かってくるのが見えた。


「お前ら何がそんなに楽しいんだよ」

「その感じは掲示板ちゃんと確認したのね」


 わざとらしくニヤつく口元に手を当てる輝夜と、ご機嫌に俺を睨みつける規束。


「あんなもの見たくなかったがな。ていうかいつもなら規束、お前が止める内容じゃないのか?輝夜に変な虫がつくとかよ」

「フン、いつもサボっているお前の腕が鈍っていないかいい試金石だ。まさか予選敗退などありえんよなぁ」


 ここ最近の中では群を抜いてご機嫌な規束を睨みつける。

 語尾が上がっているのがなお腹立つな、こいつ。


「でも姫本当にあれ良かったの?ないだろうけど万が一があるじゃん」


 俺と規束の間に入るように嵐が顔を覗かせる。

 いいぞ嵐、もっと言ってやれ。


「別に大丈夫だよ、真白なら負けないでしょ?それに学園からのお願いでもあるしね」

「お願いってなんだよ」

「なんかキャピってした感じの先生から苦情というか愚痴みたいなの聞かされてしょうがなくって感じかなー」


 この学園でキャピって表現が出る先生って・・・絶対乙女ちゃんだろ、それ。


「私のファンクラブなり親衛隊を結成したいっていう嘆願が殺到してて、しかもその理由が真白を近づけさせないためなんだって」

「俺のせいって言いたいのかッ!ふざけんなよ」


 完全にただのやっかみじゃねえか。

 そもそも俺からは近づいてないし、どれだけ大変だと思ってんだよ。

 お前らのあこがれのお姫様のお世話だけじゃなく父親とのやり取りもあるんだぞ。


「実際こうやってみんなで一緒に帰るのもよく思ってない人もいるみたいで。だから丁度いいかなって」

「丁度いい?」

「そう、真白は私の腰巾着じゃない。変な意味での特別扱いじゃなくて対等っていうか、ちゃんと強いんだよって証明してほしいかなと」

「ああ~それは確かにねぇ。真白っち急に何か隠すようになったよね」


 隠すというかそれは・・・。

 でも輝夜達に気を使わせているのはあるよな。


 俺は大きくため息をつくと、頭をガシガシとかく。


「わかったよ、まじめにやればいいんだろ。ただし鷲司さんから戦い方には制限かけられているからな」


 俺の返事に気をよくしたのか輝夜と嵐がハイタッチをしている。


「そういえば真白っち初日はどうするの?4人で組まなきゃでしょ?」

「それなんだが・・・話しかけれそうなのがハイドたちくらいしか思い当たらないし」

「うげッ、あいつとかぁ。ハイドはいいんだけどねー」


 おおむね予想通りの嵐の反応に首を傾げる輝夜。

 事情を知らない輝夜達に、要所を端折りながらざっくり説明すると二人とも納得していた。


「俺は好感持てるが嵐とは合わんだろうな」

「キッチリしすぎるのも疲れちゃうしね」


 でしょでしょと嵐が食い気味に賛同し、輝夜にこれまでの愚痴を聞かせる。


 ハイドに声をかけようかなと思っていたが、ウィリアムも嫌かもしれないしな。

 嵐に負担かけさせるわけにもいかないし、頑張って声掛けしてみるか。





 ――――

 そう思っていた時期が俺にもありました。


「俺がお前らに何したってんだよ」


 翌日早速メンバー集めの行動に移したのはいいが・・・


「誰がお前なんかと組むかッ!」

「上位目指してるから他を当たってくれる?」

「う、うわぁあぁぁぁぁあ」


 最後の奴に至っては逃げる意味が解らん。

 やっぱりハイドたちしかないかなと思ったら向こうは大人気なんだよな。

 模擬戦でのウィリアムの能力が印象的だったらしい。

 ハイドが間を取り持てば大体の奴とはコミュニケーションとれるだろうからな。


「真白っちそっちどうだった?」


 廊下で思いふける俺に嵐が顔を覗かせる。


「空振りだな。しまいにゃ泣いて逃げ出すレベルだよ」

「だよねー。私だけならいいよってとこはあったけどねー」


 手を大振りにしながら報告してくる嵐。

 表情に曇りが見えるから結構な数当たったんだろうな。

 このままじゃこいつにも迷惑になっちまう、か。


「なぁ嵐、あれだったらそっち行ってもいいぞ」

「本気で言ってるなら蹴り飛ばすよ」


 ギュッとシューズと床の摩擦音が聞こえる。

 地雷だったか。


「冗談だから睨むなって、ギリギリまでがんばってみるか」

「そうそう、元気出していこうー」


 嵐は元気いっぱい手を振り上げ二ッと笑う。

 俺も腐ってる場合じゃないな。


「まだ時間はあるからな、元気出していこう」

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